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3月FOMC声明文を受け、6月利上げ派が9月に鞍替え

by • March 18, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2619

June Lift-Off For Rates Seems Less Likely, Economists Start To Expect It In September.

3月17−18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文がハト派寄りへシフトし、6月利上げ観測が後退したためエコノミスト諸氏も対応しております。以下は、見通しを変更した方々のコメント簡略版です。

バークレイズのマイケル・ゲイピン米エコノミスト

利上げ開始時期の予想を、6月から9月に変更する。今回の経済・金利見通しをひも解くと長期失業率を引き下げており、FOMCメンバーは自然失業率(NAIRU、インフレが加速しない失業率の下限)を下方修正したかたちだ。つまり労働市場のたるみが、2014年12月時点より広がったことを意味する。6月まで残すところ数ヵ月だが、それまでに労働市場がたるみを吸収できるか不透明だ。FOMCは、FF金利見通しも引き下げた。2015年中央値は0.50−0.75%、2016年は1.75−2.00%、2017年は3.00—3.25%とし、2014年12月時点からそれぞれ約50−75bp下方修正している。以上を踏まえ、当方の2015年FF金利見通しも従来の0.75−1.00%から0.50−0.75%へ引き下げる。今回はタカ派の意見を汲み取り「忍耐強くなれる(patient)」を削除しつつ、労働市場のたるみに広がりを示唆することでハト派寄りとのバランスを取ったと言えよう。

大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミスト

第1弾の利上げは、6月より9月が妥当だろう。声明文からフォワード・ガイダンス「忍耐強くなれる」を取り除いたとはいえ、長期失業率、すなわち完全雇用の見通しも「5.0−5.2%」ヘ引き下げた。見通し下方修正により、インフレに対応する余裕ができたと言えよう。FF金利も、下方修正した。2015年の中央値は、前回の1.125%から0.625%へ低下している。2016年の中央値も従来の2.50%を大きく下回り、1.875%。見通しの配分も前回より狭まっており、コンセンサスが形成されつつあることが伺える。当方は6月利上げの可能性を捨てていないものの、9月16−17日開催のFOMCの方が濃厚となったと考える。

——上記のお2人方は9月派へ鞍替えしましたが、6月利上げ派のこの方は予想を維持しました。

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミスト

FOMCで「忍耐強くなれる」との文言を外し6月利上げへの扉を開けた半面、経済・金利見通しでは利上げ開始を9月と見なすFOMC参加者の意向が反映されたようだ。フォワード・ガイダンスが削除された今、特に重要なFF金利見通しは2015−2017年にわたってすべて下方修正している。6月利上げ派の当方にとって、厳しい情勢となってきた。ただしイエレンFRB議長が記者会見で説明したように、FOMCは「インフレが中期的に目標値に向かうという確証を得て」利上げを行うという。当方の予想が的中するには、失業率が一段と低下する必要がある。

今回のFF金利見通し下方修正は、ドル高の影響を踏まえたリスク管理という側面も見逃せない。2016−17年のFF金利見通しの修正は、マーケットが利上げペース加速を連想しないよう、配慮した可能性もある。「忍耐強くなれる」との文言を削除する上で、慎重なアプローチで臨んだのかもしれない。

——Fedが長期失業率を修正し労働市場のたるみを強調させた背景は、1)賃金の伸び悩み、2 )労働参加率の低迷、3)過去分のLMCI下方修正に伴い、リセッション前の水準を回復する時期が後ろ倒しとなる可能性、4)米1月雇用動態調査で明白になった採用率の上げ渋り、5)ドル高ショックで業績が押し下げられつつある多国籍企業の採用鈍化および賃上げ圧力後退、6)雇用の質に対する疑問——などが考えられます。そのうち、5)のドル高は賃金伸び悩み以外にインフレ押し下げ要因となり、Fedとしても無視できなかった。11日のファーマン米大統領経済指紋委員会(CEA)委員長によるドル高をけん制は、政府も中銀もドル高の安穏としていられなくなった最初のサインだったんですね。いずれにしても、こちらで指摘させて頂いたように1−3月期と4−6月期のGDPを確認できる9月こそ、本命となってきました。

(カバー写真:Charley/Flickr)

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