Private Payrolls Moderately Increase, With Fewer Hiring Announcements.
5月のADP全国雇用者数、チャレンジャー人員削減予定数をおさらいしていきます。
米5月ADP全国雇用者数は前月比17.8万人増となり、市場予想の18.7万人増を上回った。前月の16.3万人増(20.4万人増から下方修正)を含め、3ヵ月連続で20万人割れとなる。ただし、2010年2月以来の増加トレンドを維持した。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。
ADP全国雇用者数、3ヵ月連続で20万人割れ。
セクター別では、サービス部門が11.4万人増と前月の12.9万人増(修正値)に届かなかったとはいえ、増加トレンドを維持した。内訳をみると、オンライン小売が伸びるなかで足元の流れを受け継ぎ、専門サービス(3.8万人増→6.1万人増)が最も高い伸びを示したほか、教育(4.8万人増→3.5万人増)、娯楽(1.4万人増→3.3万人増)も堅調。しかし、今回は貿易・輸送(前月の1.3万人増→2.4万人減)が予想外に落ち込んだ。
財部門(製造業、建設、鉱業)は6.4万人増と前月の3.4万人増(修正値)を上回り、3ヵ月ぶりの高水準。14ヵ月連続で増加している。建設(1.1万人増→3.9万人増)と11ヵ月連続で増加したほか、製造業(1.5万人増→1.4万人増)もしっかり。原油先物が2014年11月以来の70ドル超えを達成するなか、鉱業(0.9万人増→1.1万人増)と5ヵ月連続で増加した。
ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「雇用の伸びは鈍化してきたとはいえ力強く、企業は過去最高に及ぶ求人数を抱えながら採用に至っていない」と指摘。その上で「賃金は加速しつつあり、企業にとって人材確保が極めて困難な状況」と文政、雇用鈍化は人材不足が主因との考えを示唆した。
▽米5月チャレンジャー人員削減予定数は増加、年初来では2年ぶりの高水準
米5月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比4.8%減の31,517人と2ヵ月連続で減少した。前月比でも12.6%減と2ヵ月連続で減少している。
発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「1年を通じ人員削減は5〜6月に最も少なく、年末から年初にかけて増加しやすい」と説明する。しかし、足元のオンライン化の流れを受け、小売が人員削減予定数を押し上げたと付け加えた。
5月は人員削減予定数、2017年10月以来の低水準。
(作成:My Big Apple NY)
1~5月の年初来では前年比6.2%増の20万7,977人だった。
人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。
1位 小売 4,946人(全体の15.7%)
2位 サービス 4,698人(全体の14.9%)
3位 ヘルスケア 4,003人(全体の12.7%)
4位 コンピューター製品 2,462人(全体の7.8%)
5位 電気機器 2,000人(全体の6.3%)
州別動向は、年初来で以下の通り。
1位 ニュージャージー州 37,458人(全体の18.1%)
2位 カリフォルニア州 26,230人(全体の17.6%)
3位 テキサス州 17,740人(全体の8.5%)
4位 オハイオ州 14,282人(全体の6.9%)
5位 ニューヨーク州 11,239人(全体の5.4%)
リストラ実施の理由、ランキングは以下の通り。前月の1位はリストラ、2位が閉鎖、3位はコスト削減、4位は契約切れ、5位はM&Aとなる。
1位 リストラ 16,102人(全体の51.1%)
2位 閉鎖 10,228人(全体の32.4%)
3位 コスト削減 1,750人(全体の5.6%)
4位 契約切れ 1,527人(全体の4.8%)
5位 M&A 1,466人(全体の4.7%)
採用予定数は、前年同月比87.3%減の9,889人だった。3ヵ月連続で大幅減となる。前月比でも71.4%減と大きく落ち込んだ。
1位 サービス 3,450人
2位 小売 2,200人
3位 輸送 1,700人
4位 食品 800人
5位 保健 560人
(カバー写真:Tech Jobs Tour/Flickr)
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