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米12月個人消費支出は減少も、所得は増加し貯蓄率は改善

by • January 29, 2022 • Finance, Latest NewsComments Off1859

Personal Saving Rates Improves As Spending Decreases.

米12月個人消費支出は前月比0.6%減と、市場予想と一致した。前月の0.4%増(0.6%増から下方修正)から減少に転じ、年初来で2回目の減少となる。オミクロン株の感染拡大、年末商戦前倒しによる需要の先食い、供給制約に伴う商品不足などが、支出を押し下げた。

個人所得は同0.3%増と、市場予想の0.5%増に届かなかった。前月の0.5%増(0.4%増から上方修正)を下回ったとはいえ、年初来で8回目のプラスとなる。引き続き、賃金・給与が所得を支えた。

個人消費支出の伸びが所得を上回ったため貯蓄率は7.9%と、前月の7.2%(修正値)を上回った。21年10月に7.1%と新型コロナ感染拡大直前の水準(8.3%)を抜け、2017年末以来の水準へ低下してから改善が続く。詳細は以下の通り。

〇個人消費支出
→需要の先食いで年末商戦の売上が芳しくなかったほか、オミクロン株感染拡大、供給制約による商品不足が個人消費を沿押し下げ、名目ベースで5ヵ月ぶりに減少した。米12月新車販売台数が20年5月以来の低水準近くを維持したように、耐久財は2ヵ月連続で減少非耐久財は暖冬を受け電力価格が下落しことを一因に、5ヵ月ぶりに減少した。感謝祭明けにオミクロン株が南アフリカで検出され、米国でも感染拡大が広がる過程だったが、サービスは小幅ながら10ヵ月連続で増加した。

実質ベースでみると、個人消費は下方修正された前月と合わせ2ヵ月連続で減少した。

・前月比0.6%減と市場予想と一致、11月は0.4%増
・前年比13.3%増と10ヵ月連続で増加、11月は13.4%増
・インフレを除く実質ベースでの個人消費は前月比1.0%減と年初来で5回目の減少、11月は0.2%減
・前年比では7.1%増と10ヵ月連続で増加、11月は7.2%増

個人消費支出の内訳(前月比ベース)
・財 2.6%減と年初来で5回目のマイナス、前月は0.2%減
・耐久財 4.1%減と2ヵ月連続で減少し年初来で6回目のマイナス、前月は4.3%増
・非耐久財 1.7%減と年初来で5回目のマイナス、前月は0.4%増
・サービス 0.5%増と10ヵ月連続で増加し年初来で11回目のプラス、前月は0.5%増

チャート:個人消費、前月比の項目別内訳

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(作成;My Big Apple NY)

〇個人所得
賃金・給与が支え、所得は名目ベースで3ヵ月連続(年初来では8回目のプラス)で増加した。賃金・給与は、10ヵ月連続で増。その他、住宅価格の高騰を受け賃貸需要が高まり、家賃収入も6ヵ月連続で増加した。なお、米疾病対策センター(CDC)は8月、新型コロナウイルス感染予防策対策として、感染率が高い地域を対象に新たに21年10月3日まで住宅立ち退き猶予期間を設定。しかし、家主や不動産団体が撤回を求め提訴し、米連邦最高裁判所が21年8月26日に無効の判断を下した結果、家賃の上昇が進み始めている。その他、利回り上昇や配当の増加を受け、資産収入も増加に寄与した。

実質ベースの個人所得は年初来で10回目、5ヵ月連続でマイナスに陥り、物価上昇が所得増加分を吸収していたことが分かった。

・前月比0.3%増と年初来で8回目のプラス、市場予想と一致、11月は0.5%増
・前年比では7.3%増と8ヵ月連続で増加、11月は7.6%増
・実質ベースでは前月比0.1%減と年初来で9回目のマイナス、11月は0.1%減
・前年比は1.4%増と年初来で8回目のプラス、11月は1.8%増

所得の内訳は、名目ベースの前月比で以下の通り。

・賃金/所得 0.7%増と10ヵ月連続で増加(民間は0.8%増、政府部門は0.2%増)、前月は0.6%増
・経営者収入 1.4%減(農業は6.4%減、非農業は1.2%減)、前月は横ばい
・家賃収入 0.8%増と6ヵ月連続で増加、前月は0.9%増
・資産収入 0.6%増(金利収入が0.5%増、配当が0.8%増)と3ヵ月連続で増加、前月は0.4%増
・社会補助 横ばい、前月は0.6%増
・社会福祉 横ばい、前月は0.6%増(メディケア=高所得者向け医療保険は1.1%増と8ヵ月連続で増加、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.2%増と13ヵ月連続で増加、失業保険は18.1%減と9ヵ月連続で減少、退役軍人向けは0.8%増と増加基調を維持、その他は0.8%減)

チャート:個人所得、前月比の項目別内訳

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(作成:My Big Apple NY)

〇可処分所得
・前月比0.2%増、11月の0.4%増と合わせ年初来で8回目のプラス
・前年比は5.6%増と年初来で11回目のプラス、11月は5.6%増
・実質ベースの可処分所得は0.2%減、前月の0.2%減を含め5ヵ月連続で減少
・前年比は0.2%減と年初来で7回目のマイナス、11月は0.2%増

〇貯蓄率
・7.9%、11月の7.2%を上回り2017年12月以来の低水準

チャート:実質の個人消費は、貯蓄率の低下と共に大幅に伸びが縮小

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(作成:My Big Apple NY)

〇個人消費支出(PCE)デフレーター
→油価の上昇やサプライチェーン途絶による影響を受け、上振れ傾向が続く。PCEデフレーターの前年比は1982年7月以来の高水準に並びコアPCEも1983年9月以来の高い伸びを記録した。Fedは一連の結果が公表される前、1月FOMCで①テーパリングの3月終了、②3月の利上げ示唆、③保有資産圧縮の着手――示唆した。

・PCEデフレーターは前月比0.4%上昇し市場予想の0.5%以下、11月は0.6%の上昇(0.5%から上方修正)
・前年比は5.8%上昇し市場予想と一致し1982年7月の高い伸びに並ぶ、11月は5.7%の上昇
・コアPCEデフレーターは前月比0.5%上昇し市場予想と一致、11月は0.5%の上昇
・コアPCEの前年比は4.9%上昇し市場予想の4.8%超え1983年5月以来の高い伸び、11月は4.7%の上昇

チャート:物価上昇を受け、実質賃金の伸びに下方圧力

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(作成:My Big Apple NY)

――米12月個人消費支出は5ヵ月ぶりに減少したものの所得は増加を維持し、貯蓄率は2017年末以来の低水準をつけた21年10月の7.1%から今回、7.9%へ改善しました。2017~19年平均の7.5%を上回りました。裁量消費が限定的となるリスクが一歩後退したかたちです。

その半面、インフレの高止まりを確認しました。1月25~26日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)でサインを点灯したように、3月15~16日開催のFOMCで利上げを行い、中間選挙を控えた6月14~15日開催のFOMCで保有資産の圧縮を決定するのでしょう。

(カバー写真:Susan Jane Golding/Flickr)

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