Job Growth, Unemployment Rate Both Drop In September

米1月雇用統計はNFPも賃金も良好で、試されるFedの「忍耐強さ」

by • February 6, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off3032

Is January Jobs Report Robust Enough For The Fed To Drop The Word ‘Patient’ From The Statement?

米1月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比25.7万人増と、市場予想の22.8万人増を上回った。今回は年次のベンチマーク改訂もあり、過去分が大幅に上方修正されている。12月分は25.2万人増から32.9万人増、11月分も35.3万人から42.3万人増へ引き上げられ、特に11月分は1997年9月以来の高水準を示現した。上方修正を受けて3ヵ月平均は33.6万人増と1997年11月以来の高水準を遂げ、6ヵ月平均も26.6万人増から28.2万人増へ修正された。

NFPの内訳をみると、民間就労者数が26.7万人増となり市場予想の22.2万人増を超えた。ホリデー商戦を追い風に力強い伸びを達成した前月の32.0万人増(24.0万人増から上方修正)以下ながら、高水準をキープしている。特にサービス業が20.9万人増と、前月の24.7万人増に続き3ヵ月連続で20万人台を維持している。

(サービスの主な内訳)
・貿易/輸送 5.1万人増<前月は5.4万人増、ホリデー商戦後も増加トレンド維持
そのうち小売は4.6万人増>前月は0.7万人増、5ヵ月連続で増加
・教育/健康 4.6万人増<前月は4.8万人増、増加トレンドを維持
・ビジネス・サービス 3.9万人増<前月は8.0万人増、増加トレンドを維持
そのうち派遣は0.4万人減<前月は2.5万人増、増加トレンドから脱落
・娯楽/宿泊 3.7万人増<前月は4.7万人増、増加トレンドを維持しつつ4ヵ月ぶり低水準
そのうち食品サービスは3.5万人増、2014年の平均値3.3万人増を上回る
・金融 2.6万人増>前月は0.9万人増、10ヵ月連続で増加
・情報 0.6万人増>前月は0.4万人増、3ヵ月連続で増加
・政府 1.0万人減<前月0.9万人増、増加トレンドから脱落

財政産業は5.8万人増となり、前月の7.3万人増を下回りつつ13ヵ月連続で増加している。

(財政産業の内訳)
・建設 3.9万人増<前月は4.4万人増、12ヵ月連続で増加し平年を上回る気温が支え
・製造業 2.2万人増<前月は2.6万人増、増加トレンドを継続
・石油関連 1900人減

ホリデー商戦の恩恵があったとはいえ、2014年11月は突出した強さ。

jobs report
(出所:BLS)

時間当たり平均労働賃金は、前月比0.5%増の24.75ドル(約2920円)。2008年11月以来で最高を記録し、市場予想の0.3%増を上回った。2013年7月以来のマイナスを示現した前月の0.2%減から一転して上昇しているが、一因としては2015年に入ってアラスカ州をはじめとした最低賃金の引き上げが挙げられる。前年比は2.2%の上昇となり、5ヵ月ぶり高水準。市場予想および前月の1.9%(1.7%から上方修正)を超え2%台へ戻した。生産労働者・非管理職の場合は、前月比0.3%上昇野20.80ドル(約2450円)で、前年比は1.96%となる。全従業員の週当たり賃金は、前月比0.5%増の856.35ドル(約10万1050円)と前月の0.2%減から上昇に反転。前年比では2.8%と、前月の2.5%(速報値ベース)から加速した。生産労働者・非管理職の週当たり賃金の場合は前月比0.04%上昇の703.04ドル(約8万3000円)で、前年比では2.9%上昇した。

週当たりの平均労働時間は前月に続き34.6時間となり、市場予想並びに前月と一致し2008年5月以来の高水準を保つ。製造業の平均労働時間は41.0時間となり、前月の40.9時間から延びた。もっとも、2014年6月に続き2007年以来の高水準に並んだ11月の41.1時間からは短縮している。

失業率は5.7%となり、2008年7月以来の6%割れを維持。市場予想および前月の5.6%(注意:例年通り、1月から新たな人口推計が採用されており2014年12月とは失業率を弾き出す母体が変わっている)を上回った。2014年12月時点の米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーによる2015年末予想から若干離れた。マーケットが注目する労働参加率は62.9%。2014年9月と同じく1978年2月以来の低水準に並んだ前月の62.7%から改善した。

