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米8月ADP全国雇用者数は堅調、採用予定数は5カ月ぶりの快挙達成

by • September 3, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off2063

Private Payrolls Keep Growing, Job Hires Surpasses Job Cuts In August.

8月のADP全国雇用者数、チャレンジャー人員削減予定数をおさらいしていきます。

米8月ADP全国雇用者数は前月比42.8万人増となり、市場予想の100万人増を大幅に下回った。とはいえ、前月分が21.2万人増と速報値の16.7万人増から上方修正され、4ヵ月連続で増加した。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

チャート:ADP全国雇用者数、4ヵ月連続で増加

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(作成:My Big Apple NY)

セクター別では、サービス部門が38.9万人増と前月の21.2万人増(修正値)を上回り、4カ月連続で増加した。内訳は以下の通りで、感染者数の増加に鈍化がみられるなか、7月の増加のうち約2割を占めた娯楽・宿泊の雇用は、8月に約3割へ広げ雇用をけん引した。詳細は、以下の通り。

・娯楽/宿泊→12.9万人増、4ヵ月連続で増加>前月は4.1万人増
・教育/健康→10.0万人増、4ヵ月連続で増加>前月は4.8万人増
・専門サービス→6.6万人増、4ヵ月連続で増加<前月は8.2万人増
・貿易/輸送→5.8万人増、4ヵ月連続で増加>前月は5.0万人増
・その他→2.5万人増、4ヵ月連続で増加<前月は0.7万人増
・金融→1.1万人増>前月は1.5万人減、3ヵ月ぶりに減少
・情報→0.1万人減、7ヵ月連続で減少>前月は0.3万人減

財部門(製造業、建設、鉱業)は4.0万人増と前月の0.2万人増を上回り、4ヵ月連続で増加した。内訳をみると、製造業が4ヵ月連続で増加。建設は3ヵ月ぶりに減少した前月から増加に反転し、鉱業は13ヵ月ぶりに増加に転じるなどそろって増加した。

・製造業→0.9万人増、4ヵ月連続で増加<前月は1.8万人増
・建設2.8万人増>前月は1.5万人減、3ヵ月ぶりに減少
・鉱業→0.2万人増、13ヵ月ぶりに増加>前月は0.1万人減

ADPリサーチ・インスティチュートのアフ・イルディルマス共同ヘッドは、結果を受け「鈍い雇用の回復を示す」と指摘。あらゆる業種と企業規模において「雇用の増加は最低限にとどまり、コロナ禍以前の水準回復には程遠い」と結んだ。

――ADP全国雇用者数と雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は必ずしも相関性が高いとはいえません。5月にはADP全国雇用者数がマイナス276万人減のところ、NFPは250.9万人増でした。7月もADPが16.7万人増だった半面、NFPは176.3万人増と、かなりアンダーシュートする状況。今回も同様のパターンを踏襲するなら好調な回復ペースを維持する見通しで、NFPの市場予想も135万人増と大幅増のシナリオを描きます。

▽8月は、採用予定数が人員削減予定数超えの快挙

米8月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比で約2倍増の11万5,672人と6ヵ月連続で高水準だった。引き続き、単月で過去最多を更新。ただし、レストランなど対面で提供するサービス部門以外で経済活動の再開が進むなか、前月比では55.9%減となる。

チャート:人員削減予定数、前月比では減少に反転

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(作成:My Big Apple NY)

1~8月までは前年同期比で約3倍増の196万3,458人だった。下半期に入ったばかりだというのに、2001年の過去最悪だった195万6,876人にあと約1万人に迫る。

チャート:人員削減予定数、コロナ禍で2020年は前年を大幅に上回るものの乖離は縮小中

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(作成:My Big Apple NY)

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのアドリュー・チャレンジャー副社長は、今回の結果を受け「需要が減退する上に連邦政府の支援が不透明で、航空会社は人員を巡る決断を下し始めた結果、人員削減は輸送で顕著となった」と指摘した。また「従業員を一時帰休扱いとしていた企業も、解雇に踏み切りつつある」と説明。8月はセールスフォースなど、コロナ禍でも好業績を叩き出した企業でも人員削減を決定した事情もあり、今後も大規模な人員削減が続く可能性を示唆した。

