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米4月CPIコアは前月比で過去最低も、食品・飲料はコロナ禍で急伸

by • May 13, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off2602

U.S. Core CPI Drops To The Most, But Food Prices Increase The Sharpest.

米4月消費者物価指数(CPI)は前月比0.8%低下し、市場予想と一致した。前月の0.4%に続き、2ヵ月連続でマイナスとなる。2008年12月以降で、最も大きく低下した。

価格を押し下げたのは、エネルギー(全体の7.8%)で10.1%低下。ガソリンも20.6%低下し、エネルギーと合わせて4ヵ月連続でマイナスとなった。WTI原油先物5月限の取引最終日前に在庫増による貯蔵所不足や需要の急激な後退を背景にマイナス価格に転落したため、CPI全体を押し下げた。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は4月に一時1.773ドルへ下落、2016年2月以来の水準へ落ち込んだ。

その他のエネルギーでは、電力など公益が0.1%上昇し前月の0.5%低下から上向き、電力(0.1%の上昇)をガス(0.1%の上昇)共に小幅ながら上昇に転じている。エネルギー以外では食品・飲料が1.4%上昇、前月の0.3%を超え8ヵ月連続でプラスとなった。

CPIコアは0.4%低下し、市場予想の0.2%取り下げ幅を広げた。前月の0.1%の低下に続き2ヵ月連続でマイナスとなっただけでなく、1957年から統計が開始して以降で最大の落ち込みを記録した。

エネルギー関連と食品・飲料以外で主な項目の前月比は、以下の通り。

(低下項目)
・航空運賃 15.2%の低下、過去最大の下げ幅で前月の12.6%の低下に続き3ヵ月連続のマイナス
・宿泊 7.1%の低下と、過去最大の下げ幅で前月の6.8%の低下に続き2ヵ月連続でマイナス
・服飾 4.7%の低下、過去最大の下げ幅で前月の2.0%の低下に続き2ヵ月連続でマイナス
・輸送サービス 4.7%の低下、過去最大の下げ幅で前月の1.9%の低下に続き2ヵ月連続でマイナス

チャート:4月に下振れした項目

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(作成:My Big Apple NY)

(上昇項目)
・食品/飲料 1.4%の上昇、前月の0.3%に続き8ヵ月連続で上昇
・食費 2.6%の上昇、1974年2月以来の高水準、前月の0.5%の上昇に続き4ヵ月連続で上昇
・家庭用清掃製品 0.1%の上昇、過去最大の上げ幅だった前月の1.1%から後退も2ヵ月連続で上昇
・医療費 0.5%の上昇、前月の0.5%を含め2018年9月以降の上昇トレンドを維持
・家賃 0.2%の上昇、前月の0.3%を含め2010年10月以降の上昇基調を維持

(横ばい)
・住居費 横ばい、前月と同じく0%で2010年5月から続く上昇基調にブレーキ
(家賃の上昇を宿泊が低下し相殺)
・新車 横ばい、前月は0.4%の低下

CPIの前年比は0.3%上昇、市場予想の0.4%を下回った。前月の1.5%から急減速し、2015年10月以来の低い伸びとなった。

コアCPIは1.4%上昇、市場予想の1.7%はもちろん前月の2.1%から一段と鈍化し2011年4月以来の低い伸びにとどまった。

チャート:CPIは原油安と外出禁止措置関連で下押し

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(作成:My Big Apple NY)

――巣ごもり需要を背景に食費は高騰を続け、1974年2月以降で最大の伸びを記録しました。肉類・卵・牛乳などが前月比4.3%と、大きく値上がりしたことも大きい。食費は前年比でも4.1%と2012年2月以来、肉類・卵・牛乳などは6.8%と2015年2月以来の水準へ上昇しています。タイソン・フーズが肉類の供給危機を警告したように、食品インフレの波が押し寄せつつあるようです。

チャート:食費の前年比は急騰

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(作成:My Big Apple NY)

結果、外出禁止措置という未曽有の事態が影響したとはいえ、既に1~3月期にエンゲル係数は金融危機時を抜け、1999年以来の水準へ上振れしました。このまま失業者が増加し、米4月雇用統計の業種別平均時給の伸びが示すように賃上げペースが一段と減速すれば、個人消費が約7割を占める米国経済の改善への道のりは、長く険しくなること必至です。

チャート:エンゲル係数(個人消費に占める食費の比率)は金融危機時の水準を突破

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(作成:My Big Apple NY)

ただし、4月に原油価格が未曽有のマイナス圏へ突入したように、コアCPIは2008年12月以来の水準へ落ち込みました。さらに外出禁止関連措置による需要急減もあって、前月に続き服飾、航空運賃、宿泊などが前月比で過去最大の下げ幅を記録。物価を押し下げ続けています。

外出禁止関連措置が緩和されたとしても、中国や韓国で確認できる通り第2波の恐れも。米国で経済活動の再開が進むものの、インフレ期待は暫く下振れ基調をたどることでしょう。

(カバー写真:Raed Mansour/Flickr)

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