失業者数は前月比29.1万人増となり、前月の38.3万人減から増加に反転。過去6ヵ月間で2回目の増加を示した。雇用者数は75.9万人増と、8ヵ月連続で増加している。就業率は前月まで3ヵ月連続で59.2%を経て、59.3%へ上昇し約5年ぶりの水準へ改善した。

経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている不完全雇用率は、11.3%。前月の11.2%から上昇しつつ、5ヵ月連続で2008年10月以来の12%割れを維持している。一方で平均失業期間は32.3週と、前月の32.8週から短縮。ただし、少なくとも2010年3月以来でもっとも短い2014年9月の31.5週を上回る水準を保つ。失業期間の中央値は13.4週と、少なくとも2009年以来の低水準とされる前月の12.6週から延びた。

フルタイムとパートタイム動向をみると、フルタイムは前月比0.6%増の1億2071万人となり2ヵ月連続で増加。パートタイムは0.1%増の2755万人と、増加に転じた。

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長のダッシュボードに含まれ、かつ「労働市場のたるみ」として挙げた1)不完全失業率(フルタイム勤務を望むもののパートタイムを余儀なくされている人々)、2)賃金の伸び、3)失業者に占める高い長期失業者の割合、4)労働参加率――の項目別採点票は、以下の通り。

1)不完全失業率 採点-×
1月は11.3%、2008年9月以来の低水準だった12月の11.2%から上昇。不完全失業者数も前月比0.3%増の681.0万人と、9ヵ月ぶりに増加。

2)長期失業者 採点-△
失業期間が6ヵ月以上の割合は31.5%と、12月の31.9%を下回った。平均失業期間は32.3週と、12月の32.8週から短縮。ただし6ヵ月以上の失業者数は1月に280.0万人と、前月の278.5万人から0.4%増加。

3)賃金 採点-○
12月は前月比0.5%増と2008年11月以来の高水準へ反転、前年同月比も2.2%の上昇と5ヵ月ぶり高水準で2012年11月から続く1.9-2.2%のレンジ上限に並ぶ。なお生産労働・非管理職の時間当たり賃金は0.3%増の20.80ドル(約2450円)と、ヘッドラインの0.5%増より上げ幅を縮小。前年比でも1.96%増と、ヘッドラインの2.2%以下にとどまった。

4)労働参加率 採点-○
1月は62.9%と、1978年2月以来の低水準である12月の62.7%から改善。非労働人口は9254万人と、これまで過去最悪だった前月の9290万人から減少。軍人を除く民間労働人口も前月比0.7%増の1億5718万人となり、前月から増加に転じた。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、米雇用統計後にFed番のヒルゼンラス記者による「力強い雇用統計、『忍耐強い』との文言を削除する可能性を高める」と題した記事を配信した。記事では、利上げに「忍耐強くなれる(patient)」という文言が最低2回の据え置きを意味すると説いた上で「3月に文言を維持すれば、4月と6月は利上げしないことになる」と指摘。今回の雇用統計でNFPと賃金に大幅な改善を確認したため、「確実ではない」としながら文言削除の可能性を挙げた。

バークレイズのマイケル・ゲイピン米エコノミストは、結果を受けて「労働市場は経済活動とともに活気に溢れている」と評価した。”時間当たりの平均賃金×週当たり平均労働時間”で表す賃金動向をみると3ヵ月比年率6.4%上昇し、2014年10−12月期の6.0%および同年7−9月期の4.5%から上向いた点も挙げ、第1弾の利上げ開始時期を「6月」で維持。ただ、引き続き「後ろ倒しとなるリスクをはらむ」とも付け加えている。

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、結果を受け「エネルギー関連の就業者数は1月に1900人の減少にとどまっており、原油安の労働市場へのインパクトは限定的で、むしろ設備投資への影響がより大きい」と強調。その上で「6月の利上げを予想する当方の味方と整合的」とまとめた。

ロイターによると、米短期金利先物は予想より強い米雇用統計を受け9月の利上げ織り込み度が上昇した。米1月雇用統計発表直前の48%を上回り、55%を示す。

——以上、米1月雇用統計はNFPも賃金も労働市場の力量をみせつけました。あらためて、FOMC声明文にある「(利上げに)忍耐強くなれる」との文言の扱いに焦点が集まることでしょう。米1月チャレンジャー人員削減予定数が示すようにエネルギー関連をはじめ小売セクターにリストラの手が及ぶなかでも1月は文句なしに好結果だったこともあり、24−25日に予定されるイエレンFRB議長の旧ハンフリー・ホーキンス証言でヒントを指し示すのか注目されます。

(カバー写真:Baltimore cbs local)

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