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米10月ADP全国雇用者数、労働市場の力強さを再確認

by • November 1, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1693

Private Sector Job Growth Posts 8-Month High, Employment Cost Index Surges.

米10月ADP全国雇用者数、米7~9月期雇用コスト指数をおさらいしていきます。

米10月ADP全国雇用者数は前月比22.7万人増となり、市場予想の18.7万人増を上回った。前月の21.8万人増(23.0万人増から下方修正)も超え、8ヵ月ぶりの高水準。サービス部門が牽引したほか、財部門は前月以下だったものの堅調な伸びを維持した。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADP全国雇用者数、8ヵ月ぶりの高水準。

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(作成:My Big Apple NY)

セクター別では、サービス部門が18.9万人増と前月の17.0万人増(修正値)を上回った。内訳をみると、ホリデー商戦前とあって貿易・輸送(6.1万人増、前月は2.7万人増)と娯楽・宿泊(4.0万人増、前月は1.4万人増)が力強い伸びを示した。情報は、7ヵ月連続での減少にブレーキを掛け、今回は0.4万人増となる。その他は、前月以下の伸びが優勢。専門サービス(3.6万人増、前月は6.6万人増)が増加幅を半減させたほか、教育(3.1万人増、前月は4.1万人増)や金融(0.4万人増、前月は1.7万人増)も鈍化した。

財部門(製造業、建設、鉱業)は3.8万人増と、5ヵ月ぶりの高水準だった前月の4.6万人増(修正値)を下回った。内訳をみると、原油先物が10月入りに約4年ぶりに75ドルに乗せた後、65ドル台まで下落する局面を迎えるなか、鉱業(0.4万人増、前月は0.5万人増)は安定した伸びを保つ。一方で、製造業(1.7万人増、前月は1.0万人増)は前月を上回ったが、建設(1.7万人増、前月は3.3万人増)は伸びをほぼ半減させるなど、まちまちだった。

ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「労働市場はハリケーンが相次いで上陸するなか、前月から力強く改善した」と評価した。好調な労働市場の反映として、「雇用増は広範囲にわたっている」とも指摘。唯一の問題点としては、「中小企業での人手不足」を挙げるにとどめた。

――1~9月までのADP全国雇用者数は平均で20.2万人増に対し、雇用統計・民間就労者数は20.0万人増と、実はそれほど変わりません。9月分こそADP全国雇用者数が21.8万人増に対し雇用統計・民間就労者数が12.1万人増と大幅にかい離しましたが、代わりに後者は過去2ヵ月分で8.7万人もの上方修正がありました。従って、10月の雇用統計はADP全国雇用者数の数字に収れんする可能性を残します。

▽米7~9月期雇用コスト指数、前年比で2008年以来の力強さ

米7~9月期雇用コスト指数は前期比0.8%の上昇となり、市場予想の0.7%を上回った。前期の0.6%を超え、2007年10~12月以来の高い伸びに並んだ。内訳をみると、賃金・給与が0.9%の上昇とけん引、政府が0.9%の上昇と直近で最高の伸びだったほか、民間も0.8%上昇した。福利厚生は0.4%増と前期の0.9%増を下回ったとはいえ安定的な伸びとなり、民間が0.4%上昇、政府は0.9%上昇し、それぞれ直近で最高を示した。

雇用コスト指数は4~6月期に続き前年同期比2.8%上昇し、2008年7~9月期以来の高いレベルを維持した。

雇用コスト指数、前年比は好調なペースを維持。

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(作成:My Big Apple NY)

賃金・給与は2.9%上昇、2008年7~9月期以来で最大の伸びとなった。特に民間の賃金・給与は3.0%上昇し2008年4~6月期以来の高水準をつけ、賃上げ圧力が徐々に高まってきた可能性を示す。福利厚生は逆に2011年10~12月期以来で最高だった2.9%から、2.6%へ戻した。

(カバー写真:UN Geneva/Flickr)

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