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7月対米証券投資:中国が再び売り越すも、主要国リストは増加

by • September 18, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off1795

The Number Of Major Foreign Holders Of U.S. Treasury Increases, While China Dump Them Again.

7月対米証券投資は、438億ドルの買い越しだった。前月の210億ドルの買い越しを含め、3ヵ月連続で流入している。海外の資金動向をみると、民間が838億ドル買い越し、前月の579億ドルに続き4ヵ月連続で流入した。ただし、海外中銀を含む公的機関が115億ドル売り越し、少なくとも8ヵ月ぶりに流入となった前月から縮小トレンドに回帰した。海外投資家の米国債投資は110億ドルの買い越しと、前月の77億ドルの売り越しから反転、3ヵ月ぶりに流入した。米国債の内訳をみると、民間が421億ドル買い越し、前月の69億ドルと合わせ2ヵ月連続で流入した。一方で、海外中銀を含む公的機関は311億ドルの売り越しと、流出トレンドを保った。なお、米国人の海外証券投資は120億ドルの買い越しとなった。

7月の金融市場は、米中首脳会談で約3,000億ドル相当の中国製品に対する追加関税発動見送りなどで合意したほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)が利下げを行ったため、リスク資産を中心に上昇した。ダウなどは過去最高値を更新、米10年債利回りは前月の流れを受け継ぎ前半こそ2016年11月以来の2%割れを迎えたが、大台へ戻して小動きとなった。

国別での米国債保有高トップ5動向は、2018年8月~19年4月と同じ顔触れとなった。ただし、1位は前月に続き日本となる。日本は6月対米証券投資で、2017年5月以来初めて中国を抜き1位の座を取り戻した。

2位以下の順位は変わらず。英国が前月に続き3位、ブラジルが4位に転落したままとなる。アイルランドは税制改革法案が成立直後の2018年前半こそ3位だったが、2018年8月にはブラジルに抜かれ4位へ、19年1月には英国に抜かれ5位となった。なおアイルランドは租税回避地として知られ、米国のIT企業や製薬企業などが拠点を置き、海外留保利益を米国債として保有してきたが、レパトリ減税が税制改革法案に盛り込まれ存在感が低下しつつある。

1位 日本 1兆1,308億ドル(2016年10月以来の高水準)、79億ドルの買い越し、3ヵ月連続で流入
2位 中国 1兆1,103億ドル(2017年5月以来の低水準)、22億ドルの売り越し、過去5ヵ間で4回目の流出
3位 英国 3,347億ドル(2011年5月以来の高水準から若干後退)、64億ドルの売り越し、3ヵ月ぶりに流出
4位 ブラジル 3,099億ドル(4ヵ月ぶりの低水準)、18億ドルの売り越し、2ヵ月連続で流出
5位 アイルランド 2,582億ドル(2016年4月以来の低水準)、39億ドルの売り越し、2ヵ月連続で流出

トップ5の米国債保有高の推移。

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(作成:My Big Apple NY)

米国債保有高が300億ドル以上の主要国のうち、買い越しトップ5ヵ国は以下の通り。このうち、日本が2ヵ月連続で買い越し額1位だったほか、ドイツやタイなどが入った。

1位 日本 79億ドル増の1兆1,308億ドル(2016年10月以来の高水準)
2位 ドイツ 67億ドル増の859億ドル(2018年4月以来の高水準)
3位 タイ 57億ドル増の895億ドル(過去2番目の高水準)
4位 フランス 46億ドル増の1,362億ドル(過去最大)
5位 台湾 36億ドル増の1,787億ドル(2017年12月以来の高水準)

上記売り越しトップ5ヵ国は、以下の通り。今回、ヘッジファンドなどの動向を反映するといわれるケイマン諸島のほか、前月に買い越し額で2位だった英国、4位だった香港が入った。

1位 ケイマン諸島 82億ドル減の2,184億ドル
2位 英国 64億ドル減の3,347億ドルの売り越し(2011年5月以来の高水準から若干後退)
3位 香港 52億ドル減の2,104億ドル(過去最大だった前月から後退)
4位 スイス 44億ドル減の2,285億ドル(3ヵ月ぶりの低水準)
5位 アイルランド 39億ドル減の2,582億ドル(2016年4月以来の低水準)

――米中首脳会談明けながら中国は売り越しに転じ、過去5ヵ月間で4回目の流出していました。ケイマン諸島は、リスク・オン相場を迎えるなかで米国債の保有高を縮小。逆に、日本は粛々と買い越しを継続中ですね。そのほか、ジョンソン英首相が誕生するなかで独仏が米国債を積み増し、フランスはいつのまにか保有高が過去最高を更新しておりました。

米財務省が公表する主要保有国リスト(米国債保有高300億ドル以上)入りした国は、3月と4月の32ヵ国→5月と6月に33ヵ国ときて、7月は34ヵ国へ増加しました。今回、新たにリストに加わった国はチリで、2月以来となります。中国やロシア、トルコの米国債離れ・金シフトが指摘されていますが、世界各国の中銀が利下げを行い金利が低下するなか、米国債は安全資産としての魅力だけでなく、利回りの観点が意識され資金流入が進んでいるのでしょう。

(カバー写真:Matt Churchill/Flickr)

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