April New Auto Sales : SUV Sales Decline As Gasoline Prices Surge.
オートデータが発表した米4月新車販売台数は年率では1,717万台だった。年初来で最高だった前月の1,748万台を下回る。前年同月の1,704万台からは、加速した。なお4月の営業日は24日と、前年同期の26日から短縮した。なお4月から、GMは単月での新車販売台数を終了し四半期毎に公表し、それに合わせてワーズオートは単月での販売台数の発表に終止符を打った。オートデータも、単月でのメーカー別の動向の公表を4月から見送っている。
年率では1,717万台と前月から減速しつつ、大台は維持。
原油先物が2014年11月以来の70ドル乗せを目指す過程で、ガソリン価格は4月に一時2.798ドルと2014年11月以来の高値をつけた。それでも販売台数は、トラック部門(スポーツ多目的車、SUV含む)のうちトラックは好調。ただし、これまで牽引してきたSUVはフィアット・クライスラーを除き概して減速している。乗用車に至っては2桁減が目立った。なおフォードは4月25日に公表した決算資料で、米国での乗用車販売を2モデル(マスタングと2020年モデルのフォーカス・アクティブ)に限定する方針を発表した。
ケリー・ブルー・ブックによると、平均販売価格は3月と変わらず前年同月比2.0%上昇の3万5,510ドル(約360万円)だった。前年比の伸びは2~4月ともに2%付近にとどまり、少なくとも2017年上半期ぶりの高い伸びを示した1月の3.9%以下に終わった。前月比では0.3%下落、4ヵ月連続でマイナスとなった。メーカー別の平均価格を前月比でみると、上昇はフォード、フィアット・クライスラー、スバルのみ。他は全て下落し、特に日産が1.3%の最も下落率が大きい。前年比ではトヨタが最も伸びが大きく、次いでフォルクスワーゲン、GMとなる。下落したのはフィアット・クライスラーのみだった。詳細は以下の通り。
自動車メーカーからディーラーへの1台当たりインセンティブ予想は前年同月比8.5%上昇の3,750ドルとなり、3月の推計値8.0%上昇から加速した。前月比では逆に1.6%下落し、過去4ヵ月間で3回目のマイナスとなる。前年比で伸び率が最大だったメーカーはGMで29.5%上昇、次いでBMWが23.9%上昇、元々インセンティブの水準が低いスバルが22.4%上昇している。前月比ではインセンティブ水準がスバルに次いで低いホンダが最も強い伸びを示したほか、ヒュンダイとフィアット・クライスラーも大きく上昇した。
1台当たりのインセンティブの割合予想は平均で11.1%と、前年同期の10.5%から上昇した。最大は前月に続きキアで17.0%、次いでGMが日産を追い抜き15.1%、日産は3位に転じて13.9%となる。
新車販売動向のうち、利鞘の薄いレンタカーや自動車販売店向けのフリート販売はフォード、フィアット・クライスラーともに減少した。
自動車メーカー別では、米系大手2社のうちフォードが減少、フィアット・クライスラーは増加したが、そろって市場予想より好結果だった。日系大手3社は全て減少、市場予想を上回ったのはトヨタのみとなる。以下、米国をはじめメーカー別動向。
【フォード】
フォードは前年同月比4.7%減の20万4,651台と、市場予想の5.0%減より下げ幅を縮小した。過去4ヵ月間で、3回目の減少となる。小売販売台数は2.6%減の13万7,049台と、過去5ヵ月間で4回目の減少に。車種別では、トラックが0.9%増の9万2,338台と4ヵ月連続で増加。しかしSUVは4.6%減の6万9,940台と過去4ヵ月間で3回目の減少となったほか、乗用車に至っては15.0%減の4万2,373台と6ヵ月連続で落ち込んだ。
レンタルや自動車ディーラー向けのフリート販売台数は8.6%減の6万7,602台と、過去4ヵ月間で3回目の減少となっている。在庫は乗用車、SUV、トラック含め全体で前年比7.0%増の73万6,411台となった。86日相当となり、前年同月の83日から延びた。販売価格は3万6,300ドルと前年比で上昇したものの、小売価格は下落に転じた。
なおフォードは3月5日、ピックアップ・トラックの「レンジャー」と「ブロンコ」の新型モデル生産を控えた設備一新を理由に、ミシガン州の工場の従業員2,000人を対象として一時解雇を発表した。4月25日には、米国で販売する乗用車モデルを2種にとどめる方針も表明した。
