Industrial Production Declines On Boeing Drop And Warm Weather.
※鉱工業生産の画像に誤りがありましたので、お詫びして差し替えます。
米1月鉱工業生産指数は前月比0.3%低下し、市場予想の0.2%の低下より悪化した。前月の0.4%の低下(0.3%の低下から下方修正)を含め、2ヵ月連続で低下。過去5ヵ月間では、4回目のマイナスとなる。製造業も市場予想通り0.1%低下し、前月の0.1%(0.2%から下方修正)より弱く3ヵ月ぶりのマイナスとなった。ボーイング737MAXの生産停止が響き民間航空機が落ち込んだ結果、下振れしている。鉱工業生産指数の前年比では0.8%低下、5ヵ月連続でのマイナスは原油安で鉱業を中心に落ち込んだ2016年以来となる。
稼働率は76.8%と、市場予想と一致した。もっとも、前月の77.1%(77.0%から上方修正)に届かず、ハリケーン“ハービー”や“イルマ”などが直撃した2017年9月以来の77%割れを迎えた。1月15日に米中貿易協議・第1段階の合意が成立したものの、やはりボーイングの影響が現れた。
鉱工業生産の前年比は5ヵ月連続でマイナス、製造業は7ヵ月連続で低下。稼働率は、2017年9月以来の77%割れ。
内訳をみると、製造業(全体の75.1%)が、3ヵ月ぶりに低下した。今回落ち込みが激しかった項目は航空機・輸送機で、そのほか機械や電気製品、一次金属が弱い。一方で、両政府が1月、米閣僚中貿易協議・第1段階合意文書に署名した結果、第4弾の追加関税発動予定の品目に含まれていたコンピュータ・電子部品が3ヵ月連続で上昇。自動車もGMストライキ収束の反動増を受け弱含みとなった前月から回復した。非耐久財では、石油製品が米中貿易摩擦の悪化回避を支えに2ヵ月連続で上昇した半面、第4弾の措置に含まれる服飾が2ヵ月連続で低下した。鉱業(全体の14.2%)は、米中貿易協議第1段階の合意署名を受け、対中輸出拡大期待から2ヵ月連続で上昇した。公益(全体の10.4%)は、暖冬を受け暖房需要が低下し2ヵ月連続で大幅に落ち込んだ。
■製造業 0.5%の低下<前月は0.6%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下
▽耐久財 0.5%の低下、2ヵ月連続でマイナス<前月は0.4%の低下、6ヵ月平均は0.1%の低下
・自動車関連 2.4%の上昇>前月は5.1%の低下、6ヵ月平均は0.4%の低下
・コンピュータ/電子部品 0.8%の上昇、3ヵ月連続で上昇<前月は1.4%の上昇、6ヵ月平均 0.7%の上昇
・木材 0.3%の上昇、2ヵ月連続で上昇<前月は0.4%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・組立金属 0.2%の上昇>前月は0.3%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・家具関連 0.1%の低下、3ヵ月ぶりに低下<前月は0.2%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・一次金属 0.2%の低下、3ヵ月ぶりに低下<前月は2.4%の上昇、6ヵ月平均は0.5%の上昇
・電気製品 0.5%の低下、3ヵ月ぶりに低下<前月は0.6%の上昇、6ヵ月平均は0.5%の低下
・機械 1.1%の低下<前月は0.1%の上昇、6ヵ月平均は横ばい
・航空機/輸送機 7.4%の低下、4ヵ月ぶりに低下<前月は0.5%の上昇、6ヵ月平均は0.9%の低下
▽非耐久財 0.3%の上昇<前月は0.5%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・石油製品 1.7%の上昇、2ヵ月連続で上昇>前月は0.6%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・プラスチック/ゴム 1.3%の上昇>前月は0.2%の低下、6ヵ月平均は0.4%の上昇
・繊維 0.6%の上昇>前月は0.6%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・化学品 0.1%の上昇、5ヵ月ぶりに上昇>前月は0.1%の低下、6ヵ月平均は横ばい
・食品/飲料/タバコ 0.2%の低下、5ヵ月ぶりに低下<前月は1.3%の上昇、6ヵ月平均は0.4%の上昇
・服飾 1.3%の低下、過去4ヵ月間で3回目のマイナス<前月は0.2%の上昇、6ヵ月平均は0.7%の低下
■公益 4.0%の低下、2ヵ月連続で低下>前月は6.2%の低下、6ヵ月平均は1.2%の低下
・電力 3.2%の低下>前月は4.8%の低下、6ヵ月平均は1.1%の低下
・天然ガス 7.7%の低下、2ヵ月連続で低下>前月は12.7%の低下、6ヵ月平均は1.2%の低下
■鉱業 1.2%の上昇、2ヵ月連続で上昇<前月は1.5%の上昇、6ヵ月平均は0.7%の上昇
――ボーイング737MAXの生産停止に加え、新型コロナウイルスの影響で中国の湖北省武漢に工場を有するGM、湖北省杭州市に工場を抱えるフォードなど、工場閉鎖や生産停止に見舞われ、その影響が及びかねません。さらに、2月14日には米政府がGEの中国向け航空エンジン供給を安全保障上の問題から阻止するか検討中との報道も。米1月ISM製造業景況指数や各連銀の製造業景況指数は改善の兆しが見られていましたが、新たな悪材料により再び停滞しかねません。
(カバー写真:Liam Allport/Flickr)
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