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6月のISM製造業とサービス業の景況感は下振れ、米中貿易摩擦の悪化懸念が重し

by • July 8, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off1760

ISM Manufacturing Sentiment Edges Down, Service Activity Also Slows In June.

6月のISM製造業景況指数、マークイット製造業PMI確報値、ISM非製造業景況指数、マークイット・サービス業PMI確報値をおさらいしていきます。

米6月ISM製造業景況指数はと51.7と、市場予想の51.0を上回った。ただし、前月の52.1に届かず、2016年10月以来で最低となりトランプ政権発足後の上昇を完全に相殺したままだ。6月29日開催の米中首脳会談で第4弾の追加関税措置が見送られ交渉再開で合意したものの、調査は首脳会談前に実施されたため製造業のセンチメントは引き続き低下した。

ISM製造業景況指数、マークイット製造業PMIと共に下振れ。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、生産のほか在庫、受注残、入荷遅延などが前月を下回った。その半面、新規受注や新規輸出受注、雇用、仕入れ価格が改善した。詳細は、以下の通り。

・生産 54.1>前月は51.3、2016年8月以来の低水準、6ヵ月平均は54.8
・新規受注 50.0、2015年12月以来の分岐点割れに接近<前月は52.7、6ヵ月平均は54.3
・雇用 54.5>前月は53.7、6ヵ月平均は54.3
・在庫 49.1<前月は50.9、6ヵ月平均は51.8

・新規輸出受注 50.5<前月は51.0、6ヵ月平均は51.6

・入荷遅延 50.7<前月は52.0、6ヵ月平均は53.8
・受注残 47.4>前月は47.2と2017年10月以来の分岐点割れ、6ヵ月平均は50.3
・仕入れ価格 47.9、2016年2月以来の分岐点割れ接近<前月は53.2、6ヵ月平均は50.7

ISMのティモシー・フィオーレ会長は、結果を受け「回答者は米中貿易摩擦のほか、潜在的にメキシコや世界全体に飛び火するリスクを警戒した」ため、景況感指数が低下したと分析した。仕入れ価格の低下をめぐっては「サプライチェーンのシフトが迅速に行われ、且つ在庫管理を確認が徹底された証左」としている。今回、18業種別でビジネス拡大を報告したのは12業種と前月の11業種を上回った。一方で、前月に続き服飾・革製品、一次金属、木材製品、組み立て金属のほか、輸送機器の5業種で縮小した。

▽米6月ISM非製造業景況指数、全般的に下振れし2017年7月以来の低水準

米6月ISM非製造業景況指数は55.1となり、市場予想の56.0を下回った。前月の56.9にも届かず、2017年7月以来の低水準となる。米中首脳会談を控え株価神経質な動きを見せるなか、センチメントは改善していない。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、ビジネス活動のほか新規受注、雇用などが前月を下回った半面、仕入れ価格が上昇した。在庫詳細は、以下の通り。

・ビジネス活動 58.2、4ヵ月ぶりの低水準<前月は61.2、6ヵ月平均は60.1
・新規受注 55.8、2017年12月以来の低水準<前月は58.6、6ヵ月平均は59.1
・雇用 55.0<前月は58.1、6ヵ月平均は56.0
・新規輸出受注 55.5=前月は55.5、6ヵ月平均は54.3
・在庫変化 55.0>前月は54.0、6ヵ月平均は59.8
・仕入れ価格 58.9、5ヵ月ぶりの高水準>前月は55.4、6ヵ月平均は57.1

ISMは、結果を受け「今回低下したものの、引き続き拡大基調をたどった」とのコメントを寄せ、楽観的なトーンを保った。ただし「業種によって状況は異なり、通商や追加関税措置の不確実性が残存する」とも付け加えた。業種別では、16業種中15業種で拡大し、芸術・娯楽のみ縮小した。前月は農業・林業・漁業のみが縮小し、他1業種が横ばいだった。

▽米6月IHSマークイット製造業PMI・確報値、2009年9月以来の低水準

米6月IHSマークイット製造業PMI確報値は50.5と、市場予想と速報値の50.6をわずかながら下回った。2009年9月以来で最低だという。サービス業PMI・確報値は51.5と、市場予想と速報値の50.6並びに前月の50.9も上回った総合PMI確報値は、51.5と、前月の50.9から上昇した。結果を受け、クリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは「経済鈍化の可能性を示唆している」と指摘。その上で、米4~6月期実質GDP成長率見通しを「1.5%増」と予想、前月の1.2%増から上方修正したものの慎重な見通しを維持している。

――ISM製造業景況指数と非製造業景況指数は、そろって下振れしました。

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(作成:My Big Apple NY )

米中首脳会談で第4弾の追加関税措置が見送られたものの、交渉期限などは決まっておらず、不透明感を残します。それでも、Fedの利下げ観測や一段の事態悪化を好感してセンチメントが上向くのか、7月の結果が待たれます。少なくとも、米6月雇用統計は製造業とサービス業の雇用が堅調で、減速の兆しはみられていませんが・・。

(カバー写真:Paragon Kilns/Flickr)

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