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米7月鉱工業生産は自動車がけん引し3カ月連続で増加も、需要が懸念

by • August 17, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off1779

Autos Push Industrial Production 3-Month Helped By Robust Auto Outputs.

米7月鉱工業生産指数は前月比3.0%上昇し、市場予想と一致した。前月の5.7%(5.4%から上方修正)を含め3ヵ月連続でプラス年初来で5回目の増加となる。経済活動再開の一時停止がレストランなど対面のサービス業にとどまるなか、製造業活動は改善を続けた。

前年比は以下の通り。

・鉱工業生産指数→前年比8.2%低下し、11ヵ月連続で低下したものの前月の11.0%から下げ幅を縮小
・製造業→7.7%低下、13ヵ月連続で落ち込んだものの前月の11.1%から下げ幅を縮小
・鉱業→17.0%低下、4ヵ月連続でマイナス
・公益→0.6%上昇、2カ月連続でプラス

稼働率は70.6%と、市場予想と一致した。前月の68.5%(68.6%から下方修正)を超え、コロナ禍により外出禁止令が発動され始めた3月以来、4カ月ぶりに70%台に乗せた。

チャート:鉱工業生産は製造業(前年比)が支え回復、稼働率の上昇を促進

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(出所:My Big Apple NY)

鉱工業生産指数の内訳を前月比でみると、製造業(全体の75.1%)が3ヵ月連続で上昇した。けん引役は前月に続き自動車で、3月以降の落ち込みをほぼ相殺した。そのほか油価が40ドル台を回復するなかで鉱業(全体の14.2%)は6ヵ月ぶりに上昇。公益(全体の10.4%)は夏場の冷房需要もあって、2カ月連続で上昇した。詳細は、以下の通り。

■製造業 3.4%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は3.4%の上昇、6ヵ月平均は1.1%の低下

▽耐久財 5.5%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は11.9%の上昇、6ヵ月平均は0.9%の低下

・自動車関連 28.3%上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は118.3%の上昇、6ヵ月平均は25.9%の上昇
・航空機/輸送機 7.5%の上昇、3ヵ月連続で上昇>前月は1.9%の上昇、6ヵ月平均は1.9%の低下
・木材 2.5%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は4.0%の上昇、6ヵ月平均は1.1%の低下
・家具関連 1.9%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は4.6%の上昇、6ヵ月平均は1.4%の低下
・機械 1.4%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は4.6%の上昇、6ヵ月平均は1.7%の低下
・電気製品 0.8%の上昇、2カ月連続で上昇>前月は0.4%の上昇、6ヵ月平均は2.1%の低下
・一次金属 0.7%の上昇、2ヵ月連続で上昇<前月は5.8%の上昇、6ヵ月平均は4.8%の低下
・コンピュータ/電子部品 0.7%の上昇、2ヵ月連続で上昇>前月は4.8%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下
・組立金属 0.5%の低下、3ヵ月ぶりにマイナス<前月は1.9%の上昇、6ヵ月平均は1.7%の低下

チャート:製造業、品目別では自動車のV字型回復が顕著に

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(作成:My Big Apple NY)

▽非耐久財 1.3%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は3.5%の上昇、6ヵ月平均は1.1%の低下

・石油製品 5.0%の上昇、3ヵ月連続でプラス=前月は5.0%の上昇、6ヵ月平均は2.5%の低下
・繊維 3.4%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は4.8%の上昇、6ヵ月平均は1.6%の低下
・化学品 1.4%の上昇、3ヵ月連続でプラス>前月は0.8%の上昇、6ヵ月平均は0.8%の低下
・プラスチック/ゴム 1.1%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は12.6%の上昇、6ヵ月平均は1.1%の低下
・食品/飲料/タバコ 0.7%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は4.3%の上昇、6ヵ月平均は0.5%の低下
・服飾 0.3%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は8.8%の上昇、6ヵ月平均は0.9%の低下

■公益 3.3%の上昇、2カ月連続で上昇>前月は2.0%の上昇、6ヵ月平均は1.2%のじょうしょう

・電力 3.9%の上昇、2ヵ月連続で上昇>前月は3.8%の上昇、6ヵ月平均は1.1%の上昇
・天然ガス 0.2%の上昇>前月は5.9%の低下、6ヵ月平均は2.7%の上昇

■鉱業 0.8%の上昇、6ヵ月ぶりにプラス>前月は0.3%の低下、6ヵ月平均は3.5%の低下

――米7月鉱工業生産はコロナ禍で需要が蒸発していた分、自動車を始め製造業が支えました。製造業のうちマイナスだったのは、組み立て金属程度です。コロナ禍直前の2月との数字を比較しても、自動車を始め製造業関連は順調に下げ幅を縮小しています。

チャート:2月時点の指数と今回の比較

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(作成:My Big Apple NY)

製造業生産といえば、実質GDP成長率と前年比で相関性が高いことを踏まえれば、7~9月期に回復する期待が高まります。アトランタ地区連銀では26.2%増、NY地区連銀は14.8%増と予測していますが、問題は消費活動の鈍化でしょう。米7月小売売上高では自動車・部品が減少していました。さらに、週次の新車販売台数は改善ペースが鈍化しています。生産が回復したものの、在庫が増えてしまえば元の木阿弥です。

もうひとつの問題は鉱業で、油価が40ドル台前半で安定しているとはいえシェール関連企業の破綻件数は少なくとも7月末までで32社。エネルギー需要も道半ばにあり、ここが回復するにはまだまだ時間が掛かりそうです。

(カバー写真:Maurizio Pesce/Flickr)

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