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米2月小売売上高は予想外の減少、CPIは食品上振れ、新型コロナが影を落とす

by • March 18, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off2582

Coronavirus Has Started Retail Sales And CPI From February.

米2 月小売売上高は前月比0.5%減と、市場予想の0.2%増に反する結果となった。前月の0.6%増(0.3%増から上方修正)より弱く、5ヵ月ぶりに減少。単月の落ち込みとしては、2018年12月以来で最大となる。新型コロナウイルス感染拡大が消費に影を落とし始めたとみられる。自動車を除いた場合は0.4%減と、こちらも市場予想の0.1%増に届かなかった。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は横ばいにとどまり、市場予想ならびに前月の0.4%増(修正値)より弱かった。

チャート:小売売上高、前年比は4.4%増と3ヵ月連続で伸び鈍化。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、主要13カテゴリー中3種のみ増加し、雑貨やスポーツ用品/書籍/趣味の他、新型コロナウイルス感染拡大が影響したのかネット通販を示す無店舗が支えた。一方で、原油安を受けガソリンスタンドの他、電気製品や建築・庭園、服飾などが弱かった。項目別の詳細は、以下の通り。

(プラス項目)
・雑貨→1.4%増、2ヵ月連続で増加<前月は3.9%増、6ヵ月平均は1.0%増
・無店舗(主にネット)→0.7%増、2ヵ月連続で増加>前月は0.2%増、6ヵ月平均は0.1%増
・スポーツ用品/書籍/趣味→0.1%増、3ヵ月連続で増加<前月は1.1%増、6ヵ月平均は0.1%増

・食品/飲料→横ばい、増加基調を4ヵ月でストップ>前月は0.2%減、6ヵ月平均は0.1%減

(マイナス項目)
・一般小売→0.1%減、5ヵ月ぶりに減少<前月は0.5%増、6ヵ月平均は横ばい
(百貨店は0.2%減<前月は0.1%減、6ヵ月平均は横ばい)
・ヘルスケア→0.1%減、3ヵ月ぶりに減少<前月は0.8%増、6ヵ月平均は横ばい
・家具→0.4%減<前月は3.2%増、6ヵ月平均は0.3%増

・外食→0.5%減、3ヵ月ぶりに減少<前月は0.8%増、6ヵ月平均は0.2%増
・自動車/部品→0.9%減<前月は0.8%増、6ヵ月平均は0.1%減
・服飾→1.2%減、過去5ヵ月間で4回目の減少>前月は1.4%減、6ヵ月平均は横ばい

・建築材/園芸→1.3%減、5ヵ月ぶりに減少<前月は3.3%増、6ヵ月平均は0.4%増
・電気製品→1.4%減、3ヵ月ぶりに減少<前月0.6%増、6ヵ月平均は0.2%減
・ガソリンスタンド→2.8%減、2ヵ月連続で減少<前月は0.4%減、6ヵ月平均は横ばい

▽米2月CPIは食品や医療サービスが上昇、新型コロナの影響か

米2月消費者物価指数(CPI)は、市場予想が横ばいのところ前月比0.1%上昇、1月と一致した。13ヵ月連続で上昇している。中国を始めとした新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要減速を嫌気し油価が40ドル台へ下落する過程で、エネルギー(全体の7.8%)が2.0%低下し、全体を押し下げた。ガソリンも3.4%低下し、エネルギーと合わせて2ヵ月連続でマイナスとなった。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は2月に一時2.419ドルへ下落、2019年2月末以来の水準へ落ち込んだ。その他のエネルギーでは電力など公益が横ばい、鉱工業生産では暖冬を受けて上昇していたが、電力の上昇(0.6%の上昇)をガス(2.0%の低下)が押し下げた。エネルギー以外では食品・飲料が0.4%上昇し、6ヵ月連続でプラスとなっただけでなく、1年ぶりの高い伸びだった。

CPIコアは0.2%上昇し、市場予想と一致した。前月と同じく、0.1%を上回った。2017年4月以降の上昇トレンドを保つ。

主な項目は、以下の通り。

・サービス 0.2%上昇<前月は0.4%の上昇、2014年以来で最高の伸び
・帰属家賃 0.2%の上昇<前月は0.3%の上昇
・家賃 0.3%の上昇<前月は0.4%の上昇
・宿泊 2.0%の上昇>前月は0.2%の上昇
・教育 0.6%の上昇<前月は1.2%の低下
パソコン関連 1.5%の上昇>1.1%の低下
・服飾 0.4%の上昇<前月は0.7%の上昇
・医療サービス 0.3%の上昇=前月は0.3%の上昇
・航空運賃 0.3%の低下<前月は0.7%の上昇
・輸送 0.2%の上昇>前月は0.4%の低下
新車 0.1%の上昇>前月は横ばい
中古車 0.1%の上昇<前月は0.4%の上昇

CPIの前年比は2.3%上昇、市場予想の2.2%を上回った。もっとも、油価の下落を受けて2018年4月以来の強い伸びを示した前月の2.5%から後退した。コアCPIは2.4%上昇、過去5ヵ月間の2.3%から上向いた

チャート:CPIは原油安で鈍化も、コアは6ヵ月ぶりの高い伸びに。

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(作成:My Big Apple NY)

――今回、CPIコアの前年比が上向きましたが、これは新型コロナウイルス感染拡大で一部の需要が拡大し、関連の物価が上昇したためと考えられます。今後はトイレットペーパー(ちなみに2月は0.3%の上昇、1月の0.8%の低下からプラスに反転)やマスク、3Bの一部である豆など保存食なども上振れしそうですが、今回の自動車のように物価は抑制される場合もありそうです。

チャート:特に医療サービスは前年比でも5.3%上昇、2007年末以来の高い上昇率を記録。

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(作成:My Big Apple NY)

他の物価指標をみると、生産者物価指数は2月に前年比1.3%の上昇と伸び鈍化、輸入物価指数も前年同月比1.2%低下し1月の0.3%の上昇から急低下していたものです。

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(作成:My Big Apple NY)

今後、賃金上昇ペースは鈍化していくとあれば、一部の生活必需品が高騰したとしても、物価全体を押し上げる力は限定的となりそうです。

(カバー写真:Gilbert Mercier/Flickr)

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