Personal Spending And Income Increase At Solid Pace.
米6月個人消費支出・所得、米4~6月期雇用コスト指数をおさらいしていきます。
米6月個人消費支出は前月比0.4%増と、市場予想と一致した。前月の0.5%増(0.2%増から上方修正)に届かなかったとはいえ、4ヵ月連続で増加している。前年比では5.1%増となり、2007年11月以来の力強い伸びを示した。インフレを除く実質ベースでの個人消費は0.3%増と、市場予想の0.4%増に届かず。前月の0.3%増(±0%から上方修正)も下回りつつ、4ヵ月連続で増加している。前年比では2.8%増となり、7ヵ月ぶりの高水準だった。
個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。米6月新車販売台数が好結果だったものの、前月から鈍化した。ガソリン価格が高水準で推移したものの、非耐久財は減少。サービスが伸びを加速させており、レストランやホテルなどで伸びが強まったように夏休み入りを受けサービスに消費をまわした可能性がある。
・モノ 0.046%減、前月の0.865%増から転じ4ヵ月ぶりに減少
>耐久財 0.041%増、前月の0.432%増を下回りつつ4ヵ月連続で増加
>非耐久財 0.087%減、前月の1.083%増から転じ4ヵ月ぶりに減少
・サービス 0.619%増、前月の0.297%増を含め増加基調を維持
個人所得は前月比0.4%増と、市場予想と前月値と一致した。12ヵ月連続で増加した。前年比では4.9%増と2015年8月以来の高水準となる。実質ベースでは前月比0.3%増と、前月の0.2%増(修正値)から改善し、12ヵ月連続で増加。前年比は2.6%増と、前月の2.7%増を超え5ヵ月ぶりの高水準だった。
可処分所得は5月に続き前月比0.4%増となり、12ヵ月連続で増加した。前年比は5.4%増と2015年1月以来の高水準となる。実質ベースの可処分所得は前月比0.3%増となり、12ヵ月連続で増加。前年比は減税効果に支えられ3.1%増と、前月の2.7%増を超え2015年11月以来の3%乗せを果たした。
貯蓄率は6.8%となり、前月と横ばいだった。なお貯蓄率は、米経済分析局が5年毎に行う広範な国内総生産(GDP)の改定を受け、大幅に上方修正された。小規模事業主の所得が当初より上方修正された結果、貯蓄率の大幅見直しにつながった。
実質ベースでの個人所得の伸びが消費支出を上回り、貯蓄率は小幅上昇。
所得の内訳は、前月比で以下の通り。
・賃金/所得 0.3%増、前月と一致(民間が0.4%増と前月の0.3%増を上回る、サービス部門が0.3%増と前月の0.5%増に届かなかった半面、財部門(製造業、鉱業、建設)が0.7%増と前月の減少分を相殺)
・不動産収入 0.5%増、前月の0.1%減を上回る(農場が4.5%増と6ヵ月連続で増加、非農場は0.4%増と2ヵ月連続で増加)
・家賃収入 0.6%増、前月の0.4%増を含め5ヵ月連続で増加
・資産収入 0.7%増と前月の0.7%増を含め5ヵ月連続で増加(配当が0.7%増と2ヵ月連続で増加、金利収入は0.4%増と3ヵ月連続で増加)
・社会補助 0.3%増、前月の0.1%増を含め増加トレンドを維持
・社会福祉 0.3%増、前月の0.1%増を下回り増加トレンドを維持(メディケア=高所得者向け医療保険は0.6%増と増加基調を維持、メディケイド=低所得者層向け医療保険が0.3%増と増加基調を維持、失業保険は0.4%増と5ヵ月ぶりに増加、退役軍人向けが2.0%減と2ヵ月連続で減少)
個人消費支出(PCE)デフレーターは原油価格が70ドルを超え2014年11月以来の高値をつけたが、前月比0.1%上昇し市場予想に並んだ。前月の0.2%から鈍化している。前年比は2.2%上昇し、5月と変わらず。コアPCEデフレーターは前月比0.1%上昇し、3ヵ月続いた0.2%ペースから鈍化した。前年比は5月に続き1.9%上昇、市場予想の2.0%に届かず。5月分が2.0%から下方修正されるなか、FOMCのインフレ目標値の2%乗せに至っていない。なお3月は、2012年4月以降で初めてとなる2.0%をつけた。
PCEはFOMCの目標値超えならず。
――個人消費はサービスに支えられ堅調を維持し、米4~6月期実質GDP成長率・速報値と整合的です。ガソリン価格の上昇にも関わらずインフレが安定的で、個人消費を下支えしているもよう。減税効果も奏功したのでしょう。問題は追加関税効果で、7月ベージュブックでは川上で物価上昇を確認し、決算発表でもキャタピラーといった資本財メーカーだけでなくP&Gといった消費財関連まで値上げを発表しており、物価上昇圧力が高まりつつあります。
▽米4~6月期雇用コスト指数、前年比では2008年以来の力強さを示す
米4~6月期雇用コスト指数は前期比0.6%の上昇となり、市場予想の0.7%を下回った。前期の0.8%に届かなかったとはいえ、高い伸びを維持している。内訳をみると、賃金・給与と福利厚生がそろって0.5%上昇と前月の0.9%を下回った。民間の賃金が0.6%上昇したほか、政府も0.7%の上昇と力強いモメンタムを保つ。福利厚生は民間が0.8%上昇、政府は0.9%上昇し、それぞれ直近で最高を示した。
雇用コスト指数は前年同期比2.8%上昇し、2008年7~9月期以来の高いレベルに達した。
雇用コスト指数、前年比は好調なペースを維持。
賃金が2.8%と同じく金融危機以来の高水準で、賃上げ圧力が徐々に高まってきた可能性を示した。福利厚生は2.9%と前期の2.6%を超え2011年10~12月期以来で最高だった。
(カバー写真:Peter Mooney/Flickr)
Comments
米7月消費者信頼感は小幅改善も、見通し指数は2ヵ月連続で低下 Next Post:
対中追加関税など関係ナシ、中国人ミリオネアの人気NO.1は米国