Coronavirus Pandemic Pushes U.S. Q2 GDP To Worst-Ever Minus 32.9 Percent.
米4〜6月期実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率32.9%減と、市場予想の34.5%減ほど悪化しなかった。とはいえ、前期の5.0%減に続き2期連続でマイナス成長だっただけでなく、コロナ禍で過去最悪を記録した。前年比では9.5%減と2009年7~9月期以来のマイナスを示したほか、過去最低を更新した。
発表元の米経済分析局は、GDP速報値について「新型コロナウイルス感染拡大を受け、3~4月に講じられた外出禁止措置を反映し急減した」と説明した。また「5~6月にはこうした措置が段階的に解除され、且つ連邦政府の小切手支給など支援策も講じられた」と指摘。引き続き「在宅勤務と家計や企業の間での支出制限などが影響した」とも付け加え、コロナ禍の影響を完全に網羅しづらいとの見解を寄せている。
米経済の寄与度は、項目別に以下の通り。GDPの約7割を占める個人消費が最もマイナス寄与した。
・個人消費 マイナス25.05%pt、2期連続の低下し過去最悪<前期はマイナス4.75%pt
・民間支出 マイナス9.36%pt、3期連続で低下し過去最悪<前期は1.56%pt
・純輸出 0.68%pt、4期連続でプラス<前期は1.13%pt
・政府支出 0.82%pt、6期連続でプラス>前期は0.22%pt
チャート:Q2実質GDP成長率・速報値
▽個人消費の内訳
・個人消費 34.6%減、2期連続で減少し過去最悪<前期は6.9%減
・耐久財 1.4%減、2期連続で減少>前期は12.5%減と2008年10~12月期以来で最大の落ち込み
・非耐久財 15.9%減、過去最悪<前期は7.1%増と2000年4~6月期以来の最大の伸び
・サービス 43.5%減、2期連続で減少し過去最悪<前期は9.8%減
▽民間投資の内訳
・民間投資 49.0%減、3期連続で減少<前期は9.0%減
・固定投資 29.9%減、2期連続で減少し少なくとも戦後最悪<前期は1.4%減
・非住宅固定投資(企業の設備投資) 27.0%減、5期連続で減少し少なくとも戦後最悪<前期は6.7%減あ構築物投資 34.9%減、3期連続で減少し少なくとも戦後最悪>前期は3.7%減
あ機器投資 37.7%減、5期連続で減少し2008年10~12月期以来の落ち込み<前期は15.2%減
あ無形資産 7.2%減、2015年Q2以来のプラス基調にブレーキ、2009年1~3月期以来の落ち込み<前期は2.4%増
・住宅投資 38.7%減、4期ぶりに減少し少なくとも戦後最悪<前期は19.0%増
・在庫投資 3,155億ドルの減少、3期連続のマイナス>前期は809億ドルの減少
チャート:国内の最終需要(変動が大きい貿易と在庫を除く)は前期比年率28.2%減と2期連続でマイナスとなり、少なくとも戦後最悪
▽政府支出
・政府支出 2.7%増、6期連続で増加し2017年10~12月期以来の高水準<前期は1.3%増
あ連邦政府 17.4%増と少なくとも戦後最大(防衛支出が4.1%増、非防衛財は39.7%増)>前期は3.4%増
あ州/地方政府 4.1%増>前期は0.3%減
GDP価格指数は2.1%低下し、前期の1.7%(1.6%から上方修正)から急低下した。コアPCEは1.1%低下し、前期の1.6%(1.7%から下方修正)からマイナスに反転。BEAは物価の下振れについて、ヘルスケアを中心としたサービス部門のほか、服飾を中心としたモノの影響を挙げた。
――Q2実質GDP成長率の劇的な悪化は想定通りだったとはいえ、こうして現れるとコロナ禍が残した爪痕の大きさに驚かされますね。同時に、7月FOMC声明文で今後の経済の道筋をめぐり「ウイルス次第」との文言を加えたのも、当然の成り行きだったとうに受け止められます。問題は回復の道のりで、感染者の急増でレストランなどサービス部門の営業が制限されるなかにとどまること必至です。
(カバー写真:The National Guard/Flickr)
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