Existing And New Home Sales Start Off Strong In January.
1月の中古住宅販売件数、新築住宅販売件数、住宅着工件数のほか、2月のNAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。
全米リアルター協会(NAR)が発表した米1月中古住宅販売件数は年率546万件と、市場予想の543万件を上回った。2014年4月以来の高水準だった前月の553万件(修正値)を1.3%減少。とはいえ、2015年11月以来の500万件台を維持しており、力強い労働市場と低金利継続を背景に、堅調な水準を保つ。
内訳をみると、一戸建てが485万件と前月の491万件(修正値)を1.2%下回った。複合住宅も1.2%減の61万件となった。
在庫件数は前月比2.2%増の142万件と、7ヵ月ぶりに増加に転じた。少なくとも2000年以来の低水準だった前月の139万件から、底打ちの兆しをみせた。ただ前年比では10.7%減と8ヵ月連続で減少した。販売が減少し在庫が上回ったため、在庫相当は少なくとも2000年以来の最低をつけた前月の3.0ヵ月から3.1ヵ月となった。
中央価格は前月比3.0%下落の26.63万ドルとなり、3ヵ月ぶりに下落した。前年比では6.8%上昇、2012年3月以降続くプラス基調を保つ。販売日数は43日と、前月の41日から延び前年同月の31日も上回った。
買い手の内訳は、以下の通り。
・新規購入者32%>前月は31%、前年同月は31%
・現金購入者21%>前月は20%、前年同月は19%
・住居用ではなく投資向け17%=前月は17%、前年同期は16%
中古住宅販売件数、複合が増加を牽引。
中古住宅の在庫件数、底打ちできるか。
発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、結果を受け「2020年は力強い幕開けを飾った」と指摘。さらに「住宅着工件数のトレンドラインは増加し始め安定的な改善をみせており、最終的に住宅販売を支えるだろう」と楽観的な見解を寄せた。ただし、この見方は2月21日時点であり、新型コロナウイルス流行拡大に伴い変化する余地がありそうだ。
▽米1月住宅着工件数、2007年3月以来の高水準近くを維持
米1月住宅着工件数は年率156.7万件と、市場予想の142.5万件を上回った。2007年3月以降の高水準だった前月の162.6万件(修正値)を3.6%下回ったとはいえ、高水準を維持している。低金利と好調な労働市場を背景に需要が高まるなか、供給側もひっ迫解消に努めているようだ。前年比では21.4%増と、8ヵ月連続で増加、そのうち4ヵ月連続で2桁増を遂げた。
内訳をみると、一戸建てが前月比5.9%減の101.0万件と4ヵ月ぶりに減少した。複合住宅は3.0%増の54.7万件と、1986年以来の高水準となる。前年比は一戸建てが4.6%増と、8ヵ月連続で増加した。複合住宅は77.6%増と、10ヵ月連続で増加した。
住宅着工件数、改善基調をたどり2007年3月以来のレベルに到達。
米1月建設許可件数は155.1万件となり、市場予想の145.5万件を超えた。前月の142万件を9.2%上回り、2007年3月以来の高水準となった。一戸建てが6.4%増の98.7万件と9ヵ月連続で増加したほか、複合住宅も14.6%増の56.4万件と過去4ヵ月間で3回目の増加となる。建設許可件数の前年比では17.9%増と、7ヵ月連続でプラスだった。
米1月建設中件数は120.3万件と、前月の118.0万件(修正値)を1.3%上回った。3ヵ月連続で増加し、2007年2月以来の高水準となる。一戸建てが1.5%増の53.8万件と3ヵ月連続で増加したほか、複合住宅も1.1%増の66.5万件と増加トレンドを保った。
建設許可件数、建設中件数ともに2007年以来の高水準。
――住宅着工件数の一戸建てのうち75%が住宅市場に流入すると試算されるため、75.8万件が販売向けとなる見通しです。足元の新築販売件数と、ほぼ変わらず。一戸建て着工件数が8ヵ月連続で増加した上、建設許可件数も2007年以来の高水準近くを保つだけに、住宅市場が成長を支える期待が高まります。ただし、新型コロナウイルス感染拡大は、ワイルドカードとなりそうです。
▽米2月NAHB住宅市場指数、金利低下を支えに高水準を維持
米2月NAHB住宅市場指数は74となり、市場予想と前月の75を下回った。2018年2月以来の高水準から、わずかに低下している。内訳をみると、一戸建て現況指数は80と、ヘッドラインに合わせ前月の81から小幅低下。一戸建て見通し指数も、前月の80を下回り79。見込み客指数は57と、少なくとも2017年12月以来の高水準だった前月の58からわずかに後退した。
NAHB住宅市場指数、引き続き高水準をキープ。
(作成:My Big Apple NY)
▽米1月新築住宅販売件数、約12年半ぶりの高水準で中央値も過去最高値
米1月新築住宅販売件数は年率76.4万件と、市場予想の71.8万件を超えた。前月の70.8万件(69.4万件から下方修正)を7.9%上回り、2ヵ月連続で増加。2007年7月以来の高水準となる。前年比では18.6%増と2019年5月を除く同年以降の増加基調を保っただけでなく、6ヵ月連続で2桁増となる。
在庫総数は、前月比0.3%増の32.4万件だった。販売件数の増ペースが在庫を上回った結果、在庫相当は5.1ヵ月と、2017年1月以来の5ヵ月割れが迫った。
中央価格は34.82万ドルと、前月の32.41万ドルから7.4%上昇。前年比では14.0%上昇し、過去最高値を更新した。
――住宅市場は、米10~12月期実質GDP成長率・速報値で2期連続で成長を支えたように、絶好調にみえます。問題は、新型コロナウイルス。中国から資材が届かず供給側がボトルネックを引き起こす懸念が高まる上、原材料価格が値上がりするリスクも否めず。2月21日から26日までダウは5日続落していますが、Fedは現時点で緩和策という特効薬を打ち出す素振りはみせておらず、金利低下が悪材料を吸収できるか試されます。
(カバー写真:Jessica Merz/Flickr)
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