Existing Home Sales Decline From 18-Month High, Because Of Low Inventories.
全米リアルター協会(NAR)が発表した米9月中古住宅販売件数は年率538万件と、市場予想の545万件を下回った。2018年3月以来の高水準だった前月の550万件(549万件から上方修正)を2.2%下回る。金利低下に支えられ前月まで2ヵ月連続で増加したものの、住宅在庫の減少と住宅価格の上昇が仇となって減少に転じた。前年比では3.9%増と、3ヵ月連続で増加した。
内訳をみると、一戸建てが478万件と前月の491万件(修正値)を2.6%下回り、3ヵ月ぶりの低水準となる。複合住宅は1.7%増の60万件と、4ヵ月ぶりの水準を回復した。
中古住宅販売件数、一戸建ては減少も複合が増加。
4大地域別では全て減少し、7~8月の3地域を下回った。複合住宅比率が高い中西部が3.1%減(6ヵ月ぶりに減少)の127万件、北東部が2.8%減(減少に反転)の69万件となった。そのほか、住宅市場規模が最大の南部は2.1%減(3ヵ月ぶりに減少)の228万件、IT企業が集まり住宅価格の高騰が著しい西部は0.9%減(2ヵ月連続で減少)の114万件だった。
在庫件数は前月比横ばいの183万件となり、2018年6月以来の高水準だった6月から後退を続けている。前年比で2.7%減となり、4ヵ月連続で減少した。なお、在庫件数は2016年12月に165万件と1999年以来での最低を更新していた。9月に販売が減少し在庫が横ばいにとどまるなか、在庫相当は前月の4.1ヵ月と前月の4.0ヵ月から若干伸びた。
中央価格は前月比2.4%下落の27.21万ドルと、3ヵ月連続で下落し過去最高をつけた6月から後退した。ただ前年比では5.9%上昇し、2018年1月以来で最大の伸びに並んだ。2012年3月以降続くプラス基調を保つだけでなく、前年比で平均時給の上昇ペースを上回るペースを維持している。販売日数は32日と前年同月と変わらず、8月の31日からは1日延びた。NARは、販売件数の49%が1ヵ月以内に買い手がついたと説明、前月と変わらなかった。
買い手の内訳は、以下の通り。新規購入者の割合が上昇しており、潜在顧客が低金利を受け住宅市場に参入している様子が伺える。
・新規購入者 33%>前月は31%、前年同月は32%
・現金購入者 17%<前月は19%、前年同月は21%
・住居用ではなく投資向け 14%=前月は14%、前年同期は13%
発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、結果を受け金利が過去最低水準にあるものの、在庫ひっ迫により販売件数が増加しないと分析した上で「在庫の増加させなければならない」と指摘した。また「住宅価格が急速に上昇し、潜在的な住宅販売の増加を妨げている」とし、住宅市場の改善が容易ではない可能性を示唆した。
――米10月NAHB住宅市場指数が上振れした割に、米9月中古住宅販売件数は在庫ひっ迫が災いし減少しました。ただ、せっかく子供の誕生を受け一戸建てを検討するミレニアル世代が増加しつつあるためか、金利低下を支えに前年比では3ヵ月連続で増加。住宅価格が前年比で5.9%上昇した割に堅調とされ、住宅市場はやはり回復の芽を伸ばしつつあると言えそうです。建設許可件数も増加中で、労働市場が力強さを維持すれば、新築住宅が牽引し住宅保有率を押し上げる可能性を残します。
▽米9月住宅着工件数は大幅減、建設許可は07年以来の高水準近くを維持
米9月住宅着工件数は年率125.6万件と、市場予想の132.0万件を下回った。2007年6月以来の高水準だった前月の138.6万件(136.4万件から上方修正)を9.4%下回り、過去5ヵ月間で4回目の減少となる。米10年債利回りが8月に一時2016年10月以来の低水準をつけた後、低下が一服しながら米10月NAHB住宅市場指数が上向いたにも関わらず、大幅に減少した。前年比では1.6%増と、4ヵ月連続で増加した。
内訳をみると、一戸建てが前月比0.3%増の91.8万件と4ヵ月連続で増加し、8ヵ月ぶりの高水準だった。逆に、複合住宅は28.2%減の33.8万件と落ち込んだ。前年比は一戸建てが4.3%増と、3ヵ月連続で増加した。複合住宅は5.1%減と、6ヵ月ぶりに減少した。4大地域別では全て減少、前月の3地域から減少した。複合住宅の比率が大きい北東部と中西部がそれぞれ2桁減(34.3%減、18.9%減)となる。南部は4.0%減、西部は1.9%減だった。
住宅着工件数、リセッション前の水準を回復した後に複合住宅が重しとなって失速。
米9月建設許可件数は138.7万件となり、市場予想の135万件を上回った。2007年5月以来の高水準となった前月の142.5万件(141.9万件から上方修正)を2.7%下回り、3ヵ月ぶりに減少した。一戸建てが0.8%増の88.2万件と5ヵ月連続で増加したほか、複合住宅は8.2%減の50.5万件と3ヵ月ぶりに減少した。前年比では7.7%増と、3ヵ月連続でプラスとなる。
米9月建設中件数は115.7万件と、前月の114.9万件(修正値)を0.7%上回った。2ヵ月連続で増加し、1月以来の高水準。一戸建てが1.4%増の52.4万件と減少トレンドにブレーキを掛け、複合住宅も0.2%増の63.3万件と5ヵ月連続で増加した。
建設許可件数は2007年以来で最高近くを維持、建設中件数は堅調。
――住宅着工件数の一戸建てのうち75%が住宅市場に流入すると試算されるため、68.9万件が販売向けとなる見通しです。足元の新築販売件数を下回るため、在庫ひっ迫解消への望みが後退しました。金利低下が奏功し一戸建て着工件数の増加を促したとみられ、しかも4ヵ月連続で増加しているのは心強い。建設許可件数も好調で、力強い労働市場とFedの7月、9月の2回の利下げが需要を支えそうです。
(カバー写真:Wally Gobetz/Flickr)
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