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12月のADP全国雇用者数は約2年ぶり高水準、人員削減数も鈍化

by • January 4, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off1244

Private Sector Added Largest Payroll, And Job Cuts Slow In December.

新年あけまして、おめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

米12月ADP全国雇用者数、米12月チャレンジャー人員削減予定数、米7~9月期労働生産性をおさらいしていきます。

米12月ADP全国雇用者数は前月比27.1万人増となり、市場予想の17.8万人増を上回った。前月の15.7万人増(17.9万人増から下方修正)を超え、2017年2月以来の高水準となる。サービス部門が伸びが牽引した半面、財部門は原油急落の打撃を受けた鉱業が足を引っ張った。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADP全国雇用者数、2017年2月以来の高水準。

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(作成:My Big Apple NY)

セクター別では、サービス部門が22.4万人増と雇用を主導した。内訳をみると、専門サービスが6.6万人増と牽引したほか、年末商戦の終盤戦とあって娯楽・宿泊も3.9万人増と力強い。

財部門(製造業、建設、鉱業)は4.7万人増となった。内訳をみると、建設が3.7万人増と最も多く、次いで製造業が1.2万人増だった。一方、原油先物が10月入りの75ドルから50ドル割れまで急落する過程で、鉱業は0.2万人減と減少に転じた。

ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「企業は米株安と貿易戦争を受けながら、積極的に採用活動を続けている」と振り返った。その上で「現状のペースで雇用が増加し続ければ、失業率は一段と低下する」と予想。前回の慎重な見方から、再び楽観度を強めた。

――1~12月までのADP全国雇用者数は修正分含め、平均で20.6万人増と3年ぶりの高水準でした。一方で、1〜11月の雇用統計・民間就労者数は20.2万人増と、それほど変わりません。従って、雇用統計は20万人台を回復する期待が高まります。

▽米12月チャレンジャー人員削減予定数、採用予定数と共に増加

米12月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比35.4%増の43,884人と4ヵ月連続で増加した。ただ、11月からは17.3%減と2k月連続で前月比マイナスだった。

2018年通期では、前年比28.6%増の538,659人と2015年以来で最大となった。人員削減の理由として1位は再編、2位に閉鎖、3位に自主退職が挙げられたが、追加関税措置は798人と、ハリケーン”マイケル”は800人以下に。連邦や地方の政府による規制は1,565人だった。アラスカ地震は40人となる。上位の詳細は、以下後述。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのヴァイス・プレジデント、アンドリュー・チャレンジャー氏は結果を受け、法人税減税や力強い経済が企業収益を支えつつ「消費者の嗜好の変化を捉えるべく、多くの企業が(人員削減で)対応していた」と振り返った。12月の人員削減予定数が前月比で減少したのも、セダンからSUVやトラックへ需要がシフトするなか「11月にGMが5ヵ所の向工場閉鎖と14,000人の雇用削減を発表した反動」と言えよう。消費者の嗜好変化は、特に小売でが目立ったが「季節的要因が追い風となって大幅な雇用増も確認し、年末商戦の小売における臨時雇用は71.4万人と2012年以来で最大だった」。消費者への対応を進めたセクターとして、チャレンジャー氏は「自動車、小売、金融」を指摘。今後は「テクノロジー」に広がる可能性を挙げる。

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(作成:My Big Apple NY)

人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。チャレンジャー・グレイ・クリスマスの指摘通り、通信が全体を押し上げた。前月は1位が自動車、2位がヘルスケア、3位が小売、4位がサービス、5位がコンピューターだった。

1位 サービス 6,352人(全体の14.5%)
2位 製薬 5,135人(全体の11.7%)
3位 ヘルスケア 4,665人(全体の10.6%)
4位 メディア 3,599人(全体の8.2%)
5位 航空 3,271人(全体の7.5%)

州別動向は、年初来で以下の通り。10〜11月と変わらず1位がカリフォルニア州、2位がニューヨーク州、3位がニュージャージー州、4位がテキサス州、5位がオハイオ州だった。

1位 カリフォルニア州 97,163人(全体の18.0%)
2位 ニューヨーク州 82,210人(全体の15.3%)
3位 ニュージャージー州 42,642人(全体の7.9%)
4位 テキサス州 27,500人(全体の5.1%)
5位 オハイオ州 26,360人(全体の4.9%)

人員削減実施の理由、年初来のランキングは以下の通り。前月は1位が再編、2位は閉鎖、3位は自主退職、4位はコスト削減、5位は破産だった。なお政府の規制は12位で1,565人、ハリケーン”マイケル”は13位で800人、追加関税措置は14位で798人だった。

1位 再編 184,931人(全体の34.3%)
2位 閉鎖 145,298人(全体の27.1%)
3位 自主退職 46,745人(全体の8.7%)
4位 コスト削減 46,259人(全体の8.6%)
5位 破産 36,016人(全体の6.7%)

採用予定数は、前年同月比2倍増の15,999人だった。前年比ベースで、増加に転じている。年末商戦の臨時雇用による急増が落ち着いた11月からは3.7%増とこちらも増加に転じた。

セクター別では、以下の通り。前月は1位が小売、2位がコンピューター、3位がヘルスケア、4位が輸送、5位が娯楽だった。

1位 自動車 3,275人
2位 コンピューター 2,629人
3位 小売 2,500人
4位 サービス 2,160人
5位 金融 1,436人

――2018年の人員削減予定数は3年ぶりの高水準だったとはいえ、採用予定数も101万8,428人と臨時雇用の71.4万人を含めつつ少なくとも2014年以降で最大を記録しています。雇用動態調査で明らかになる通り、追加関税措置に伴う通商政策への不確実性や米株安にも関わらず、企業の採用意欲は引き続き強いと言える。既にアップルが見通しを引き下げ米株相場はお先真っ暗な状況ですが、増収の見方は変えていません。果たして、足元の米株相場は落ちるナイフなのか否かは、ひとまず1月の決算内容で判明するでしょう。

(カバー写真:COD Newsroom/Flickr)

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