Tariff Concerns Drags Manufacturing Index Again In July.
7月のISM製造業景況指数とマークイット製造業PMI・確報値、米6月建設支出をおさらいしていきます。
米7月ISM製造業景況指数は58.1となり、市場予想の59.4を下回った。トランプ政権の鉄鋼・アルミ関税が3月に発動し6月からはEU、カナダ、メキシコに拡大、さらに通商法301条を根拠とした対中関税措が7月6日発動するなか、3ヵ月ぶりの低水準。とはいえ、2004年5月以来の高水準を達成した2月の60.8に近いレベルを保つ。
詳細は、以下の通り。
・生産 58.5<前月は62.3、5ヵ月ぶりの高水準、6ヵ月平均は59.1
・新規受注 60.2<前月は63.5、6ヵ月平均は62.5
・雇用 56.5>前月は56.0、6ヵ月平均は56.7
・在庫 53.3>前月は50.8、6ヵ月平均は53.2
・新規輸出受注 55.3、2017年10月以来の低水準<前月は56.3、6ヵ月平均は57.7
・入荷遅延 54.7<前月は68.2、2004年以来の高水準、6ヵ月平均は62.5
・仕入れ価格 73.2、6ヵ月ぶりの低水準<前月は76.8、6ヵ月平均は76.9
ISMのティモシー・フィオーレ会長は、結果を受け「回答者は、あらためて報復関税を含めた追加関税措置の影響がビジネスにどのように現れるか懸念している」との見方を示した。今回は「18業種のうち17業種で拡大した」といい、前月と変わらず。一方で、縮小を報告した業種は鉄鋼・アルミ関税に直面する一次金属となる。
▽米7月IHSマークイット製造業PMI・確報値、5ヵ月ぶりの低水準
米7月IHSマークイット製造業PMI確報値は55.3と、市場予想と速報値の55.5を下回った。前月の55.4にもわずかながら届かず、5ヵ月ぶりの低水準に並ぶ。生産が8ヵ月ぶりの水準に鈍化したほか、雇用も前月以下にとどまった。その一方で、新規受注が前月を上回った。仕入れ価格も2012年3月以来で3番目の水準へ上振れしている。
クリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、今回の結果を受け「製造業のセンチメントは高水準を保つが、入荷遅延に伴う供給不足に加え仕入れ価格の上昇、輸出の減速などの向かい風に直面しつつある」と懸念を寄せた。また「生産は年率1%増のペースと換算でき、昨年以来のペースへの鈍化が見込まれる」という。
ISM製造業景況指数とマークイットの景況感は低下も、ISMの雇用は改善
――鉄鋼・アルミ追加関税や対中追加関税の発動を受けて、入荷遅延の状態が続き原材料業者の価格決定力は増すばかり。ISMでこそ仕入れ価格は低下したものの、今後は最終価格に上乗せされてもおかしくありません。米6月コアPCEは2%割れで推移したものの、インフレの芽吹きを示すのは時間の問題でしょう。
▽米6月建設支出、住宅・非住宅ともに減少し3ヵ月ぶりにマイナス
米6月建設支出は前月比1.1%減の年率1兆3,172億ドルとなり、市場予想の0.3%増を下回った。前月の1.5%増(0.4%増から上方修正)をほぼ打ち消す動きをみせ、3ヵ月ぶりに減少している。
内訳をみると、住宅が0.5%減と前月の1.4%増から転じ3ヵ月ぶりに減少。非住宅も1.6%減と前月の1.3%増から転じ増加基調を9ヵ月で止めた。建設支出の前年比は6.1%増と、約1年ぶりの高水準だった前月の6.3%増を下回った。
民間は前月比0.4%減と、前月の0.9%増から転じ3ヵ月ぶりに減少した。住宅が0.5%減と前月の1.3%増から転じ3ヵ月ぶりに減少。非住宅も0.3%減と3ヵ月ぶりに減少している。公共は3.5%減と、前月の3.0%増を打ち消した。住宅が3.7%減とこちらも前月の3.0%増を相殺したほか、非住宅も3.5%減となる。
――米6月建設支出まで一連の経済指標を受け、アトランタ地区連銀は米4~6月期実質GDP成長率予測値を前期比年率5.0%増とし、従来の4.7%増から引き上げました。6月の結果は予想外に下振れしたものの、前月分が上方修正され補ったかたちです。ただアトランタ地区連銀は経済指標が出そろうGDP発表前に現実的な数値へ戻す傾向があり、さすがに2期連続での4%成長は見込みづらいでしょう。
(カバー写真:Washington State Dept of Transportation/Flickr)
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