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Fedの利下げ、転売目的の投資家の市場回帰を促すか

by • June 25, 2019 • Latest News, NY TipsComments Off1390

Will Flippers Come Back To Residential Real Estate Market As Fed Prepares To Cut Rates.

2015年12月から9回の利上げを経て、米連邦公開市場委員会(FOMC)は利下げへ舵を切ろうとしています。そうなると、米株高・米債高・ドル安の見通しが広がるほか、不動産市場が活気を取り戻すのではと想像してしまいますよね。米5月中古住宅販売件数が改善したので、否が応でも期待が高まります。

米国の国内総生産(GDP)で住宅投資が5期連続で押し下げていただけに、トランプ大統領も気掛かりであろう不動産市場。中古住宅販売が全米の住宅販売の9割近くを占めるため、新規購入者だけでなく転売目的の住宅購入者が増加するかがポイントとなるでしょう。

不動産データ分析会社のアトム・データ・ソリューションズによれば、住宅販売に住める転売物件の比率は2019年1~3月期に7.2%と2010年1~3月期以来の高水準でした(米国での転売は、購入した住宅に居住した期間が2年以下の場合に該当)。転売比率が上昇した一因として、企業による転売物件取り扱いの増加が挙げられます。資産データ分析会社コアロジックによれば、ジロー・グループやオープンドア、レッドフィンなどは、個人に代わって転売を行う事業を手掛けているためで、一連の企業による転売比率は40%と2006年の3倍に及ぶのだとか。ちなみに、個人の転売投資家の詳細をみると、平均年齢は39歳と、2006年の29歳を大きく上回っていました。住宅ローン利用者の信用スコア別の中央値をみると、信用力が低いサブプライム層ではなく信用力が高いプライム層が多数を占めています。

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(作成:My Big Apple NY)

従って、住宅販売に占める転売比率が上昇しているとはいえ、金融安定の脅威となるリスクはサブプライム危機より格段に低いと考えられます。

転売物件の比率が上昇したとはいえ、転売物件数そのものは減少していました。前年比8.0%減の4万9,059件と3年ぶりの低水準だったのです。転売物件の投資家も、前年比で11%減少したといいます。

転売目的の投資家が減少する背景に、販売利益の縮小が挙げられます。転売住宅価格(中央値)が21.5万ドルに対し、転売目的の住宅購入価格(中央値)は15.5万ドルでした。結果、転売住宅販売での利益は前年比3.2%下落の6万ドルと、3年ぶりの低水準だったのです。利益率は38.7%と前期の42.5%を大きく下回り、2011年7~9月期以来の低さでした。

9回の利上げは、米国の不動産市場、特に高価格帯で打撃を与えました。例えばマンハッタンの住宅販売件数は2019年1~3月期に6期連続で減少し、過去30年間で最長を記録していたものです。こうした状況を利下げが変えるのか、パウエルFRB議長率いるFOMCのお手並み拝見です。

(カバー写真:Raziel Janeway/Flickr)

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