Housing Starts And Building Permits Slip, Good Sign For The Inventory.
米1月住宅着工件数は年率106.5万件となり、市場予想の107.0万件にあと一歩及ばなかった。2013年11月以来の高水準を達成した前月の108.7万件(108.9万件から下方修正)を2.0%下回っている。過去6ヵ月間で3回目の減少を示した。寒波襲来と積雪の影響で、中西部を中心に建設活動が阻害されたとみられる。
内訳をみると、一戸建てが67.8万件。約7年ぶりの高水準を示現した前月から、6.7%減少した。複合住宅は7.5%増の38.7万件と、2ヵ月連続で増加し6ヵ月ぶり高水準となる。前年比での住宅着工件数は18.3%増と、前月の8.0%増と合わせ2ヵ月連続で増加。一戸建てが14.8%増だったほか、複合住宅も24.4%増とそろって2ヵ月連続で上向いた。
4大地域別では、1地域のみ増加。前月は、4地域全て増加していた。今回は中西部が22.2%減の14.0万件と大幅減に反転したほか、北東部も3.5%減の11.1万件と3ヵ月ぶりに減少。西部は3.4%減の28.6万件と、減少に転じている。南部のみ6.5%増の52.8万件と、2ヵ月連続で増加した。
住宅着工件数、2006年までの過去20年間平均は150万件には遠く及ばず。
米1月建設許可件数は105.3万件となり、市場予想の106.7万件に届かず。前月の106.0万件(103.2万件から上方修正)を0.7%下回った。過去6ヵ月間で3回目のマイナスとなる。
内訳をみると、一戸建てが前月比3.1%減の65.4万件と押し下げており、複合住宅は3.6%増の39.9万件と3ヵ月ぶりに増加した。建設許可件数の前年比は3.6%増と、前月の7.5%増に続きプラスに。一戸建てが1.7%増だったほか、複合住宅も6.8%増だった。
米1月建設中件数は前月比1.1%増の83.9万件となった。件数ベースでは少なくとも、2009年以来の高水準を達成。一戸建てが0.5%増の36.6万件と6ヵ月連続で増加したほか、賃貸需要を背景に複合住宅も1.5%増の47.3万件と5ヵ月連続で増えた。
モルガン・スタンレーのテッド・ウィーズマン米エコノミストは、在庫増加への懸念が後退したと説く。住宅着工件数の75%が注文物件ではなく販売向けのところ、一戸建ての住宅着工件数が67.8万件と約7年ぶりの高水準だった前月から減少するなか「50.5万件が注文物件ではなく販売向け」と試算され、足元の新築住宅販売件数とのかい離が狭まっているためだ。ただ、1−3月期の住宅投資は従来の「10.7%増から6.7%増」に下方修正し、悪天候と需要減退を背景に挙げた。一方で米1月鉱工業生産で公益が改善したことから、米1−3月期の消費は「従来の3.2%増から3.4%増」へ上方修正。米1−3月期国内総生産(GDP)については、「2.8%増」で維持した。
——以上、住宅着工件数は前月から一転し寒波と積雪の影響もあって失速しました。2月も悪天候に見舞われたため建設活動が圧迫される見通しで、住宅市場は2014年の二の舞を踏む気配。在庫余剰への懸念が後退しつつあるとはいえ、米2月NAHB住宅市場指数が鈍化したように家計は賃貸へ流れ空室率は20年来の低水準を示現する状況です。住宅ローン審査も依然として厳しく金利も上昇傾向にあり、新規住宅購入者が増加する余地は限定的ではないでしょうか。金利上昇も重なりMBA住宅ローン申請件数指数も新規を中心に落ち込みが激しく、ひとまず春になるまで需要は芽吹きそうにありません。
(カバー写真:Derik DeLong/Flickr)
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