Job Openings And Hires Decline From All-Time High, Lay-offs Also Fall.
米労働省が発表した米9月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は700.9万人と、市場予想の708.5万人を上回った。過去最高となった前月の729.3万人(713.6万人から上方修正)からは、1.9%減少している。求人数自体は7ヵ月連続で失業者数を上回り、労働市場の一段の逼迫を示した。
求人数VS失業者数、雇用動態調査の7ヵ月連続で求人数に軍配。
新規採用者数は、前月比2.7%減の574.4万人だった。過去最高を更新した前月の590.6万人(修正値)に届かず。米9月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の鈍化と、ほぼ整合的だ。
離職者数は前月比2.0%増の566.7万人と、4ヵ月ぶりに減少した。過去最高をつけた2001年1月の606.6万人近くだった前月の577.9万人から、やや後退した。定年や自己都合による離職者は1.3%減の360.1万人と、過去最高をつけた前月の364.8万人以下に。解雇者数は5.0%減の170.0万人だった。
求人率は4.5%と、過去最高を更新した前月の4.7%から低下した。民間が前月の4.9%から4.8%へ低下したほか、政府は前月の3.0%から2.6%へ低下した。
採用率は3.8%と、2001年5月以来の4%乗せを果たした前月の4.0%を下回った。民間は4.2%と、過去最高だった前月の4.4%から低下した。政府は前月と変わらず、1.6%だった。
求人数と採用数、ともに過去最高から鈍化も高水準を維持。
自発的および引退、解雇などを含めた離職率は、前月に続き3.8%だった。民間が前月の4.3%から4.2%へ低下したほか、政府も前月の1.6%を下回り1.5%だった。自発的離職率は3ヵ月連続で2.4%と、2001年4月以来の高水準を保つ。解雇率は前月の1.2%から1.1%へ低下、2000年12月に統計が開始してから最低となる3月の1.0%に近づいた。
自発的離職者数は高水準を維持し、解雇者数は減少。
――以上の結果を踏まえ、今となっては懐かしいイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中6項目で、7~8月と変わらず。未達項目は長期失業者の割合をはじめ労働参加率、非農業部門就労者数です。ただ非農業部門就労者数は労働市場逼迫に伴い、鈍化してもおかしくありません。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字となります。
1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 4.5%
2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%
3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.4%
4)採用率—○
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.8%
5)非農業部門就労者数—×
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 22.4万人増
現時点の3ヵ月平均 21.8万人増
6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 3.7%
7)不完全失業率—○
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 7.4%
8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 22.5%
9)労働参加率—×
2015年9月(最悪時点) 62.3%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.9%
有効求人倍率は新規採用者数が横ばいだったものの2.07倍と、2000年以降で最高を記録しました。
――米9月雇用動態調査では求人数と新規採用者数が過去最高から鈍化したとはいえ、力強さを保ちます。米10月雇用統計で示されるように、10月は改善するのでしょう。解雇者数も減少し、労働市場は健全そのものといった感が漂います。しかし長い目で見ると、減税効果の剥落などと共に悪材料が労働市場に影響を及ぼすリスクも。9月の米銀ウェルズ・ファーゴに加え、10月は自動車メーカーのフォード、通信大手ベライゾンも再建計画の一環で雇用削減に努めていますよね。鉄鋼・アルミ関税、対中追加関税措置が現時点の2,500億ドル(第1弾:500億ドル、第2弾:2,000億ドル)、さらに年明けに想定される2,670億ドル相当の対中追加関税措置が講じられれば、人員削減が他企業へ波及するリスクに注意すべきでしょう。
(カバー写真:CivicAction GTHA/Flickr)
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