Consumer Confidence Declines, Expectations Erase The Gain Since The Election.
米12月消費者信頼感指数、米10月S&P/ケースシラー住宅価格指数、米10月住宅価格指数をおさらいしていきます。
米12月消費者信頼感指数は128.1となり、市場予想の133.5を下回った。前月の136.4(135.7から上方修正)にも届かず、5ヵ月ぶりの低水準。10月には2000年9月以来の高水準を達成したが、ピークアウト感が漂う。現況指数が171.6と3ヵ月ぶりの水準へ低下。見通し指数に至っては99.1と、米大統領選が実施された2016年11月以来の水準へ落ち込んだ。
期間中、米株が一段安を迎えナスダックは弱気相場入りし、S&P500 やダウも調整相場を迎えた。原油先物が下落しガソリン価格を下押ししたほか米10年債利回りは上昇が一服しとはいえ、追加関税措置の影響が懸念されるほか世界景気も減速観測が強まり、楽観度が後退したとみられる。
発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ・シニア経済指標ディレクターは、結果を受け「消費者信頼感は前月に続き低下し、期待指数は雇用やビジネス環境の弱まりを受けて下向いた」と説明。センチメントは短期的に「堅調な経済拡大を示唆している」ものの、「2019年に成長が鈍化し始める懸念を表した」と結んだ。
消費者信頼感指数、期待指数が押し下げ5ヵ月ぶりの低水準
現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは34.6と、前月の34.2(修正値)を超え2001年1月以来で最高となる。以下は、結果の詳細。
ビジネス環境については、「良い」が低下し「悪い」が上昇
「良い」37.2%→前月の42.0%から低下、前年同月は35.8%
「悪い」11.3%→前月の10.7%から上昇、前年同月は11.7%
「普通」51.5%→前月の47.3%から上昇、前年同月は52.5%
雇用については職が「豊富」と「困難」が低下も、「あまり豊富でない」が上昇。ただし、「豊富」から「あまり豊富でない」を差し引いたDIは、4ヵ月連続でプラスとなる。
「職が豊富」46.2%→前月の46.8%から低下、前年同月は36.3%
「あまり職が豊富ではない」42.2%→前月の40.6%から上昇、前年同月は47.7%
「職探しが困難」11.6%→前月の12.6%から低下、前年同月は16.0%
6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が2ヵ月連続で低下し前年同月以下に下振れしたほか、「悪化する」が上昇
「良くなる」18.3%→前月の21.9%から低下、前年同月は21.6%
「悪化する」9.7%→前月の8.3%から低下、前年同月は9.0%
「変わらず」72.0%→前月の69.8%から上昇、前年同月は69.4%
6ヵ月先の雇用への見方は職が「増加」が低下し前年同月以下に下振れしたほか、「減少」が上昇、ただし「増加」は26ヵ月連続で「減少」を上回る
「雇用が増加する」16.6%→前月の22.7%から低下、前年同月は18.9%
「雇用が減少する」11.1%→前月の10.6%から上昇、前年同月は15.9%
「変わらず」69.0%→前月の66.1%から上昇、前年同月は65.2%
6ヵ月先の所得への見方は「増加」が低下し前年同月以下に下振れしたほか、「減少」は上昇
「増加する」22.4%→前月の23.2%から低下、前年同月は22.7%
「減少する」7.7%→前月の7.2%から上昇、前年同月は9.0%
「変わらず」69.9%→前月の69.6%から上昇、前年同月は68.3%
購入見通しは、全て低下した。家電は47.7%と2013年1月以来の低水準となった。住宅は6.0%、自動車は12.7%と、それぞれ4ヵ月ぶりのレベルへ巻き戻している。
購入見通しは、全て下振れ。
所得層別では、単月で1.5万ドル以下が上昇した程度に。「年収1.5万~2.49万ドル」が11ヵ月ぶりの水準へ下振れしたほか、「年収10万~12.49万ドル」は7ヵ月ぶり、「年収25万ドル以上」は5ヵ月ぶりの水準へ低下した。
年齢別では、単月で35~54歳が小幅上昇し2001年3月以来の高水準となったが、35歳以下と55歳以上で低下。
――米12月消費者信頼感指数は2ヵ月連続で期待指数が押し下げました。主要州別では前月に続きまちまちながら、NY州とフロリダ州で約15ポイントも急低下しました。11月に約13ポイント急伸したカリフォルニア州も、前月分の上昇を半分巻き戻しています。一方で、米中首脳会談後に中国がLNGや大豆の輸入を再開したと報じられるなか、エネルギー依存度の高いテキサス州は約1年ぶりの低水準だった前月から改善。製造業のシェアが高いと同時に大豆の生産地でもあるイリノイ州とオハイオ州も、上昇しています。2019年2月末に対中追加関税措置の猶予期限切れまでに米中通商摩擦が改善されなければ、せっかく回復したセンチメントは再び冷やされるのでしょうが・・。
▽米10月S&P/ケースシラー住宅価格、20都市は2015年以来の5%割れ視野
米10月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前)は前年同月比5.48%上昇の206.03となり、前月の205.831(修正値)を抜け過去最高を更新している。20都市別の季節調整前では5.03%上昇の213.89となり、市場予想の4.86%を上回った。前月の5.21%(5.15%から上方修正)には届かなかったが、2015年7月以来の5%割れが近づいている。季節調整済み・20都市別の前月比は0.41%の上昇と、市場予想の0.30%を上回った。前月の0.73%(0.33%から上方修正)に届かなかったものの、2ヵ月連続でプラスとなる。
20都市別での季節調整済みベース・前月比では、19都市で上昇し9月の18都市を上回った。トップはネバダ州ラスベガスで0.80%上昇、これまで5ヵ月連続で1位だったアリゾナ州フェニックスは0.75%の上昇で2位となる。3位は前月に続きジョージア州アトランタで0.69%上昇した。ワースト1位は前月に続きワシントン州シアトルで0.32%の低下、同2位はコロラド州デンバーとオハイオ州クリーブランドで0.21%の上昇となる。
▽米10月住宅価格指数は上昇基調を維持も、前月比でペース鈍化
米住宅金融公社(FHFA)が発表した米10月宅価格指数は前月比0.3%上昇し、市場予想と一致した。6ヵ月ぶりの低い伸びだった前月の0.2%を超えている。前年比は5.7%上昇、前月の6.0%を下回り、直近で最低の伸びにとどまった。国勢調査ベースの9地域別では、前月比にて8~9月に続き7地域で上昇した。
FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボ・ローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS&Pケース/シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。
(カバー写真:Joe Flood/Flickr)
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