Multiple-family Activity Pulled Down Housing Starts.
米8月住宅着工件数は95.6万件となり、市場予想の103.7万件より弱い結果となった。2007年11月以来の高水準だった前月の111.7万件(109.3万件から上方修正)を14.4%下回り、過去4ヵ月間で3回目の減少を示す。
内訳をみると、一戸建てが2.4%減の64.3万件と前月の11.1%増から減少に反転。複合住宅にいたっては31.7%減の31.3万件と前月の44.9%増から落ち込み、そろって過去4ヵ月間で3回目の減少を迎えた。前年比での住宅着工件数は8.0%増と前月の24.4%増から伸びを縮めつつ、5ヵ月連続でプラスを維持。複合住宅が16.8%増と、前月の51.7%増を合わせ賃貸需要を反映し5ヵ月連続で大幅増だったほか、一戸建ても4.2%増と6ヵ月連続で増加した。
4大地域別では、すべての地域で減少。7月の1地域を上回った。今回は、住宅市場の規模が南部に次いで大きい西部が24.7%減(3ヵ月ぶりに減少)の20.4万件だったほか、南部も10.9%減(前月からマイナス反転)の47.4万件と弱い。北東部は12.9%減(3ヵ月ぶりに減少)の12.1万件。中西部は、10.3%減(2ヵ月連続で減少)の15.7万件だった。
米8月建設許可件数は99.8万件となり、市場予想の104.0万件より弱い結果となった。2008年6月以来の高水準を達成した4月に次ぐ高水準だった105.7万件(105.2万件から上方修正)を5.6%下回っている。内訳をみると、一戸建てが0.8%減の62.6万件と2ヵ月連続で減少。複合住宅も12.7%減の37.2万件となり、前月の25.7%増からマイナスに転じ過去4ヵ月間で3回目の減少を示した。建設許可件数の前年比は5.3%増と、7月の7.6%増(速報値ベース)から伸びを鈍化させた。一戸建てが0.8%減と3ヵ月ぶりに減少した半面、複合住宅は17.4%増と3ヵ月連続で2桁ペースを保った。
米8月建設中件数は前月比0.6%増の79.4万件となった。件数ベースでは少なくとも、2009年1月以来の高水準を達成。一戸建てが1.4%増の35.0万件と6ヵ月連続で増加した一方で、複合住宅は±0%の44.4万件と増加トレンドに終止符を打った。
JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、複合住宅の下押しに注目し「着工件数が31.7%減、建築許可件数が12.7%減と大幅減少だった理由は前月にそれぞれ45%増、26%増と急増した反動」と説明。複合住宅自体、変動が大きいため、ヘッドラインほど悲観的に受け止める必要はないとの認識を示した。
大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストも、複合住宅が全体を押し下げた点を認めつつ「一戸建ての着工件数は回復期レンジの上限にとどまっている」と指摘していた。
モラン氏の指摘通り、一戸建て住宅着工件数はレンジ内をキープ。
(出所 : 大和キャピタル・マーケッツ)
以上、確かに内容を振り返るとヘッドラインの数字ほど悪いとはいえません。半面、8月に金利が低下し雇用が改善しながらも、一戸建てがレンジブレークを果たせずにいるのは気掛かり。量的緩和(QE)終了、利上げ開始を見据え米長期金利が上向くリスクもあって、米9月NAHB住宅市場指数と住宅市場の実体にかい離が広がりつつあると考えられます。
(カバー写真 : LA Times)
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【追記】アリババIPOで、高笑いするのは特定の投資家?