さらにチャレンジャー氏は「追加の経済対策が難航する裏で、企業と労働者は大統領選の以外に託児所の受け入れ状況や学校再開をめぐる不確実性に直面している」と指摘。子供を抱える労働者も子供を預ける場所がなければ職場復帰がままならないため、人事担当を含め悩みの種になっているという。

人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。航空会社向けの経済対策500億ドルのうち給与などに充てる雇用支援として250億ドル盛り込んだが、支援の前提である雇用維持は9月末まで。航空会社は追加策を求めており、8月の段階でアメリカン航空は約1.9万人ユナイテッド航空は約1.6万人の人員削減を行うと発表し、人員削減で輸送をトップに押し上げた。なお、7月は1位が娯楽・宿泊、2位が輸送、3位が教育、4位がサービス、5位が小売だった。

1位 輸送 2万6,545人(全体の22.9%)
2位 娯楽・宿泊 1万7,271人(全体の14.9%)
3位 政府 1万4,249人(全体の12.3%)
4位 サービス 1万1,504人(全体の9.9%)
5位 テクノロジー 7,419人(全体の6.4%)

州別動向は、年初来で以下の通り。なお、6月時点では1位が人口が最も多いカリフォルニア州、2位は7月まで感染者数で全米1位だったNY州、3位は観光地で知られるフロリダ州、4位は全米で経済活動再開が最も早かったテキサス州、5位は製造業比率の高いオハイオ州だった。

1位 カリフォルニア州 35万5,661人(全体の18.2%)
2位 ニューヨーク州 21万5,251人(全体の11.0%)
3位 フロリダ州 18万3,352人(全体の9.4%)
4位 テキサス州 15万842人(全体の7.7%)
5位 オハイオ州 9万352人(全体4.6%)

リストラ実施の理由別ランキングは、単月で以下の通り。なお、6月は1位が市場環境、2位は新型コロナウイルス、3位は需要鈍化、4位は自主退職・買収、5位はコスト削減だった。

1位 市場環境 4万4,651人(全体の38.6%)
2位 需要鈍化 2万9,982人(全体の25.9%)
3位 コスト削減 2万2,532人(全体の19.5%)
4位 新型コロナウイルス 8,490人(全体の7.3%)
5位 閉鎖  5,897人(全体の5.1%)

リストラ実施の理由別ランキングは、年初来で以下の通り。

1位 新型コロナウイルス 108万3,394人(全体の55.4%)
2位 市場環境 35万335人(全体の17.9%)
3位 需要鈍化 15万3,374人(全体の7.8%)
4位 閉鎖 8万5,394人(全体の4.4%)
5位 コスト削減 6万9,169人(全体の3.5%)

採用予定数は、前年同月比で約8倍増の16万411人だった。前月比では34.9%減と減少に転じたが、8月単月では少なくとも2015年以降で最大を記録している。とはいえ、人員削減予定数の11万5,672人を上回った

セクター別では、以下の通り。なお、7月の1位は倉庫、2位はサービス、3位は娯楽・宿泊、4位は政府、5位は教育だった。

1位 娯楽・宿泊 4万5,575人(全体28.4%)
2位 建設 3万1,052人(全体の19.4%)
3位 小売 1万6,798人(全体の10.5%)
4位 不動産 1万2,050人(全体の7.4%)
5位 自動車 8,392人(全体の5.2%)

チャート:人員削減予定数と採用予定数、2020年の月毎の推移

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(作成:My Big Apple  NY)

――8月は新型コロナウイルスが直撃し特需が発生した3月(宅配、食料品などの採用予定が急増)を除き、初めて採用予定数が人員削減予定数を上回りましたこちらでご紹介したようにネット小売や出前・宅配、配送、ソフトウェアなどコロナ禍でも成長を確認した業種を中心に採用を進めているのでしょう。米8月雇用統計・非農業部門就労者数が100万人超えとなる期待を高めます。

(カバー写真:Città di Parma/Flickr)

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