Trump Triumphant : Q2 GDP Growth Jumps To 4.1%.
米4〜6月期の実質国内総生産(GDP)成長率・速報値は、前期比年率4.1%増と市場予想の4.2%増を下回った。とはいえ、前期の2.2%増(2.0%増から上方修正)を超え2014年7~9月期以来、約4年ぶりの4%成長を達成している。前年同期比は2.8%増と、前期の2.6%増を超え2015年4〜6月期以来の高水準だった。
GDPの7割を占める個人消費は前期比年率4.0%増と、ヘッドラインと同じく2014年7~9月期以来の力強い伸びを記録した。2013年4~6月期以来の低水準だった前期の2.2%増を上回る。減税効果による可処分所得の拡大が、新車販売台数の改善などを促し、個人消費の回復につながった。GDPへの寄与度は2.69%ポイントと、2014年10~12月以来の高水準だった。
▽個人消費の内訳
・耐久財 9.3%増>前期は2.0%減、2011年4~6月期以来のマイナス
・非耐久財 4.2%増、2014年10~12月期以来の高水準>前期は0.1%増
・サービス 3.1%増、2015年1~3月期以来の高水準<前期は1.0%増
民間投資は、個人消費と反対に鈍化が優勢だった。項目別では、企業の設備投資に相当する構築物投資と機器投資、無形資産がそろって前期以下に。住宅投資は、2期連続でマイナス幅となり、過去5期のうち4回目の減少を示す。在庫投資も、民間投資の重石となった。民間投資の寄与度は0.1%のマイナスと、前期の1.61%ポイント(修正値)から減速。在庫投資の寄与度低下が影響し、在庫投資の寄与度は前期の0.27%ポイントから今回は1.0%ポイントのマイナスとなった。
▽民間投資の内訳
・民間投資 0.5%減、2016年7〜9月期以来のマイナス<前期は9.6%増
・固定資本形成 5.4%増<前期は8.0%増と2014年7〜9月期以来の高水準
・非住宅固定投資(企業の設備投資) 7.3%増<前期は11.5%増と2011年7~9月期以来の高水準
>構築物投資 13.3%増<前期は13.9%増と2014年4~6月期以来の高水準
>機器投資 3.9%増<前期は8.5%増
>無形資産 8.2%増<前期は14.1%増と少なくとも2000年以来の高水準
・住宅投資 1.1%減>前期は3.4%減
・在庫投資 279億ドル減、5期ぶりの減少<前期は303億ドル増
純輸出の寄与度は、3期ぶりにプラスに転じただけでなく2013年10~12月期以来の力強さで成長を押し上げた。政府支出の寄与度も0.37%ポイントと前期の0.27%ポイントを大きく上回った。
▽純輸出
・純輸出の寄与度 1.06%ポイント、3期ぶりにプラスを回復し2013年10~12月期以来の高水準>前期は0.02%ポイントのマイナス
▽政府支出
・政府支出 2.1%増>前期は1.5%増
・連邦政府 3.5%増>前期は2.6%増(連邦政府は防衛支出が5.5%増、非防衛財は0.6%増)
・州政府・地方政府 1.4%増>前期は0.9%増
Q2の成長率、個人消費と純輸出が牽引した一方で企業部門は寄与せず。
GDP価格指数は前期比年率2.3%上昇し、市場予想と一致し前期の2.5%から鈍化した。PCEデフレーターは1.8%上昇、前期の2.5%を下回る。コアPCEデフレーターは2.0%上昇、市場予想の2.2%並びに前期の2.2%にも届かず。とはいえ、3期連続で2016年7~9月期以来のFOMCのインフレ目標値「2%」乗せを遂げた。
――企業部門は設備投資を表す非住宅固定投資が力強い伸びを維持しており、在庫投資の大幅減さえなければGDPに寄与していました。従って、Q3に在庫投資が改善すれば、2017年の流れを引き継ぎ、個人消費と企業部門の両輪で成長を牽引できる見通しです。最終需要(貿易と在庫を除いたGDP)は前期比年率3.9%増と、約3年ぶりの高水準だった2017年10~12月期の4.0%増とほぼ変わらずで、内需の強さを示しました。直近の耐久財受注も、機器投資に反映されるコア資本財の受注が前年比で5%を超える伸びを維持しており、成長期待を裏付けます。
最終需要は、ご覧の通り高水準。
一方で、純輸出の寄与度拡大は一時的にとどまる公算。米政権の追加関税措置と報復措置を見据え、大豆など農産物の前倒しで輸出が大幅増を遂げていたためです。それでもQ3は在庫投資の回復により高成長を維持する見通しで、JPモルガンは7~9月期実質GDP成長率の予想を2.5%増→3.6%増に引き上げました。トランプ大統領は、減税効果に押し上げられた今回のGDPを受け「今回の数字は持続可能」で、「通商取引が成立すれば、一段と加速する」とご満悦でしたが、少なくともあと1四半期は高成長を維持できそうです。問題は、トランプ大統領の発言に反し、追加関税措置の影響が現れ、かつ財政政策の恩恵が剥落する来年でしょう。
(カバー写真:The White House/Flickr)
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