Fed’s Rate-Hike Show Will Go On While Capital Spending Slows.
11月7~8日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想通りFF誘導金利目標を2.00~2.25%で据え置いた。声明文では、経済活動をめぐり前回通り「力強いペース」で拡大したと明記。ただし、設備投資については設備投資の減速を指摘し、前回から表現を下方修正させた。今回の声明文の主な変更点とポイントは、以下の通り。
【景況判断】
景況判断は「経済活動は、力強い(strong)ペースで拡大している」で変わらず
※米7~9月期の実質GDP成長率・速報値は前期に続き3%以上の成長を達成。
前回:「雇用の伸びは足元数ヵ月にわたり概して引き続き力強く、失業率は低水準を保つ」
↓
今回:「雇用の伸びは足元数ヵ月にわたり概して引き続き力強く、失業率は低下した」
※米10月雇用統計で非農業部門就労者数は20万人を超えるペースで増加、失業率も1969年末以来の水準へ低下。
前回:「家計支出と企業投資は力強く伸びている」
↓
今回:「雇用の伸びは足元数ヵ月にわたり概して引き続き力強く、失業率は低下した」
※米7~9月期の実質GDP成長率・速報値では、企業部門が在庫投資で押し上げられた半面、設備投資を表す構築物投資、機器投資、無形資産が鈍化。また、米9月耐久財受注でも、コア資本財の伸びが大幅に減速した。
設備投資の減速は、一時的か否か。
物価については「前年比ベースで、全体的なインフレと食品とエネルギーを除くコアインフレは2%近くで推移し続けている」で変わらず
※9月の消費者物価指数は鈍化、ヘッドラインとコアで鈍化。PCEも全体の前年比で鈍化がみられ、コアは3ヵ月連続で物価目標の水準となり、伸び悩む状況。
【統治目標の遵守について】
「委員会は、さらなるゆるやかなFF金利目標レンジの引き上げが、経済活動の持続的な拡大、力強い労働市場の動向、2%という物価目標の達成に適うと予想する」
※6月、8月、9月に続き維持。
【政策金利について】
FF金利誘導目標を2.0~2.25%で維持。
「FF金利の目標レンジを調整する時期と規模を決定する上で、委員会は最大限の雇用という目標と2%と対称的な物価の目標に照らし合わせ、経済動向の実勢と見通しを評価する」との文言は据え置き。
【票決結果】
票決は、1、3、5、6、8、9月に続き7回連続で全会一致。今回から、サンフランシスコ連銀総裁に就任したデイリー氏が投票メンバーに入った。輪番制である地区連銀総裁からは今年、クリーブランド連銀のメスター総裁、リッチモンド連銀のバーキン総裁、アトランタ連銀のボスティック総裁のほか、前回に続きタカ派で知られるカンザスシティ連銀のジョージ総裁が加わった。今年の投票メンバーでサンフランシスコ連銀総裁だったウィリアムズ氏が、FOMCの副議長で常任投票メンバーであるNY連銀総裁職に横滑りしたための措置。なお2017年の地区連銀総裁の投票メンバーはシカゴ連銀のエバンス総裁、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁、ダラス連銀のカプラン総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁。投票結果は同年1月、5月、7月、9月、11月の5回で全会一致だったが、同年3月と同年6月にミネアポリス連銀総裁1人が据え置きを求め反対票を投じ、同年12月はミネアポリス連銀総裁にシカゴ連銀総裁が加わった格好である。
――FOMC声明文は設備投資の減速が盛り込まれた程度で、ほぼ変更はありません。「力強い」という表現は前回と変わらず4回で、米株安やエマージング諸国の景気鈍化など、不確実性への言及はなし。金融政策に関する文言も据え置き、事実上、来月への利上げに向け地均しした格好です。
ちなみに、FRB議長の記者会見を予定しないFOMCは、今回で最後となります。来月からは、毎回FOMC後にパウエルFRB議長が登場し、説明責任を果たす方針です。ただ、コーカー米上院議員が「退屈」と感想を述べたように、パウエルFRB議長はそつなくこなすタイプなので、毎回ネタになるような話が出てくるかは微妙な情勢と言えるでしょう。
(カバー写真:Federalreserve/Flickr)
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