Job Cuts Break Single-Month Record In April Amid Coronavirus Outbreak.
米4月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比で約17倍増の67万1,129人と前月に続き急増した。統計を開始した1993年1月以降で最大となる。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出禁止措置等経済活動の停止が響き、前月比では約3倍増とこちらも記録的な増加を示した。
1~4月までは前年同期比4倍増の101万7,812人だった。
発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのアドリュー・チャレンジャー副社長は「感染拡大が終息すれば、企業側は従業員を職場に復帰させる意思はある」と言及しつつ、「世界恐慌レベルの経済指標が飛び出すなかで、雇用が元の水準に戻るには時間が掛かる」と見込む。また「中小企業にとって、雇用の維持は困難」と指摘。人員削減計画数は4月に平均2,591件、3月も1,070件と、それ以前の半年間の平均262件を大きく上回ったという。
特に人員削減が目立った業種は娯楽・宿泊で、年初来で41万5,206件と前年同期比で約58倍増となった。そのうち、40万985件は新型コロナが理由に挙げられた。
小売も年初来で約1.4倍増の11万4,327人となった。その他自動車も約1.8倍増の5万6,292人に及ぶ。
人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。2月は1位がテクノロジー、2位が小売、3位が輸送、4位が産業財、5位が自動車だった。
1位 娯楽・宿泊 318,319人(全体の47.4%)
2位 小売 84,502人(全体の12.6%)
3位 自動車 37,413人(全体の5.6%)
4位 サービス 32,394人(全体の4.8%)
5位 資本財 23,162人(全体の3.5%)
州別動向は、年初来で以下の通り。3月は1位がカリフォルニア州、2位は全米で感染者1位のニューヨーク州、3位は製造業比率の高いオハイオ州、4位は感染者がNY州に次いで多いニュージャージー州、5位はエネルギー生産地で知られるテキサス州が入っていた。
1位 ニューヨーク州 123,220人(全体の12.1%)
2位 テキサス州 96,185人(全体の9.5%)
3位 カリフォルニア州 94,807人(全体の9.3%)
4位 フロリダ州 83,980人(全体の8.3%)
5位 オハイオ州 66,756人(全体の6.6%)
リストラ実施の理由別ランキングは、単月で以下の通り。3月は1位が新型コロナウイルス、2位が理由なし、3位が閉鎖、4位が再編、5位が契約切れだった。2019年は主に再編、閉鎖、コスト削減、契約切れが上位に入った。
1位 新型コロナウイルス 633,082人(全体の94.3%)
2位 市場環境 16,873人(全体の2.5%)
3位 油価の下落 10,041人(全体の1.5%)
4位 閉鎖 8,210人(全体の1.2%)
5位 理由なし 1,033人(全体の0.2%)
採用予定数は、前年同月比で約9倍増の28万5,639人だった。前月の82万4,610人から大幅減となったものの、力強い伸びを維持した。4月単月では、少なくとも2015年以降で2番目の高水準となる。3月の採用予定数で明らかになった通り、外出禁止関連措置で需要が急増した業種など求人を行なう必要性があったとみられる。チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社によれば、新型コロナの影響で少なくとも28万200人の新規採用計画が発表されたという。
セクター別では、以下の通り。
1位 輸送 251,200人(全体の87.9%)
2位 小売 30,100人(全体の10.5%)
3位 テクノロジー 1,165人(全体の0.4%)
4位 金融 1,070人(全体の0.4%)
5位 航空・防衛 675人(全体の0.2%)
――米新規失業保険申請件数は5月2日時点で316.9万人と減少傾向をたどったものの、継続受給者数は2,265万人と過去最高を更新中。また、アマゾンの配達員で新型コロナ感染者として4 人目の死者が出たように、現在採用中の職に失業者が殺到するかと言えば微妙な情勢です。経済活動が再開しても、デルタ航空が中央の席を空けて操業する方針を示した通り、正常化とは程遠い。人員もコロナ以前の水準を回復するには、少なくともワクチンや治療薬の十分普及してからでしょう。
(カバー写真:spurekar/Flickr)
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