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9月の中古住宅販売は約3年ぶり低水準、住宅着工件数も減少

by • October 22, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1748

Housing Starts Decline, Exiting Home Sales Decrease To 3-Year Low.

米9月中古住宅販売件数と米9月住宅着工件数をおさらいしていきます。

全米リアルター協会(NAR)が発表した米9月中古住宅販売件数は年率515万件と、市場予想の529万件を下回った。前月の533万件(534万件から下方修正)から3.4%減少。6ヵ月連続で減少した結果、2015年11月以来の低水準を示す。前年比では4.1%減と、7ヵ月連続でマイナスだった。金利上昇や価格の高止まりを背景に、新規購入者をはじめ需要を抑えたとみられる。

内訳をみると一戸建てが458万件と、前月の474万件を3.4%下回った。6ヵ月連続で減少した結果、2015年11月以来の低水準となる。複合住宅も3.4%減の57万件となり、2015年1月以来の低水準だった。

4大地域別では、1地域が横ばいだった程度で他は全て減少した。今回は中西部が±0%の128万件となった。その他、住宅市場の規模が最大の南部が5.4%減(6ヵ月連続で減少)の211万件、IT関連企業が多い西部は3.6%減(2ヵ月連続で減少)の108万件、複合住宅の比率が高い北東部は2.9%減(前月から減少に反転)の68万件だった。

在庫件数は前月比1.6%減の188万件と3ヵ月連続で減少した結果、5ヵ月ぶりの低水準だった。前年比では1.1%増と、2ヵ月連続でプラスとなる。在庫件数は2016年12月に165万件と1999年以来での最低を更新していたが、中古住宅での需給ひっ迫の厳しさが緩和しつつある。販売の減少率が在庫を上回ったため、在庫相当は前月まで3ヵ月連続で4.3ヵ月を経て、4.4ヵ月と2016年9月以来の水準に延びた

中央価格は、前年比で4.2%上昇の25.81万ドルだった。前月比では2.8%下落し、過去最高の更新を4ヵ月で止めている。とはいえ、上昇率は米9月雇用統計で示された平均時給の上昇率を大幅に超えた水準を保った。販売日数は32日と、前月の29日から延びた。ただ、引き続き前年同月の34日以下となる。NARは、販売件数の47%が1ヵ月位以内に買い手がついたと説明、前月の55%を下回った。

買い手の内訳は、以下の通り。

・差し押さえ物件2%、統計を開始した2008年10月以来で最低=前月は2%、前年同月は3%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅)1%=前月は1%、前年同月は1%
・新規購入者32%>前月は31%、前年同月は29%
・現金購入者21%>前月は20%、前年同月は20%
・住居用ではなく投資向け13%=前月は13%、前年同期は15%

中古住宅販売件数、一戸建てが減少し全体を押し下げ。

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(作成:MyBigAppleNY)

発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、今回の結果を受け「住宅ローン金利が約10年ぶりの水準へ上昇したため、住宅購入をためらう潜在顧客が増加した」と説明した。さらに「値ごろ感のある住宅販売件数は限定的で、全米全体の販売動向を押し下げている」との見方を示す。

――ユン氏が指摘するほどではないものの、米抵当銀行協会(MBA)が算出する30年物住宅ローン固定金利は、2010年2月以来の水準へ上昇しています。

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(作成:My Big Apple NY)

今後の金利上昇を踏まえ駆け込み需要が入る可能性を残すものの、①高止まりする住宅価格、②2016~2018年初めにかけての販売件数の増加、③Fedの利上げ――を背景に、少なくとも2019年にかけ弱含んでもおかしくありません。

▽米9月住宅着工件数、一戸建てと複合ともに弱く3ヵ月ぶりに減少

米9月住宅着工件数は年率120.1万件と、市場予想の121.0万件に届かなかった。前月の126.8万件(128.2万件から上下方修正)を5.3%下回り、3ヵ月ぶりに減少。2007年7月以来の高水準を遂げた1月の133.4万件以下が続く。

内訳をみると、一戸建てが前月比0.9%減の87.1万件と3ヵ月ぶりに減少した。変動の大きい複合住宅は15.2%減の33.0万件と、過去4ヵ月間で3回目の減少となる。

前年比では、住宅着工件数が3.7%と2ヵ月連続でプラスだった。一戸建てが4.8%増と、3ヵ月連続で増加。複合住宅は今回の急増を追い風に、0.9%増と②ヵ月連続で増加した。

住宅着工と建設許可件数、2007年以来の高水準を下回る推移を継続。

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(作成:My Big Apple NY)

4大地域別では2地域で増加し、前月のゼロから改善した。今回は、北東部が29.0%増(4ヵ月ぶりに増加)の12.0万件だった。西部は6.6%増(2ヵ月連続で増加)の35.4万件に。一方で、南部は13.7%減(3ヵ月ぶりに減少)の56.7万件、中西部は14.0%減(3ヵ月ぶりに減少)の16.0万件だった。

建設許可件数は124.1万件となり、市場予想の127.5万件に及ばなかった。前月の124.9万件(122.9万件から上方修正)を0.6%下回る。内訳をみると、一戸建てが2.9%増の85.1万件と前月から増加に転じたほか、複合住宅も7.6%減の39.0万件と、6ヵ月連続で減少した。

建設中件数は前月比0.3%増の112.9万件となり、2007年7月以来の高水準。一戸建てが0.4%増の52.2万件と増加に転じたほか、複合住宅は0.2%増の60.7万件と2ヵ月連続で増加した。

――住宅着工件数によれば、一戸建ての着工件数の75%が販売用と推計されるため、65.3万件が市場に流入する見通しです。米8月新築住宅販売件数が62.9万件だったため、在庫が増加する可能性を示唆します。新築住宅の在庫をみると、2009年2月以来の水準まで増加中。5ヵ月ぶりの水準へ減少した中古住宅と、明暗を分けます。

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(作成:My Big Apple NY)

その割に価格が値崩れしていないだけに、金利上昇も手伝って住宅市場の減速は暫く続きそうです。

(カバー写真:Warren LeMay/Flickr)

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