2大ブランド別では、フォードが減少に反転、リンカーンは7ヵ月連続で減少した。単月の結果は、以下の通り。
・フォード 4.3%減の20万4,651台、過去4ヵ月間で3回目の減少
→アルミ製ボディのトラック「Fシリーズ」が3.5%増7万3,014台だった。しかしSUVはガソリン価格の上昇を一因に軒並み減少、「エクスプローラー」は9.5%減の1万7,894台、「エッジ」も19.7%減の1万1,240台とそろって減少に反転。「エスケープ」は7.5%減の2万1,383台と4ヵ月連続で減少した。小型車・セダンも「GT」を除き減少。小型車「フォーカス」は1.5%減の1万3,001台と4ヵ月ぶりに減少したほか、「フュージョン」も18.3%減の1万2,871台と2ヵ月連続で減少した。
・リンカーン 12.1%減の8,518台、7ヵ月連続で減少
→SUVの「MKX」が3.2%減の2,263台と5ヵ月連続で減少、セダンの「MKC」も31.8%減の1,859台と弱い。もっとも、新型SUVの「ナビゲーター」すら0.8%減の1,566台とマイナスへ沈んだ。
【フィアット・クライスラー】
フィアット・クライスラー・オートモビルは前年同月比5%増の18 万4,149台となり、市場予想の1.4%減に反し増加した。4月単月としては、過去最高を更新している。小売販売台数は1%減の14万3,995台だった。フリート販売台数が全体に占める売上シェアは22%と、前月の25%から低下した。
5大ブランド別では、2ヵ月連続で2ブランドの増加となった。単月の詳細は、以下の通り。
・ジープ 20%増の8万2,641台、5ヵ月連続で増加し過去最高
→新型「コンパス」が227%増の1万1,521台と4ヵ月連続で3桁増を果たしたほか、「ラングラー」も58%増の2万9,776台と4ヵ月連続で寄与している。「チェロキー」、も20%増の1万6,887台と2ヵ月連続で増加した。一方で「レネゲード」も10%減の7,735台と3ヵ月ぶりに減少、「グランド・チェロキー」も12%減の1万6,647台と2ヵ月連続で減少した。
・ドッジ 4%増の4万994台、10ヵ月ぶりに増加
→「ジャーニー」が39%増の1万1,638台と9ヵ月ぶりに増加したほか、「キャラバン」は21%増の1万1,880万台と3ヵ月連続で増加した。一方で、「デュランゴ」が23%減の4,923台と3ヵ月連続で減少、「チャージャー」は4%減の6,632台と減少に転じた。
・クライスラー 18%減の1万4,189台、減少に反転
→新型「パシフィカ」のミニバンが2%減の1万180台と6ヵ月ぶりに減少した。「300」も1%減の3,913台と減少に反転している。
・ラム 9%減の4万3,074台、7ヵ月連続で減少
→主力の「ラム」が9%減の3万9,252台と6ヵ月連続で減少したほか、「プロマスター・バン」も23%減の2,817台と7ヵ月連続で減少。「プロマスター・シティ」も23%減の1,005台と2ヵ月連続で減少している。
・フィアット 45%減の1,404台、28ヵ月連続で減少
→「500」が72%減の4335台と13ヵ月連続で減少したほか、「500X」も26%減の564台と全体の重石となった。「スパイダー」も28%減の337台と4ヵ月連続で減少するなど、軒並みマイナスを示す。
【トヨタ】
トヨタは前年同月比4.7%減の19万2,348台と、市場予想の6.1%減より下げ幅を縮小した。前月から減少に反転している。トラック部門の販売台数が1.5%増の11万5,091台だった半面、乗用車部門は12.7%減の7万7,257台となる。
なおトヨタは、2017年11月新車販売台数を発表した時点で2018年の米国新車販売台数を1,700万台割れと予想した。2年連続の前年割れを見込んだだけでなく、2014年の水準への鈍化を見込む。
2大ブランド別では、トヨタが4ヵ月ぶりに減少した半面、レクサスは2ヵ月連続で減少した。詳細は、以下の通り。
・トヨタ 5.1%減の17万706台、3ヵ月ぶりに減少
→トラック部門は1.6%増の10万681台と、過去最高を更新した。一方で、乗用車は13.3%減の7万25台と前月に続き減少している。車種別では大型SUVの「ハイランダー」が2.6%増の1万8,456台と4ヵ月連続で増加し、単月での史上最高を塗り替えた。トラックの「タコマ」も10.6%増の1万8,811台と全体を支えている。一方で、日本で販売・生産を打ち切ったSUV「RAV4」は2.4%減の3万1,007台と4ヵ月ぶりに減少、「4ランナー」も4.4%減の9,970台と3ヵ月ぶりに減少した。セダンは減少が優勢、「カローラ」は16.7%減の2万5,896台と7ヵ月連続で減少したが、「カムリ」も5.0%減の2万9,848台と6ヵ月ぶりに減少した。
