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米1月小売売上高、悪いニュースは良い知らせ

by • February 13, 2014 • Latest NewsComments (0)1746

January Retail Sales : Bad News Is Good News.

ニューヨークはもちろん、ホットランタというあだ名で親しまれているジョージア州アトランタにまで極渦が猛威を振るっていたので、悪いのは分かり切っていました。はい、米1月小売売上高のことです。

前月比0.4%減と、市場予想の±0%より弱い数字でした。前月の0.1%減(0.2%増から下方修正)も下回り、2ヵ月連続で減少。大寒波と積雪に見舞われるなか、2012年6月以来で最大の減少幅を示しています。

内訳をみると、自動車が2.1%減と12月に続き減少してます。自動車を除いた場合は±0%となり、マイナスを回避したものの前月の0.3%増を下回りました。マイナスではなかったのが不思議なくらい軒並み減少していまして、

家具 0.6%減
スポーツ衣料 1.4%減、
一般雑貨 0.1%減
百貨店 1.5%減
雑貨も0.3%減
外食も0.6%減

以上が総じて2ヵ月連続で弱含んでいたんです。また服飾が0.9%減、健康・介護も0.6%減とそろって反落。寒波で恩恵を受けるはずのオンラインも、0.6%減と5ヵ月ぶりに減少に転じています。逆に建築材が1.4%増と増加に転じたのは、意外でしたね。そのほか小売売上高を支えたのは電化製品、食品・飲料、ガソリンでした。電化製品を除けば、必需品です。

辺り一面、白銀の世界。写真でみるだけなら幻想的ではありますが・・。
tree
(出所 : skyblue-events.com)

こうした数字を踏まえたエコノミストの評価をみてみましょう。

バークレイズのピーター・ニューランド米エコノミスト
「北東部を中心に積雪と寒波で小売売上高が減少するにしても、オンライン売上高が落ち込み建築材が増加するなど悪天候だけで説明できない。コア小売売上高(自動車、ガソリン、建築材除く)自体、1月分は0.3%減と弱かった。2月に反動増を期待したいところだが、積雪動向をみると見込みづらく米1-3月期国内総生産(GDP)は2.2%程度となるだろう。
コア小売売上高は11月と12月分が下方修正されており、10-12月期の消費は従来予想の4.2%増から3.2%増への大幅な引き下げを余儀なくされる。従って米10-12月GDP予想につき、米12月企業在庫と勘案した上で速報値3.2%増のところ従来予想の2.6%増から2.3%増へ下方修正する。

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミスト
「悪天候だけでなく、2013年末に緊急失業保険が期限切れを迎えたことも消費の悪材料。1-3月期GDPについては、当方の予想2.5%増に届かないリスクが出てきた。米10-12月期GDPは、従来予想の2.6%増から2.2%増へ引き下げる。」

モルガン・スタンレーのテッド・ウィーズマン米エコノミスト
「11月と12月分の小売売上高の下方修正により10-12月期の消費は3.3%増から2.8%増へ、10-12月期GDPは速報値の3.2%増から2.8%増への下方修正を見込む。1-3月期については、一段の減速を予想。小売売上高が足元の反動で増加する時期は、2月の悪天候を考慮すると3月-4月へ先送りされよう。消費だけでなく建設支出、住宅投資、企業の設備投資、さらに州・地方政府の投資も押し下げられ、1-3月期GDPを従来の1.9%増から0.9%増へ引き下げる。」

ゴールドマン・サックス
「米1月小売売上高に反応し10-12月期GDPにつき速報値の3.2%増から2.4%増へ下方修正すると見込む。1-3月期GDP予想も、従来の2.3%増から1.9%増へ下方修正した。」

はい、ご覧のようにエコノミスト諸氏は軒並み10-12月期および1-3月期のGDPを下方修正しました。今まで筆者が口を酸っぱくして消費減速を指摘したように、やっぱり消費は堅調とはいえないんです。ホリデー商戦中の消費も案の定、下方修正されました。

モルガン・スタンレーのテッド・ウィーズマン米エコノミストを始め反動増を期待する声も大きいですが、光熱費のダメージも忘れてはいけません。賃金の伸びがイマイチな点も見流せません。1月雇用統計での時間当たり賃金は前年同月比で1.9%で、足元のレンジを脱せず。貯蓄率も12月に3.9%と約1年ぶりの低水準を示し、消費ののりしろは限られています。3月は暦の上でこそ春ながら、ニューヨークなど米北東部はしょっちゅう降雪にたたられる始末。消費が花開くには、少なくとも4月まで待たねばならない予感がします。

それでも、ダウ平均は1月23日以来の16000ドル台で取引を終了。S&P500も1月23日以来の高値で引け、NASDAQは5日続伸し、終値ベースでは1月22日以来の高値を迎えました。やっぱり、イエレン・プットの期待が大きいんでしょうね。米債高・ドル高に加えて、金先物も上昇してましたから。

(カバー写真 :.standupny.com )

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