Russia Surprises The Market Again By Cutting Interest Rate This Time.
ロシア中央銀行(CBR)は30日、政策金利である1週間物レポ金利を17%から15%へ引き下げました。マーケットの度肝を抜いた2014年12月の650bp利上げから、たった1ヵ月で政策転換させています。エコノミストは今回据え置きを予想していたため、CBRは2ヵ月連続でサプライズを与えました。
ロシア、政策金利の推移。
(出所:Trading Economics)
ナビウリナ総裁は、今回の措置につき「インフレ抑制と経済回復といった目標をバランスさせる」と意図があったと説明。2014年12月の大幅利上げは「緊急措置」であり、利下げへの政策変更は「経済活動の大いなる減速を回避する」ことを狙ったと明かしています。米欧の制裁強化に原油安も加わってCRBが「生産活動はかなりの落ち込みを示す」と警告するように、企業は業績悪化リスクに直面し賃下げすら必至な状況。CBRは2014年国内総生産(GDP)の予想0.6%増から今年上半期に3.2%減へ沈むシナリオを描くなか、成長リスクに軸足を移す必要性があったのでしょう。
半面、インフレ率は高水準を維持。1月26日時点のインフレ率は前年比13.1%と2017年までに4%へ引き下げるというCBRの目標からかい離したままです。CBRは、4−6月期まで頭打ちを見込んでいません。ただ比較的、物価には楽観的で「抑制された需要やわずかに緊縮寄りな財政政策」により2016年には10%割れへ落ち着くと予想しています。
政府関係者や産業団体から利下げ圧力を加えられていた背景から、マーケットはそんなCBRの独立性へ疑問を抱き利下げにルーブル売りで反応しました。一時1ドル=72ルーブルと、過去最安値を更新しいます。
モルガン・スタンレーのエコノミスト、アリナ・スルサルシュク氏は結果を受け「当方の上半期GDP予想は4.2%減、2015年は5.6%減であり、成長リスクに配慮するCBRのスタンスは理解できる」とのコメントを寄せます。ただし、インフレが上昇途上にありルーブルも下げ止まらないなかでの利下げは「時期尚早」と一刀両断。CBRは15%という政策金利水準に対し『依然として高い』と追加利下げ示唆とも解釈できる見解を明らかにしたものの、「インフレは経済開発省が3−4月に15−17%と予想するように一段と加速する場合も考えられ、上半期末まで金利据え置きを余儀なくされるだろう」と結んでいました。むしろ、インフレが急伸すれば再び利上げに転じるリスクもはらみ、CBRへの信頼が損なわれた感は否めません。ロシア株式指数MICEXの上昇率も0.49%高にとどまっていましたしね。
(カバー写真:RT)
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