Personal Spending Rebounds Sharply, But Now Some States Have Paused Reopening.
米5月個人消費支出は経済活動の再開を手掛かりに、過去最大の伸びを達成した。一方で、個人所得は景気刺激策に盛り込まれた1人当たり1,200ドルの小切手支給の効果が剥落、失業保険は引き続き支給されたものの、大幅減に転じた。消費が力強く伸びた半面、所得が減少したため貯蓄率は過去最高の前月から低下したが、それでも高水準を保つ。詳細は以下の通り。
〇個人消費支出
→経済活動の再開を手掛かりに、外出禁止措置を受け統計開始以来で最悪だった4月の反動増が現れ、過去最大の伸びを実現。
・前月比8.2%増と3ヵ月ぶりに増加し市場予想の9.0%増に届かなかったものの過去最高、過去最悪だった前月の12.6%減から改善
・前年比9.3%増と3ヵ月ぶりに増加、過去最悪だった前月の15.8%減から改善
・インフレを除く実質ベースでの個人消費は前月比8.1%増と4ヵ月ぶりに増加し過去最大、過去最悪だった前月の12.2%減から改善
・前年比では9.8%減と3ヵ月連続で減少、過去最悪だった前月の16.3%減から改善
個人消費支出の内訳
・財 14.1%増と4ヵ月ぶりに増加、前月は13.5%減
・耐久財 28.6%増と4ヵ月ぶりに増加、前月は12.4%減
・非耐久財 7.7%増と過去6ヵ月で4回目の増加、前月は14.0%減
・サービス 5.4%増と3ヵ月ぶりに増加、前月は12.2%減
〇個人所得
→景気刺激策に盛り込まれた小切手効果が剥落し、減少に転じた。ただし、経済活動の再開を手掛かりに、給与などの所得は3ヵ月ぶりに増加に転じた。
・前月比4.2%減、市場予想の6.0%減より悪化せず、ただし前月は10.8%増と過去最大
・前年比では6.4%増と、1981年9月以来で最大だった前月の11.3%増から鈍化
・実質ベースでは前月比4.3%減、過去最大だった前月の11.3%増から反転
・前年比は6.4%増、過去最大だった前月の11.3%増から反転
所得の内訳は、名目ベースの前月比で以下の通り。
・賃金/所得 2.7%増と3ヵ月ぶりに増加、前月は7.6%増(民間は3.7%増、サービス部門は3.4%増、財部門は5.0%増)
・経営者収入 2.8%増と3ヵ月ぶりに増加、前月は12.7%減(農業は13.9%減、非農業は3.1%増)
・家賃収入 0.1%増と5ヵ月連続で増加、前月は0.1%増
・資産収入 1.4%減と3ヵ月連続で減少、前月は1.5%減(配当が1.6%減と2ヵ月連続で減少、金利収入は1.3%減と5ヵ月連続で減少)
・社会補助 17.2%減と5ヵ月ぶりに減少、前月の90.1%増から急減
・社会福祉 17.3%減と5ヵ月ぶりに減少、前月の91.8%増から急減(メディケア=高所得者向け医療保険は0.3%増と増加基調を維持、メディケイド=低所得者層向け医療保険は2.7%増と3ヵ月連続で増加、失業保険は182.3%増と景気刺激策を背景に3ヵ月連続で3桁増、退役軍人向けは0.7%増と増加基調を維持、その他は小切手支給が一巡するなか62.5%減)
〇可処分所得
・前月比4.9%減、過去最大だった前月の13.1%増から反転
・前年比は8.8%増、過去最大だった前月の14.6%増から反転
・実質ベースの可処分所得は前月比5.0%減、過去最大だった前月の13.6%増から反転
・前年比は8.2%増、過去最大だった前月の14.0%増から反転
〇貯蓄率
・個人消費の増加に反し個人所得が減少した結果、貯蓄率は過去最高だった前月の32.2%から23.2%へ低下
チャート:個人消費の回復の陰で所得が減少し、貯蓄率は低下も高水準を維持
〇個人消費支出(PCE)デフレーター
→油価の回復に合わせガソリン価格なども上昇に転じたため、小幅ながら改善
・PCEデフレーターは前月比0.1%の上昇と3ヵ月ぶりにプラスに反転、前月は0.5%低下し2015年1月以来の最大の落ち込み
・前年比は0.5%上昇、前月の0.6%を下回り2015年12月以来の低水準
・コアPCEデフレーターは前月比0.1%上昇、市場予想の0.2%より弱かったが2017年4月以来のマイナスとなった前月の(0.4%の低下)から改善
・コアPCEの前年比は1.0%上昇、市場予想の0.9%超えも前月と変わらず2011年1月以来の低水準を維持
チャート:PCEコアの前年比、2011年以来の伸びにとどまる
――経済活動の再開を追い風に個人消費が改善したものの、6月26日のテキサス州やフロリダ州が外出規制を再導入したほか、他10州が活動再開の一時中止を決定し、レストランでの飲食を始め7月に再び個人消費が鈍化するリスクが浮上しています。7月と言えば、米失業保険の連邦政府による上乗せ600ドルも月末に終了予定。米株相場から過度な楽観が後退したのも、致し方ないでしょう。ひとまず、23,000ドル近辺までの調整に注意したいところです。
(カバー写真:Elvert Barnes/Flickr)
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