ISM Non-Manufacturing Index Improves, But Employment Dips To 2-Year Low.
米8月ISM非製造業景況指数と米8月マークイット・サービス業PMIをおさらいしていきます。
米8月ISM非製造業景況指数は56.4となり、市場予想の54.0 を上回った。前月の53.7を超え、3ヵ月ぶりの水準を回復している。米中貿易摩擦が打撃となって約3年ぶりに景気判断の分岐点を割り込んだ製造業景況指数と再び反比例し、サービス業のセンチメントは前月から改善した。
ISMは、結果を受け「7月まで2ヵ月連続で低下した後、サービス業のセンチメントは改善した」との見方を寄せた。もっとも「サービス業者は引き続き追加関税措置と地政学的リスクに懸念を示した」と明かし、7月でみられた「見通しに楽観的」の文言が消えている。業種別では、18業種中16業種が拡大を報告。一方で、卸売のみ縮小しており、もう一つの業種は横ばいだったとみられる。
内訳をみると、ビジネス活動のほか新規受注、在庫変化、仕入れ価格が前月を上回った半面、雇用は2017年3月以来の低水準となり、新規輸出受注も7ヵ月ぶりの水準へ低下した。在庫詳細は、以下の通り。
・ビジネス活動 61.5、6ヵ月ぶりの高水準>前月は53.1、6ヵ月平均は59.0
・新規受注 60.3、6ヵ月ぶりの高水準>前月は54.1、6ヵ月平均は58.5
・雇用 53.1、2017年3月以来の低水準<前月は58.1、6ヵ月平均は55.3
・新規輸出受注 50.5、7ヵ月ぶりの低水準<前月は56.2、6ヵ月平均は54.1
・在庫変化 55.0>前月は50.0、6ヵ月平均は52.6
・仕入れ価格 58.2>前月は56.5、6ヵ月平均は57.2
▽米8月IHSマークイット製造業PMI・確報値、2009年9月以来の低水準
米8月IHSマークイット・サービス業PMI確報値は50.7と、市場予想と速報値の50.9を下回った。ただし、前月の53.0に届かず、2016年3月以来の低水準となる。総合PMI確報値は50.7となり速報値の50.9から下方修正された。結果を受け、クリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは「米企業は、景気回復局面で最も困難な局面にあり、生産、受注、雇用などすべて低下した」とコメント。また、8月の内容は「米7~9月期成長率が1.0%増へ鈍化する見通し」と慎重な見方を寄せる。
▽米4~6月期労働生産性・確報値、約3年ぶりの高い伸びを達成
米4~6月期労働生産性・確報値は前期比年率2.3%上昇し、速報値と一致した。市場予想の2.2%を下回る。前期の3.5%(3.4%を下方修正)を含め3期連続で上昇している。単位労働コストは2.6%上昇し、市場予想と速報値の2.4%を上回った。前期の5.5%(1.6%の低下から上方修正)を含め、2期連続でプラスとなった。労働時間が低下した一方で賃金がプラスを維持し生産性と単位労働コストともに上昇した。詳細は、以下の通り。
・労働生産性 2.3%の上昇、上昇トレンドを維持<前期は3.5%の上昇
・生産 1.9%の上昇、11期連続で上昇<前期は3.9%の上昇
・労働時間 0.4%の低下、11期ぶりに低下<前期は0.4%の上昇
・時間当たり賃金 4.9%の上昇、12期連続で上昇<前期は9.2%の上昇
・実質賃金 1.9%の上昇、2期連続で上昇<前期は8.3%の上昇
・単位労働コスト(一定量を生産するために必要な労働経費を示す) 2.6%の上昇、4期連続で上昇<前期は5.5%の上昇
前年比での労働生産性は1.8%上昇、2016年末以降の上昇トレンドで最も力強い伸びとなった。前期の1.7%と合わせ、11期連続のプラスを示す。単位労働コストは2.6%上昇、前期の2.9%を下回ったが、高水準を保つ。
――アトランタ地区連銀は9月4日までの経済指標を受け、米7~9月期実質GDP成長率見通しを従来の1.7%増から1.5%増へ上方修正しました。4~6月期までのトレンドから転じ、潜在成長率の2%を下回る見通し。個人消費の一本足打法では、対中追加関税措置の影響で企業の設備投資が先送りされ、住宅投資も弱く、純輸出の寄与度もさえないなかでは、成長鈍化に直面するシナリオが強まってきました。
(カバー写真:Dave Dugdale/Flickr)
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