・レクサス 2.1%減の2万1,642台、2ヵ月連続で減少
→SUVを含むトラックが0.4%増の1万4,410台と4ヵ月連続で増加した。主な4車種中、「RX」以外全てが増加している。乗用車部門は引き続き弱く6.8%減の7,232台と16ヵ月連続で落ち込み、主な6車種のうち前月に続き4車種で減少していた。
【ホンダ】
ホンダは前年同月比9.2%減の12万5,701台と、市場予想の7.3%減を下回った。過去5ヵ月間で4回目の減少となる。車種別ではトラック部門が3.9%減の5万9,456台と過去4ヵ月間で3回目の減少に。乗用車部門も14.4%減の5万9,456台と過去5ヵ月間で4回目の減少を示した。
ブランド別では、ホンダが8.4%減の11万3,813台となり前月から減少に転じた。トラック部門が4.3%減の5万5,534台と減少に転じたほか、乗用車も12.3%減の5万5,354台と減少している。ブランド別ではミニバン「オデッセイ」は21.2%増の8,464台と3ヵ月連続で増加した程度で、他は軒並み弱い。主力の「シビック」は9.0%減の2万8,399台と、減少に反転。セダンの「アコード」は19.3%減の2万6,938台と3ヵ月連続で減少し、SUVの「CR-V」も13.3%減の8,323台と4ヵ月連続で減少した。
アキュラは15.9%減の1万1,888台と、前月から減少に転じた。トラック部門が0.8%減の7,786台だっただけでなく、乗用車も34.8%減の4,102台とそろって減少した。主力のSUV「RDX」が10.8%増の4,201台と2ヵ月連続で増加したものの、「MDX」が11.5%減の3,585台と5ヵ月連続で減少したほか、セダンも落ち込みが目立った。
【日産】
日産は前年同月比28.1%減の8万7,764台となり、市場予想の9.7%減より下げ幅を広げた。3ヵ月連続で前年比マイナスとなる。トラック部門が21.9%増の4万7,916台と4ヵ月ぶりに減少したほか、乗用車部門も34.3%減の3万9,848台と減少をたどった。日産の落ち込みをめぐり、一部報道は営業日の短縮以外に、利鞘の低いフリート販売の抑制が挙げている。
2大ブランドでは、日産が4ヵ月連続で、インフィニティは5ヵ月連続で減少している。詳細は、以下の通り。
・日産 29.1%減の7万8,804台、4ヵ月連続で減少
→トラック部門が23.1%減の4万1,758台と4ヵ月ぶりに減少した上、乗用車部門も34.9%減の3万7,046台と3ヵ月連続で減少した。これまで好調だったSUV主力の「ローグ」が38.4%減の2万3,331台と4ヵ月ぶりに減少し、「ムラノ」も38.4%減の3,391台と6ヵ月ぶりに落ち込んだ。「フロンティア」も19.9%減の5,082台と減少に反転している。乗用車では主力の「アルティマ」が47.8%減の1万400台と3ヵ月連続で減少したほか、「マキシマ」も62.3%減の2,100台と減少するなど、軒並み弱かった。
・インフィニティ 17.0%減の8,960台、5ヵ月連続で減少
→トラック部門が12.7%減の6,158台と前月に続き減少したほか、乗用車部門も25.2%減の2,802台と3ヵ月ぶりに減少した。SUVの「QX60」が8.8%増の3,052台と4ヵ月連続で増加し「QX50」も18.0%増の1,413台と増加したが、他SUVは2桁減となった。セダンは主力の「Q50」が26.5%減の1,880台をはじめ、全て前年比マイナスに沈んだ。
GMを除く自動車ブランド別の単月シェアは、以下の通り。
高級車部門別ランキングは、以下の通り(%は全て前年比)。2017年9~12月、2018年1~2月までトップを走り続けたメルセデス・ベンツから、BMWが首位を奪取している。インセンティブの増加が一因のようだ。2位はメルセデス・ベンツ、レクサスは足元の流れを維持し3位だった。3位以下は前月と変わらない。
1位 メルセデス・ベンツ 4.8%増の3万522台
→2017年9月~18年2月まで1位を堅持してきたなかで、3月は2位に陥落したが、4月に王座を奪回した。年初来では0.9%増の3万522台で首位を維持している。2017年通期では0.2%増の37万5,240台で堂々の3年連続首位。2016年は前年比0.4%増の37万4,541台だった。なお2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。
