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5月のISM、経済活動の再開受け製造業と非製造業そろって改善

by • June 4, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off1800

Both Manufacturing And Service Business Sentiment Improves After Gradual Reopening.

5月のISM製造業景況指数とISM非製造業景況指数、マークイット製造業PMI確報値とサービス業PMI確報値をおさらいしていきます。

米5月ISM製造業景況指数はと43.1と、市場予想の43.8を下回った。3ヵ月連続で分岐点割れながら、2009年4月以来の水準へ急低下した前月の41.5からは小幅に改善。新型コロナウイルス感染拡大を受けた外出禁止措置が5月に入って緩和に転じた結果、回復の兆しをみせている。項目別をみると、生産、新規受注、雇用が30割れへ急低下した一方で、入荷遅延はサプライチェーン途絶を背景に急上昇した。詳細は、以下の通り。

・生産 33.2、3ヵ月連続で分岐点割れ>前月は27.5と過去最低
・新規受注 31.8、4ヵ月連続で分岐点割れ>前月は27.1と落ち込み幅は1951年以来で最大
・雇用 32.1、10カ月連続で分岐点割れ>前月は27.5と1949年以来で最低

・在庫 50.4、分岐点を回復>前月は49.7
・新規輸出受注 41.3、3ヵ月連続で分岐点割れ>前月は35.3
・仕入れ価格 40.8、4ヵ月連続で分岐点割れ>前月は35.3、6ヵ月平均は45.1

・入荷遅延 68.0<前月は76.0
・受注残 38.2>前月は37.8

ISMのティモシー・フィオーレ会長は、結果を受け「新型コロナウイルス感染拡大による製造業活動の混乱は3ヵ月に及び、短期的見通しは2対1で慎重寄りが優勢だった」とコメントした。また「多くが指摘したように供給元が5月後半に生産活動を再開させたものの、需要には不確実性が根強く、在庫や雇用、輸入、受注残などに影響しかねない」という。その上で、弱さが著しかった業種として前月に輸送機器や組立金属のほか、石油・石炭を挙げた。

今回、18業種別でビジネス拡大を報告したのは6業種(非金属鉱物品、家具、服飾・革製品、食品・飲料・タバコ、紙製品、木材)で、前月の2業種(紙製品、食品・飲料・タバコ)から増加した。一方で、11業種(印刷関連、一次金属、輸送機器、石油・石炭、組立金属、機械、雑貨、電気機器、化学、コンピュータ・電子部品、プラスチック・ゴム)が縮小、2業種が横ばいだった。

チャート:ISM製造業景況指数、マークイットPMIともに2009年の低水準から改善

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(作成:My Big Apple NY)

▽米5月ISM非製造業景況指数、輸出を含む新規受注が大幅改善

米5月ISM非製造業景況指数は45.4となり、市場予想の44.4を上回った。2009年3月以来の低水準だった前月の41.8から改善。コロナ禍の外出禁止措置が4月20日から緩和され5月20日には全米50州で経済活動の再開に着手するなか、サービス活動に改善の兆しが現れた。項目別をみると、サプライチェーンの改善を受け低下した入荷遅延や受注残以外、新規受注やビジネス活動を始めほぼ全ての主要項目が前月を上回った。詳細は、以下の通り。

・ビジネス活動 41.0、3ヵ月連続で分岐点割れ>前月は26.0と過去最低
・新規受注 41.9>前月は32.9
・雇用 31.8>前月は30.0
・新規輸出受注 41.5>前月は36.3
・在庫変化 48.0>前月は46.9
・入荷遅延 67.0<前月は78.3と過去最高
・仕入れ価格 55.6、4ヵ月ぶりの水準へ上昇>前月は55.1

ISMのアンソニー・ニーブス会長は、結果を受け「回答者は引き続き新型コロナウイルスの影響に懸念を寄せた」と説明した。ただ「それぞれサービスの再開を望み、計画を立案している」と指摘。わずかながら、サービス部門に明るい兆しがみられた。

今回、18業種中で拡大した業種は4業種(農業・林業・漁業、公共サービス、金融・保険、情報)となり、前月の2業種(公共サービス、金融・保険)を上回った。一方で、14業種(鉱業、芸術・娯楽、その他サービス、建設、教育、専門サービス、公益、卸売、宿泊・外食、管理・サポート、不動産・賃貸・リース、輸送・倉庫、ヘルスケア・社会福祉、小売)が縮小を報告した。

ISM非製造業景況指数は11年ぶり低水準、マークイット・サービスPMIは過去最低

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(作成:My Big Apple NY)

▽米5月IHSマークイット製造業、サービス業PMIの確報値は約10pt改善

米5月IHSマークイット製造業PMI確報値は39.8と、速報値の36.9から上方修正された。2009年3月以来の落ち込んだ前月の27.1から、10ポイント以上した。

米5月IHSマークイット・サービス業PMI確報値は37.5と、速報値の36.9から上方修正された。統計開始以来で最低だった前月の26.7から、10ポイント以上も上昇している。総合PMIも37.0と速報値の36.4から上方修正され、過去最低だった前月20.7から急伸した。

――今回、ISM製造業景況指数やISM非製造業景況指数が小幅ながら前月を上回り、マークイット製造業PMIやマークイット・サービス業PMIに至っては前月から10ポイント以上も急伸しました。企業活動は明らかに正常化へ一歩進んだといえます。

ただISM非製造業景況指数のうち、価格が上昇・下落した製品は以下の通りで前月とほぼ変わらず。

空輸、牛肉、消毒剤、除菌ローション、消毒用アルコール(イソプロピル・アルコール)、清掃用品、医療サービス・医療用品、医療用ガウンなど個人用防護品(PPE)、手袋、マスク

下落した製品は、以下の通り。

チーズ、乳製品、ディーゼル燃料、燃料、ガソリン、ガソリン関連、天然ガス、プラスチック・パッケージ、ポリ塩化ビニル関連品、鉄鋼・鉄鋼製品

新型コロナウイルス感染拡大を受け需要が高まったPPEなど医療用品、消毒剤などが値上がりの大半を占めました。一方で、経済活動の段階的な再開で引き続き外食産業での需要が鈍く牛肉、9月まで学校を再開しない州が多く乳製品が弱い。また、工場停止を受け鉄鋼、原油安と外出禁止を受けガソリンなど燃料が落ち込みました。4月で底打ちしたことは確実ながら、回復の歩みはV字型といかなそうです。

(カバー写真:Russ Allison Loar/Flickr)

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