Inflation Increased More Than Expected, Pushed By Foods And Rent.
米9月消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇し、市場予想の0.2%を上回った。前月の0.1%から上向き、2カ月連続で上昇。原油価格が80ドルを割り込む過程で、エネルギーが3ヵ月連続で下落。一方で、食品や帰属家賃、自動車関連などが物価を押し上げた。
内訳を前月比でみると、エネルギー(全体の7.3%を占める)2.1%下落し、前月の5.0%に続き3カ月連続でマイナスに振れた。ガソリンも前月の10.1%下落から下げ幅を狭めつつ4.7%の下落と、3カ月連続でマイナス。その他のエネルギーは底堅く、電力など公益は1.1%上昇と前月の0.1%とプラスを維持。電力が0.4%と前月の1.5%以下ながら上昇を続け、ガスは2.9%上昇し、前月の3.5%に続きプラスを保った。
エネルギー以外では食品(全体の13.4%を占める)が8月に続き前月比0.8%上昇、高止まりを続けた。なお、コロナ禍で経済活動が停止した20年4月は1.4%上昇していた。詳細をみると、食費が同0.7%と前月と変わらず県庁。ウクライナ情勢緊迫化の影響を受けつつもシリアル・パンが同0.9%の上昇し高止まりしたほか、肉類・卵・魚も0.4%と3カ月連続で上昇した。なお、肉類の高騰を背景にバイデン政権は1月3日、寡占状態の食肉加工業者の間で競争を推進すべく、独立業者を支援するため10億ドル投じると発表した。一方で、外食は前月に続き同0.9%上昇、1981年3月以来の伸びとなった6月の水準を保った。
CPIコアは8月に続き前月比0.6%上昇し、市場予想の0.5%を上回った。なお、21年6月は同0.9%と1982年6月以来の伸びへ加速していた。
チャート:CPIの費目別寄与、前月比は引き続きガソリンなどエネルギーが押し下げたものの食品とその他が上昇を主導
食品とエネルギー以外をみると、中古車を除き自動車関連の伸びが目立ち、自動車保険は9カ月連続でプラス、自動車メンテナンス/修繕は6カ月連続でプラスとなった。中古車のみ、3カ月連続でマイナスだった。その他、住宅価格の上昇や在庫不足を受け加速していた帰属家賃や家賃は、再び加速。季節的要因(春先に値上がりし、夏にかけて鈍化)を受けて下落していた航空運賃も、再び持ち直した。エネルギー関連と食品・飲料以外で主要な項目の前月比は、以下の通り。
(上昇費目)
・自動車保険 1.6%上昇、3カ月ぶりの高い伸びで9ヵ月連続でプラス>前月は1.3%の上昇
・自動車メンテナンス/修繕 1.9%の上昇、6ヵ月連続で上昇>前月は1.7%の上昇、6月は2.0%と1974年9月以来の高い伸び
・航空運賃 0.8%の上昇、4カ月ぶりに上昇>前月は4.6%の下落
・医療サービス 1.0%上昇、少なくとも19年10月以来の高い伸びで15ヵ月連続でプラス>前月は0.8%上昇・家賃 0.8%上昇、プラスのトレンドを維持し1986年4月以来の高い伸びに並ぶ>前月は0.7%の上昇
・帰属家賃 0.8%上昇し1990年6月以来の高い伸び、上昇トレンドを維持>前月は0.7%の上昇
・住宅 0.8%上昇、上昇トレンドを維持し1976年7月以来の高い伸び>前月は0.7%の上昇
・新車 0.7%上昇、8ヵ月連続でプラス<前月は0.8%の上昇
・教育サービス 0.2%上昇=前月は0.2%の上昇
・娯楽サービス 0.2%上昇>前月は横ばい、7ヵ月連続の上昇にブレーキ
(横ばい、下落項目)
・服飾 0.1%下落>前月は0.2%の上昇
・宿泊 1.0%の下落<前月は0.1%の下落
・中古車 1.1%の下落、3ヵ月連続で下落<前月は0.1%の下落
CPIは前年同月比で8.2%上昇し、市場予想の8.1%を上回った。前月の8.3%からは鈍化したが、高止まりを示す。CPIコアは前年同月比6.6%上昇、市場予想の6.5%並びに前月の6.3%から加速し、1982年8月以来の高い伸びとなった。
チャート:CPIの前年比、費目別の寄与もその他が大きい
――経済正常化を受け、特に上昇した食品関連を除く費目の前年同月比で再加速が優勢。自動車保険(前月:7.4%→8.7%)を始め、宿泊(前月:1.2%上昇→4.1%上昇)、前月比でマイナスだった航空運賃(前月:27.7%上昇→33.4%上昇)や、中古車(前月:6.6%上昇→7.8%)も上向いたものです。新車のみ、小幅鈍化していました(前月:10.4%→10.1%)
チャート:経済活動の再開で上振れが目立った費目、再加速が優勢
CPIの13.7%を占める食品の前年同月比は、外食を除き鈍化が優勢。肉・魚・卵が6ヵ月連続で伸びが小幅鈍化(前月:10.6%→9.0%)した他、ウクライナ侵攻による影響で引き続きシリアル・パン類(前月:16.4%→16.2%)とわずかながら頭打ちを示唆しています。食費(前月:13.5%→13.0%)も伸びを縮めました。ただ、外食(前月:8.0%→8.5%)のび、伸びを広げています。
チャート:食費の費目全て、前年比で鈍化が優勢に
7.3%を占めるエネルギーは前年同月比で19.9%上昇し、前月の23.9%を大幅に下回りました。ガソリンが前月の25.6%から18.2%へ大幅減速したためで、むしろ電力・ガスは19.9%と、前月と変わりません。
チャート:食費に加え生活必需品のガソリンに加え、電力・ガス料金が家計を圧迫へ
物価が高止まりするなか、実質賃金の伸びを押し下げ続けました。9月の実質平均時給は前年同月比3.0%下落、18ヵ月連続でマイナスとなりました。生産労働者・非管理職も2.5%下落し、前月の2.4%から下げ幅を広げています。
チャート:実質賃金の下落に加え、エネルギーや食品、家賃など生活必需品の値上げが消費の重石に
コアCPIの高止まりを受け、FF先物市場では11月1~2日開催のFOMCでの利上げ織り込み度は97.0%へ上昇(NY時間12時半時点)。23年12月も4.5~4.75%が30.9%と最も高い確率となっています。ただ、現時点では5%超えほどの一段の利上げペース引き上げを正当化する内容とは判断されなかったもようです。ということは、年内はあと2回、2023年以降の利上げは1回の利上げと見込まれ、想定内と言えるでしょう。
(カバー写真:Chuck Patch/Flickr)
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