U.S. CPI Rebounds As Economy Reopens.
米6月消費者物価指数(CPI)は前月比0.6%上昇し、市場予想の0.5%を上回った。前月の0.1%の低下から転じ、4ヵ月ぶりにプラスに転じている。
価格を押し上げたのはこれまで弱かったエネルギー(全体の7.8%を占める)で5.1%上昇、ガソリンも12.3%上昇し、それぞれ6ヵ月ぶりにプラスに転じた。なおエネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は6月に一時2.195ドルをつけ、経済活動の再開と共に4月の1.773ドル(2016年2月以来の低水準)から切り返し続けた。その他のエネルギーでは、電力など公益が0.2%低下し前月の0.5%と合わせ2ヵ月連続で低下した。そのうち電力(0.3%の低下)が2ヵ月連続で下振れした半面、ガスは横ばいだった。
エネルギー以外では食品・飲料が0.6%と、10ヵ月連続で上昇した。
CPIコアは0.2%上昇し、前月の0.1%の低下から転じ4ヵ月ぶりにプラスを示した。エネルギー関連と食品・飲料以外で主な項目の前月比は、以下の通り。コロナ禍で打撃を受けた自動車保険を始め航空運賃や服飾、宿泊が上昇に反転。また、食費は引き続き上昇を支えた。
エネルギー関連と食品・飲料以外で主な項目の前月比は、以下の通り。
(上昇項目)
・自動車保険 5.1%の上昇、3ヵ月ぶりにプラス>前月は8.9%の低下
・航空運賃 2.6%の上昇、5ヵ月ぶりにプラス>前月は4.9%の低下
・輸送サービス 2.1%の上昇、4ヵ月ぶりにプラス>前月は3.6%の低下
・服飾 1.7%の上昇、4ヵ月ぶりにプラス>前月は2.3%の低下
・宿泊 1.2%の上昇、4ヵ月ぶりにプラス>前月は1.5%の低下
・食費 0.7%の上昇、6ヵ月連続で上昇<前月は1.0%の上昇
・外食 0.5%の上昇、2017年6月以降の上昇トレンドを維持>前月は0.4%の上昇
・医療サービス 0.5%の上昇<前月は0.6%の上昇
・帰属家賃 0.1%の上昇<前月は0.3%の上昇
チャート:コロナ禍で打撃を受けた品目が回復を牽引
(低下項目)
・中古車 1.2%の低下、3ヵ月連続でマイナス<前月は0.4%の低下
・電力/ガス 0.2%の低下、2ヵ月連続でマイナス>前月は0.5%の低下
CPIは前年比で0.6%上昇し、2015年10月以来の水準へ鈍化した前月の0.1%を上回った。CPIコアは同1.2%上昇し、前月と同じく2011年3月以来の低水準だった。
チャート:CPIの前年比、経済活動が再開し底打ちの兆し
――経済活動の再開を受けてコロナ禍で急激に物価が下落した自動車保険や航空運賃、服飾などがこぞって2ヵ月連続で上向いたものの、6月26日からのテキサス州とフロリダ州を皮切りとした経済活動再開の一時停止を受け、回復ペースが鈍化するリスクが浮上しています。現時点ではレストランや美術館など、娯楽やサービス部門にとどまりますが、観光・旅行に影響すること必至です。
一方で、学校再開の目途が立たず、IT企業を始め年内在宅勤務を決定する企業が増えるなかで、食費は上昇の一途をたどります。特に豚肉など肉類は、大手4社に対しコロナ禍で供給不足に直面するなか、中国向け輸出拡大を通じ国内の価格を釣り上げた疑惑が浮上し、米上院が精査中。6月も価格上昇は止まらず、家計にダメージを与え続けています。
チャート:食費の前年比は肉類が牽引し、上振れ傾向継続
失業保険の拡充が期限切れを迎えれば、裁量消費に響かないはずはなく、米議会の月内の対応が待たれます。
(カバー写真:Steve Rhodes/Flickr)
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