2位 BMW 3.8%増の2万3,482台
→2017年10月~18年2月の2位を経て3月にトップに立ったが、4月に再び2位へ転落した。年初来では3.2%増の9万7,317台で2位となる。2017年通期では2.4%減の30万5,685台と2位をキープ。2016年は9.5%減の31万3,174台で3位、2015年は1.8%増の34万6023台で首位の座を宿敵メルセデス・ベンツに明け渡していた。2014年では1位、2013年は2位だった。
3位 レクサス 2.1%減の2万3,482台
→2017年10月~18年3月に続き、今回も3位だった。年初来も2.0%増の8万5,853台で3位となる。2017年通期では8.0%減の30万5,132台で3位。2016年は3.9%減の33万1,228台で2位、2015年は10.7%増の34万4601台で3位となる。2011年まで11年間連続で首位を飾ったが、東日本大震災後に順位を落とし2014年、2013年、2012年に続き3位にとどまった。
4位 アウディ(VW)2.1%増の1万9,104台
→2~3月の5位を経て、4位へ浮上。ただしGMがビュイックを発表していないため順位を上げた格好だ。年初来では7.5%増の6万9,156台で、暫定4位となる。2017年通期では7.8%増の22万6,511台と、4位。2016年は4.0%増の21万213台、2015年は11.1%増の20万2,202台で共に5位だった。
5位 アキュラ 15.9%減の1万1,888台
→3月まで3ヵ月連続で8位を経て、GM抜きで5位へ浮上した。年初来では1.3%減の4万9,847台となる。2017年通期では4.2%減の15万4,602台と7位を維持。2016年は8.9%減の16万4,126台で7位、2015年は5.6%増の17万7165台で6位に収まっていた。
新車販売台数:モデル別ランキング(%は前年同月比、WSJ紙より)。GMが四半期ベースの公表となったためシルバラードとエキノックスが圏外に転落し、代わりにラングラー(フィアット・クライスラー)とアコード(ホンダ)が入った。
1位 Fシリーズ(フォード)3.5%増の7万3,104台、前月も1位
2位 ラム(フィアット・クライスラー)10.9%減の3万5,264台 前月は4位
3位 Rav4(トヨタ)2.4%減の3万4,937台、前月は6位
4位 カムリ(トヨタ)5.0%減の2万9,847台 前月は5位
5位 ラングラー(フィアット・クライスラー)58.0%増の2万9,776台 前月は圏外
6位 シビック(ホンダ)9.0%減の2万8,399台 前月は7位
7位 CR-V(ホンダ)13.3%減の2万8,323台 前月は9位
8位 カローラ(トヨタ)16.7%減の2万5,896台 前月は10位
9位 ローグ(日産)14.8%減の2万3,331台 前月は3位
10位 アコード(ホンダ)19.3%減の2万1,751台 前月は圏外
SUV:ブランド別ランキング(%は前年同月比、Good Car Bad Carより)。ほぼ前月と変わらなかったものの、前月に3位だったエキノックス(GM)が未公表のため圏外となり、代わりにチェロキー(フィアット・クライスラー)がトップ10に食い込んだ。
1位 Rav4 (トヨタ)2.4%減の3万1,007台、前月は2位
2位 ラングラー(フィアット・クライスラー)58.0%増の2万9,776台 前月は7位
3位 CR-V(ホンダ)13.3%減の2万8,323台、前月は4位
4位 ローグ(日産)14.8%減の2万1,383台 前月は1位
5位 エスケープ(フォード)16.6%減の2万865台 前月も5位
6位 エクスプローラー(フォード)8.7%減の2万865台 前月も6位
7位 ハイランダー(トヨタ)2.6%増の1万8,456台、前月は8位
8位 チェロキー(フィアット・クライスラー)19.9%増の1万6,887台 前月は圏外
9位 グランド・チェロキー(フィアット・クライスラー)11.8%減の1万6,647台 前月は8位
10位 アウトバック(スバル)2.7%減の1万4,083台、前月も10位
(カバー写真:FiatChrysler)
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