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米10月消費者信頼感は18年ぶり高水準、年末商戦控え購入意欲も上々

by • October 31, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1579

Consumer Confidence Hits Highest In 18 Years Before The Holidays.

米10月消費者信頼感指数、米8月S&P/ケースシラー住宅価格指数をおさらいしていきます。

米10月消費者信頼感指数は137.9となり、市場予想の135.9を上回った。前月の135.3(138.4から下方修正)も超え、2000年9月以来の高水準を達成。内訳をみると、現況指数が172.8と、前月の169.4(173.1から下方修正)を超え、2000年12月以降で最高に。見通し指数も114.6と、前月の112.5(115.3から下方修正)から上振れし、2000年9月以来の高水準を遂げた。期間中、ナスダックが調整相場入りし、ダウやS&P500が年初来の上昇を打ち消す場面がみられたほか、米中通商交渉も進展に乏しい展開となった。さらに、米10年債利回りが一時3.25%と約7年ぶりの水準へ上昇するなど悪材料が重なったが、NAFTA再交渉が合意に至り、一部の不確実性を払拭させた。

発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、結果を受け「消費者は労働環境を背景に足元の景気動向に非常に前向きで、見通し指数も上昇しており2019年にかけ米経済は力強さを維持する」と楽観的にまとめた。

消費者信頼感指数、ITバブルに沸いた2000年9月以降で最高。

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(作成: My Big Apple NY)

現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは32.7と、前月の30.0を超え2001年1月以来で最高となる。以下は、結果の詳細。

ビジネス環境については、「良い」が上昇し「悪い」が低下
「良い」40.5%→前月の39.9%から上昇、前年同月は34.4%
「悪い」9.2%→前月の9.6%から低下、前年同月は13.5%
「普通」50.3%→前月の50.5%から低下、前年同月は52.1%

労働市場については「豊富」が上昇し、「困難」と「あまり豊富でない」が低下した。結果、「豊富」から「あまり豊富でない」を差し引いたDIは、2ヵ月連続でプラスとなる。

「職が豊富」45.9%→前月の44.1%から上昇、前年同月は36.7%
「あまり職が豊富ではない」40.9%→前月の41.8%から低下、前年同月は46.2%
「職探しが困難」13.2%→前月の14.1%から低下、前年同月は17.1%

6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が上昇、「悪化する」が低下
「良くなる」26.3%→前月の25.8%から上昇、前年同月は22.1%
「悪化する」7.4%→前月の8.3%から低下、前年同月は7.0%
「変わらず」66.3%→前月の65.9%から上昇、前年同月は70.9%

6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」と「減少」が低下、「増加」は24ヵ月連続で「減少」を上回る
「雇用が増加する」21.9%→前月の22.1%から低下、前年同月は18.7%
「雇用が減少する」10.5%→前月の11.4%から低下、前年同月は11.6%
「変わらず」67.6%→前月の66.5%から上昇、前年同月は69.7%

6ヵ月先の所得への見方は「増加」と「減少」が上昇
「増加する」24.7%→前月の22.5%から上昇、前年同月は20.3%
「減少する」8.5%→前月の7.6%から上昇、前年同月は7.5%
「変わらず」66.8%→前月の69.9%から上昇、前年同月は72.2%

購入見通しは、家電以外で上昇した。自動車は13.8%と前月の13.7%を超え、9ヵ月ぶりの高水準となる。住宅も6.4%と、6ヵ月ぶりの水準を回復。家電のみ52.4%と3ヵ月ぶりの低水準だったが、3ヵ月連続で50%超えとなった。

購入見通しは、2項目で上昇。

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(作成:My Big Apple NY)

所得層別では、直近では低所得者層ほど改善。

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(作成:My Big Apple NY)

――米7~9月期実質GDP成長率で成長を牽引した流れを引き継ぎ、米10月消費者信頼感指数は18年ぶりの高水準を塗り替えてきました。購入見通しも家電以外が上向き、GDPの約7割を占める個人消費が力強さを維持する公算が大きい。企業決算では、追加関税措置を受けコスト増や値上げが報告されましたが、良好な労働環境を背景に消費者の楽観度は強まりをみせています。

消費者の楽観度が高まった一因に、インフレ見通しが挙げられます。賃金見通しが前年比2.76%と2013年の統計開始以来で最高だった半面、1年先のインフレ期待は同3.0%へ上昇と前月と変わらずでした。

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(作成:My Big Apple NY)

インフレ見通しが安定的であるように、追加関税措置が発動されるなか、これまで物価上昇率はコアPCE価格指数消費者物価指数をみても、限定的です。逆に、関税措置に伴う価格上乗せが最終価格に波及すれば、消費者マインドが低下する可能性を残します。

▽米8月S&P/ケースシラー住宅価格指数、20都市は1年ぶりに6%割れ

米8月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前)は前年同月比5.77%上昇の205.81となり、前月の205.35(修正値)を抜け過去最高を更新した。20都市別の季節調整前では5.77%上昇の213.72となり、市場予想の5.80%に届かず。前月の5.99%(6.00%から下方修正)を下回り、2017年8月以来の6%割れを示した。季節調整済み・20都市別の前月比は0.09%の上昇と、市場予想の0.10%を下回った。前月の0.07%(0.09%から下方修正)にも及ばず、4ヵ月ぶりのマイナスを意識した。

20都市別での季節調整済みベース・前月比では、17都市で上昇し7月の13都市から改善した。トップは3ヵ月連続でネバダ州ラスベガスとなり1.14%の上昇、2位は7月に3位だったオハイオ州クリーブランドで、0.64%上昇した。3位はフロリダ州タンパで0.58%上昇している。ワースト1位はワシントン州シアトルで0.99%の低下、同2位は5~7月までワースト1位だったNY州NYで0.36%の低下、続いてカリフォルニア州サンディエゴが0.27%の低下となった。

(カバー写真:Juan José Richards Echeverría/Flickr)

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