A Tale Of Three Stock Markets.
金融危機が全世界を直撃した約1年前に、シティグループの最高経営責任者(CEO、当時)が放った言葉は今でも語り草となっております。
「音楽が奏でられている限り、我々は踊り続けなければならない(When the music stops, in terms of liquidity, things will be complicated. But as long as the music is playing, you’ve got to get up and dance. We’re still dancing)」
米株相場はこの言葉を体現するかのように、7月30〜31日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で25bpの利下げが織り込まれるなか上昇。好決算なども手掛かりに、S&P500種株価指数をはじめダウ、ナスダックなど最高値付近で推移しております。
その陰で同じ米国株でありながら、これらの株価指数は上昇気流に乗るS&P500と雲泥の差なんですよね。
内需中心の中小型株ラッセル2000と、ダウ輸送株平均です。こちらをご覧下さい。
1年前を起点としたリターンをみると7月22日まででS&P500が6.4%高に対し、ダウ輸送株は1.2%安、ラッセル2000に至っては9.2%安という有様です。年初来でみると上昇しているとはいえ、一体、何がS&P500と明暗を分けたのでしょうか?
ダウ輸送株で思い出されるのは、鉄道大手CSXの決算です。追加関税措置や世界経済の減速を背景に4〜6月期に市場予想以下の1株利益・売上を発表しただけでなく減収となり、さらに2019年の売上予想を従来の1〜2%増から1〜2%減へ下方修正しましたね。
内需株はというと、米6月NFIB中小企業楽観度指数が示すようにゆるやかながら下向き始めています。7月ベージュブックでは、設備投資の先送りだけでなく、その上、仕入れ価格の上昇と人材確保に伴う賃上げや福利厚生の充実など、利益率に直面する状況とあって、安定性に乏しい中小型株指数が売られやすくなったと考えられます。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、別々の道を行く米国株指数を受けて、ラッセル2000に対し今こそ押し目買いのチャンスと謳うアナリストの声を紹介していました。日はまた昇るとの観点に経てば、間違っていないでしょう。
(カバー写真:Jordi Sabaté/Flickr)
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