8763131795_34521e48c1_z

米6月鉱工業生産は公益が弱く予想以下も、自動車など製造業が下支え

by • July 18, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off1775

Utilities Drag Industrial Production, But Manufacturing Shows Strength.

米6月鉱工業生産指数は前月比横ばいとなり、市場予想の0.1%を下回った。前月の0.4%から鈍化している。6月は新車販売台数が好調だったように自動車関連がけん引し、製造業は0.4%増と市場予想の0.3%増と前月の0.2%増を上回った。年初来で、2回目の増加となる。鉱工業生産指数の前年比では1.3%上昇、原油安から回復途上にあった2017年2月以来の低水準である4月の0.9%を上回り続けた。

稼働率は77.9%と、市場予想の78.1%を下回った。2018年2月以降で初めて78%台を割り込んだ5月の水準に並ぶ。ただ、法人税減税やレパトリなどの効果は実施2年目を迎え剥落する上、米中間の貿易摩擦が激化するなか、過去平均の80%台を回復できずにいる。

鉱工業生産の前年比は、プラス基調を維持。稼働率は2018年2月以来の低水準に戻す

ip

ip1

(出所:My Big Apple NY)

内訳をみると、製造業(全体の75.1%)が前述したように自動車に支えられプラスに転じた。5月にトランプ政権が2,000憶ドル相当の中国製品への追加関税措置を10%から25%への引き上げを決定、残り約3,000億ドルにも追加関税を課す第4弾を打ち出したが、全体的に上向いている。6月末の米中首脳会談で第4弾は見送られたため、7月も上昇基調を維持するか注目だ。自動車以外ではコンピュータ、木材、航空・輸送機などが上昇をけん引している。非耐久財では、第4弾の追加関税措置の対象となった服飾、関連して繊維が上向いた。一方で、公益(全体の10.4%)はプラスを回復。原油価格が60ドル台を割り込んだものの、鉱業(全体の14.2%)は2カ月連続で上昇した。

■製造業 0.4%の上昇>前月は0.2%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の低下

▽耐久財 0.4%の上昇=前月は0.4%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の低下
・自動車関連 2.9%の上昇、2ヵ月連続で上昇>2.9%の上昇、6ヵ月平均は0.5%の低下
・コンピュータ/電子部品 0.9%の上昇、増加トレンドを維持>前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均 0.6%の上昇
・木材 0.6%の上昇、3ヵ月連続で上昇<前月は0.9%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・航空機/輸送機 0.2%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇>前月は1.0%の低下、6ヵ月平均は0.8%の低下

・一次金属 横ばい>前月は2.3%の低下、6ヵ月平均は0.8%の低下
・組立金属 横ばい、低下基調を4ヵ月で止める>前月は0.8%の低下、6ヵ月平均は0.3%の低下

・家具関連 0.8%の低下<前月は0.6%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の低下
・機械 1.0%の低下<前月は2.2%の上昇、6ヵ月平均は0.5%の低下
・電子機器 1.0%の低下<前月は1.6%の上昇、6ヵ月平均は0.6%の低下

▽非耐久財 0.5%の上昇>前月は0.1%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下
・石油製品 2.5%の上昇、2ヵ月連続で上昇>前月は0.4%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下
・繊維 0.8%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇>前月は1.9%の低下、6ヵ月平均は0.1%の低下
・食品/飲料/タバコ 0.7%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇>前月は0.5%の低下、6ヵ月平均は横ばい

・服飾 0.7%の上昇、2ヵ月連続で上昇<前月は1.5%の上昇、6ヵ月平均は0.7%の低下
・プラスチック/ゴム 0.6%の上昇、2ヵ月連続で上昇>前月は1.5%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の低下

・化学品 0.1%の低下<前月は0.5%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下

■公益 3.6%の低下<前月は2.4%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の低下

・電力 3.9%の低下<前月は2.4%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の低下
・天然ガス 2.0%の低下<前月は3.3%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇

■鉱業 0.2%の上昇、3ヵ月連続で上昇=前月は0.2%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇

――米6月鉱工業生産指数は、ヘッドラインこそ公益が押し下げ市場予想以下でしたが、前月に続き自動車のほかコンピュータなど耐久財、並びに第4弾の追加関税対象となる服飾、関連して繊維などが牽引し製造業が力強さを維持しました。今回の結果を含め、アトランタ地区連銀は4~6月期実質GDP成長率の予想を前期比年率1.6%増で維持。良好な米6月小売売上高も重なり、前期を大幅に下回りつつ1%前半だった一時期から上向きつつあります。米中首脳会談で第4弾の追加関税措置が無期延期されるなか、7月も製造業が力強さを維持するか、注目です。

(カバー写真:Maurizio Pesce/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.