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米11月消費者信頼感は18年ぶり高水準から低下、見通は楽観後退

by • November 28, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2096

Consumer Confidence Slips From 17-Year High, Expectations Weaken Somewhat.

米11月消費者信頼感指数、米9月S&P/ケースシラー住宅価格指数、米9月住宅価格指数をおさらいしていきます。

米11月消費者信頼感指数は135.7となり、市場予想と一致した。2000年9月以来の高水準を達成した前月の137.9を下回ったが、それに続く高水準となる。内訳をみると、現況指数が172.7と、前月の171.9(172.8から下方修正)を超え、2000年12月以降で2番目の高水準だった。逆に見通し指数は111.0と、ヘッドラインと同じく3ヵ月ぶりの水準へ巻き戻している。前月は115.1(114.6から下方修正)と、2000年9月以来の高水準を遂げていた。

期間中、FANG銘柄が弱気相場入りしたほかS&P500 やダウも下落を続け、米10月耐久財受注など鈍化がみられた。一方で、米10月雇用統計は平均時給と合わせ好調。G20首脳会合で米中首脳会談の実施に期待が掛かった半面、米10年債利回りの上昇が一服したほか原油先物の下落を通じたガソリン価格が下落するなど、強弱ミックスとなった。

発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、結果を受け「11月は小幅低下したとはいえ、ヒストリカルで高水準を保つ」と評価した。現況指数の上昇は「労働市場の改善が牽引した」と指摘しつつ、期待指数の低下は「企業活動見通しや所得見通しに楽観度が後退したため」と説明する。全般的には「消費者は経済見通しに落下的で2019年初めも堅調なペースが予想される」という。ただし、期待指数が数ヵ月以内に一段の低下を示せば「成長ペースは鈍化しそうだ」とまとめた。

消費者信頼感指数、ITバブルに沸いた2000年9月以降で2番目の高水準。

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(作成: My Big Apple NY)

現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは34.4と、前月の32.0を超え2001年1月以来で最高となる。以下は、結果の詳細。

ビジネス環境については、「良い」と「悪い」が上昇
「良い」41.2%→前月の41.0%から上昇、前年同月は35.0%
「悪い」10.9%→前月の9.4%から上昇、前年同月は12.3%
「普通」47.9%→前月の49.6%から低下、前年同月は52.7%

雇用については職が「豊富」との回答が上昇し、「困難」は低下、「あまり豊富でない」は横ばい。結果、「豊富」から「あまり豊富でない」を差し引いたDIは、3ヵ月連続でプラスとなる。

「職が豊富」46.6%→前月の45.4%から上昇、前年同月は37.5%
「あまり職が豊富ではない」41.2%→前月の41.2%と変わらず、前年同月は45.7%
「職探しが困難」12.2%→前月の13.5%から低下、前年同月は16.8%

6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が低下、「悪化する」が上昇
「良くなる」22.5%→前月の26.3%から低下、前年同月は21.3%
「悪化する」8.8%→前月の7.2%から低下、前年同月は6.7%
「変わらず」68.7%→前月の66.5%から上昇、前年同月は70.2%

6ヵ月先の雇用への見方は職が「増加」と「減少」が上昇、「増加」は25ヵ月連続で「減少」を上回る
「雇用が増加する」22.8%→前月の22.3%から上昇、前年同月は21.3%
「雇用が減少する」11.1%→前月の10.6%から低下、前年同月は12.1%
「変わらず」66.1%→前月の67.1%から低下、前年同月は66.6%

6ヵ月先の所得への見方は「増加」と「減少」が低下
「増加する」21.5%→前月の24.7%から上昇、前年同月は20.3%
「減少する」7.8%→前月の8.2%から低下、前年同月は7.6%
「変わらず」70.7%→前月の67.1%から上昇、前年同月は72.1%

購入見通しは、前月と反対に家電のみが上昇した。家電は54.0%と、7ヵ月ぶりの高水準。反対に、住宅は6.4%と、前月と変わらず。自動車は13.8%と、9ヵ月ぶりの高水準だった前月の14.0%をから低下した。

購入見通しは、家電のみが上昇。

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(作成:My Big Apple NY)

所得層別では、直近では米株安などが影響したのか高所得者層で低下目立つ。特に年収25万ドル以上は、11月に10ポイント落ち込んだ。

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(作成:My Big Apple NY)

年齢別では35歳以下、55歳以上で上昇した一方で35~54歳が前月から10ポイントも急落。

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(作成:My Big Apple NY)

――米11月消費者信頼感指数は期待指数が鈍化しましたが、主要州別ではまちまちとなりました。カリフォルニア州は約15ポイント急伸し3ヵ月ぶりの高水準となり、NY州やペンシルベニア州もそれぞれ10ポイント以上の上昇を遂げています。一方で、追加関税措置の影響か、製造業のシェアが高いオハイオ州(州GDPのうち16.6%、ちなみにペンシルベニア州は12.4%)は約27ポイント沈み5ヵ月ぶりの水準へ戻しています。原油安を受けエネルギーの比重が大きいテキサス州(州GDPのうち11.0%)も約13ポイント落ち込み、約1年ぶりの低水準でした。

中間選挙の結果は民主党が下院を奪回し、知事選でも民主党は共和党知事基盤の7州で勝利し、民主党が健闘したと言えます。知事選で言うならオハイオ州は共和党支持が当選を果たしましたが、テキサス州では民主党候補が敗北したとはいえ、善戦しました。経済減速によるセンチメントの低下が2020年の大統領選に響くリスクもあり、センチメントの変化に留意しておいた方が良いでしょう。

▽米9月S&P/ケースシラー住宅価格、20都市は2015年以来の5%割れ視野

米9月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前)は前年同月比5.51%上昇の205.82となり、前月の205.66(修正値)を抜け過去最高を更新した。20都市別の季節調整前では5.15%上昇の213.76となり、市場予想の5.20%に届かず。前月の5.53%(5.49%から下方修正)を下回り、2015年7月以来の5%割れが視野に入った。季節調整済み・20都市別の前月比は0.33%の上昇と、市場予想の0.20%を上回った。4ヵ月ぶりのマイナスを意識した前月の0.09%からは、改善した。

20都市別での季節調整済みベース・前月比では、18都市で上昇し8月の17都市を上回った。トップは4ヵ月連続でネバダ州ラスベガスとアリゾナ州フェニックスで0.88%の上昇、3位はジョージア州アトランタで0.79%上昇した。ワースト1位は前月に続きワシントン州シアトルで0.34%の低下、同2位は前月3位だったカリフォルニア州サンディエゴで―。12%の低下、3位はカリフォルニア州ロサンゼルスで0.14%の上昇となる。

▽米9月住宅価格指数は上昇基調を維持も、前月比でペース鈍化

米住宅金融公社(FHFA)が発表した米8月宅価格指数は前月比0.2%上昇し、市場予想の0.4%を下回った。前月の0.4%(0.3%から下方修正)にも届かず。前年比は6.0%上昇、前月の6.1%を下回り、直近では最低の伸びにとどまる。国勢調査ベースの9地域別では、前月比にて8月に続き7地域で上昇した。

FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボ・ローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS&Pケース/シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。

(カバー写真:Kat Northern Lights Man/Flickr)

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