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佳境を迎えるバージニア州知事選、世論調査は遂に46%で拮抗

by • October 25, 2021 • Latest News, NY TipsComments Off2086

McAuliffe and Youngkin Are Tied in Virginia Governor’s Race.

11月2日に行われるバージニア知事選、遂に残すところ投票日まで約1週間と佳境に入って参りました。

そこで、足元の世論調査結果を振り返ってみましょう。10月16~19日にマンモス大学が実施した世論調査で、民主党のマコーリフ候補と共和党のヤンキン候補の支持率が46%と拮抗、一段と混戦模様となっております。しかも、終盤戦に共和党のヤンキン候補が巻き返しを図っている状況。10月24日には、オバマ元大統領が満を持して応援演説に駆けつけるはずですよね。

チャート:各候補の支持率、共和党のヤンキン候補が追撃

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(作成:My Big Apple NY)

共和党のヤンキン氏が怒涛の追い上げを見せる通り、党派別の投票姿勢を見ると共和党支持者が熱心で、投票への意気込みを感じさせます。トランプ前大統領の不在に加え、経済正常化が進むなかで別の世論調査結果で示した通り、州民の最大の関心事がシフトし、無党派層を中心に支持率に変化を及ぼしたのでしょう。

チャート:党派別の投票姿勢

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(作成:My Big Apple NY)

最も関心のある政策をみると、9~10月にかけ1位は経済で変わらずでしたが、2位は9月のコロナ対策に代わって教育関連が浮上しました。教育関連の関心が高まった理由として、9月後半に同州最大の人口を誇るフェアファックス郡の公立学校の図書館から、2冊の本が取り除かれた問題が挙げられます。

1人の母親と元教師の女性2人の主張により、米国図書館協会(ALA)から賞を授与されたジョナサン・エヴィソン著の「ローン・ボーイ(Lawn Boy)」と、マイア・コベーブ著「ジェンダー・クイアー(Gender Queer)」が性的描写が適切ではないと図書館から外されました。これに対し、民主党のマコーリフ候補は討論会で「親が教材や書籍などを選ぶべきではない」と反対した一方で、共和党のヤンキン氏は親の介入もやむなしとの姿勢を打ち出し、教育分野での支持を広げていったのです。

その他、教育関連で、ヤンキン氏はチャータースクールの増設を、民主党のマコーリフ候補は労働組合の長年の提案を受け入れ、公立学校に20億ドルの予算をつける公約を掲げていました。こうした違いを受け、リベラル寄りのワシントン・ポスト紙の論説で共和党のヤンキン氏を称賛し、マサチューセッツ州知事を務めたミット・ロムニー現上院議員(ユタ州)にような、教育の改革者になれると訴えます。

チャート:バージニア州民にとって最も関心のある政策、トップ3

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(作成:My Big Apple NY)

バージニア州民にとって最も関心のある政策での各候補への評価を見ると、別の世論調査結果と同様に共和党のヤンキン氏がリードしています。特に教育関連でヤンキン氏は、フェアファックス郡の公立学校を舞台とした2冊の本を巡る問題をバネに、10月の世論調査で上回るに至っています。民主党のマコーリフ候補は依然としてコロナ対策で優勢ですが、その差は8月の12ポイント、9月の13ポイントから、今回は8ポイントまで縮小していました。

チャート:経済政策の支持率

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チャート:教育関連の支持率

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チャート:コロナ対策の支持率

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(作成:My Big Apple NY)

大接戦のバージニア州知事選の行方は、益々読めなくなってきました。ただし、結果がどちらに転んでも、バイデン政権が上院でのフィリバスター改革に青信号を点灯させる可能性に留意しておきたい。バイデン氏はこれまで後ろ向きだったものの、10月21日にフィリバスターの制度を「根本的に変える」と発言し、ホワイトハウスも数週間以内に方針を発表すると明かしていました。

これまでバイデン氏はフィリバスターの制度変更に慎重でしたが、ここにきてなぜ態度を変えたのか。ズバリ、中間選挙で勝利を呼び込むべく、挙公約を実現させる必要があるためです。例えば、3.5兆ドルの歳出案をめぐる質疑応答でサキ大統領補佐官が否定しなかった国境炭素税の導入を図るシナリオが想定されます。仮に国境炭素税を採用するならば、対中追加関税措置とセットで考えるのではないでしょうか?世界において気候変動対策でリードできるほか、消費財などを対象に追加関税措置を緩和あるいは撤廃すれば物価高を抑制する期待もあります。中国の追加関税措置と入れ替えるウルトラCを狙っても、おかしくありません。

もちろん、フィリバスター改革で議事妨害阻止に必要な議席数を60→50に変更することは諸刃の剣です。仮に中間選挙で共和党に多数派を奪回されれば、政治膠着を迎えること必至。ただ、上院の改選34議席数のうち共和党が20議席を占めるだけに、バイデン政権に勝算があるのかもしれません。

(カバー写真:Terry McAuliffe, Glenn Youngkin/Flickr)

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