49684298772_a7b15c9839_c

米5月小売売上高、経済活動の再開で急回復も課題残す

by • June 18, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off1858

Retail Sales Made A Historic Comeback As Economy Reopens.

米5月小売売上高は前月比17.7%増と、市場予想の8.4%増の2倍近く上回った。前月の14.7%減(16.6%減から上方修正)を超え、4ヵ月ぶりに増加。単月の伸びとしては、データが確認できる1992年以降でみて過去最大となる。新型コロナウイルス感染拡大にピークアウトの兆しがみられ、4月後半から5月20日にかけ全米50州で段階的に経済活動が再開されるなか、個人消費も正常化しつつある。

自動車を除いた場合は12.4%増と、市場予想の5.5%増を上回った。前月の15.2%減(17.2%減から上方修正)から大幅に好転し、こちらも過去最大の伸びとなる。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は11.0%増と、前月の12.4%減(修正値)から力強く改善し、過去最大の伸びを記録した。

チャート:小売売上高、前月比17.7%増と過去3ヵ月間の減少(23.4%減)を一部巻き戻し

rs_mom_20may
rs_yoy_20may
(作成:My Big Apple NY)

前月比の内訳をみると、主要13カテゴリー中全て増加し、前月の1種から大きく改善した。特にこれまで弱かった服飾が大幅増加したほか、家具やスポーツ/趣味/スポーツなども急減した反動で力強く増加している。前月比の項目別詳細は以下の通り。

(プラス項目)

・服飾→188.0%増、4ヵ月ぶりに増加し過去最大の伸び>前月は75.2%減、6ヵ月平均は10.8%増
・家具→48.4%増、4ヵ月ぶりに増加し過去最大の伸び>前月は89.7%減、6ヵ月平均は3.5%増
・スポーツ用品/書籍/趣味→88.2%増、4ヵ月ぶりに増加し過去最大の伸び>前月は33.7%減、6ヵ月平均は6.7%減

・電気製品→50.5%増、過去最大の伸び>前月は43.2%減、6ヵ月平均は1.7%減
・自動車/部品→44.1%増、4ヵ月ぶりに増加し過去最大の伸び>前月は28.1%減、6ヵ月平均は0.8%増
・外食→29.1%増、4ヵ月ぶりに増加し過去最大の伸び>前月は34.6%減、6ヵ月平均は5.6%減

・雑貨→25.9%増、4ヵ月ぶりに増加し過去最大の伸び>前月は25.9%減、6ヵ月平均は4.0%減
・ガソリンスタンド→12.8%増、5ヵ月ぶりに増加し過去最大の伸び>前月は24.4%減、6ヵ月平均は2.1%増
・建築材/園芸→10.9%増、4ヵ月ぶりに増加>前月は2.4%減、6ヵ月平均は2.1%増

・無店舗(主にネット)→9.0%増、5ヵ月連続で増加>前月は9.5%増、6ヵ月平均は4.2%増
・一般小売→6.0%増>前月は13.6%減と過去最大の減少率、6ヵ月平均は0.2%増
(百貨店は36.9%増、4ヵ月ぶりに増加し過去最大の伸び>前月は28.1%減、6ヵ月平均は2.3%減)
・食品/飲料→2.0%増>前月は12.8%減と過去最大の減少率、6ヵ月平均は2.7%増
・ヘルスケア→0.4%増>前月は14.8%減と過去最大の減少率、6ヵ月平均は1.4%減

(マイナス項目)
なし

――以上、米5月小売売上高は、経済活動の再開に合わせ改善しました。しかし、過去3ヵ月間の減少率である23.4%減を完全に相殺するに至らず。主要13セクターでも、5月にコロナ禍で減少した分を完全に取り戻したのは以下の4種にとどまります。

・自動車/部品→5月:44.1%増>過去3ヵ月間:38.5%減
・服飾→5月:188.0%増>過去3ヵ月間:125.5%減
・スポーツ/趣味/書籍→5月:88.2%増>過去3ヵ月間:50.7%減
・建築材/庭園→5月:10.9%増>過去3ヵ月間:3.5%減

無店舗、食品・飲料、一般小売はコロナ禍でも底堅さを示していただけに、依然として弱い業種は自動車・部品、電気製品、ヘルスケア、ガソリンスタンド、雑貨、外食の6種となります。特に外食は、社会的距離(ソーシャルディスタンシング)の影響から稼働率を正常化する道のりは険しくなりそうです。

もうひとつ、興味深い点は無店舗の力強さです。

チャート:コロナ禍で上昇する無店舗の比率

rs_online_20may
(作成:My Big Apple NY)

今回、無店舗のシェアは小売全体の17.8%と、前月の19.2%を下回りましたが、コロナ禍の直撃を受ける前の1~2月の12.9%、13.1%を上回った水準を保ちました。コロナ禍を経て、米国人はネット通販依存度が高まった可能性を示します。

(カバー写真:Victoria Pickering/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.