Why Did Trump Exclude Drugs From The Tariff List?
トランプ政権は、なぜ医療用品を第4弾追加関税の対象外にしたのか?
トランプ大統領は中国の翻意に烈火のごとく怒り狂ったのか、対中強硬姿勢を貫いてますね。
第4弾の追加関税措置は約3,000億ドルですから、ほぼ全ての中国製品を対象していることは、火を見るより明らかです。
しかし今回、レアアースと共に医療用品を対象外としました。一体、なぜなのでしょうか?
真っ先に思い浮かぶのは、選挙公約に含まれ、今年の一般教書演説でも登場回数が多かった薬価引き下げです。
トランプ政権が薬価引き下げに取り組むのも当然で、1人当たりの医療関連支出は約1万ドルに及び、世界でも断トツ1位です。G7諸国の平均が約4,600ドルですから、2倍以上なんですね。
その理由は米国の薬価制度にあり、日本などと違って政府が介在しないのですよ。代わりに、民間の薬剤給付管理会社(PBM)が製薬会社と医療保険会社、企業や患者などの間に立ち、価格形成を担います。
PBMは製薬会社との価格交渉に従事し、その上で保険対象となる推奨医薬品リストを作成します。しかし、製薬会社は推奨リスト掲載を狙った薬価の引き下げだけでなく、PBMへのリベート(割戻金)支払いに応じるため、次第にリベートを見込んだ値下げにとどめるようになり、薬価上昇を促してしまいました。
トランプ氏はこうした制度の問題を受け、①医療機関で投与されるメディケア向けの一部医薬品を国際薬価指数に基づいて算出、②医薬品価格が公正に設定され透明性が増す法案を可決、③処方箋薬などを反キックバック法対象外とした連邦規定を修正する案を発表――など、着々と薬価引き下げへの取り組みを進めています。
こうした背景からトランプ政権が薬価を引き下げに努めているとはいえ、米国に輸入された医療用品全体に占める中国の割合は1.36%で、国別でも18位でしかありません。米国からの節税目的組を含め大手製薬会社を抱える1位のアイルランド、2位のドイツ、3位のスイスなどとは、存在感が違います。
しかも、中国が米国に輸出した医療用品の1位は「胃腸薬から麻薬まで含まれる小売形状の薬品」なんですよ。そこには、フェンタニルすなわち米国で蔓延するオピオイドの一種が含まれていると想定され、この方いわく「現代のアヘン戦争」を彷彿とさせる事態になっています。
まさか、200万人以上ともいわれる米国のオピオイド患者に配慮したわけではないでしょうが・・・憶測を呼ぶ数字が並ぶなか、いずれにしてもトランプ政権の生命線の一つが、薬価引き下げであることは間違いありません。
(カバー写真:The White House/Flickr)
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