The Generation Gap And Presidential Elections.
大阪都構想をめぐる住民投票で、世代間ギャップが明らかになりました。人口が多く投票率の高い70代の反対票で阻止されたとの意見が駆け巡り、ネットでは「老害」という言葉まで出回る始末。膨大な赤字を解消する手掛かりを失い、若い層を中心に将来を憂い「大阪脱出」まで取り沙汰されていますね。一方で、今回の住民投票で大阪市民だけでなく日本国民が投票の重さを実感したのも事実でしょう。
アメリカでは、年齢層における投票率はどうなっているのでしょうか。2012年米大統領選における有権者別の投票率を振り返ると、2012年はこうなりました。
65歳以上 72.0%
45〜64歳 67.9%
25〜44歳 59.5%
18〜29歳 45.0%
明らかに、45歳以上の投票率が高かった。ただし1996年からを振り返ると、18歳から44歳までの年齢層はITバブル崩壊、同時多発テロ事件、イラク戦争、サブプライム問題、リーマン・ショックを経てブッシュ政権発足に伴い持ち直していました。18〜24歳層では2008年、当時のオバマ候補が2008年に「Yes we can」と変革をアピールしたことが奏功したのか50%付近まで改善。反対に2012年には、オバマ米大統領が約束した「変革」に失望したほか、医療保険制度改革への疑問もくすぶり、その他の年齢層が全て低下してしまいました。65歳以上の投票率が上昇したのは、オバマ外しが狙いだったことでしょう。
選挙権を有するアメリカ人、年齢別投票率。
(出所:Census Bureau)
年齢別の人口比率、および有権者の人口比率を比較すると、最も影響力を行使できる年齢層はベビーブーマー世代を含む45〜64歳でした。18〜29歳になると人口比率では20%以上(右)を確保するものの、有権者すなわち選挙人登録を行ったアメリカ人の割合(左)では、ガクンと低下します。2008年、2012年に改善したとはいえ、他の年齢層と比較すると人口比率と有権者でみた人口比率に大きなかい離が横たわっていました。
年齢層でみると、中高齢層が投票率および人口でけん引しています。ただし65歳以上というより、45歳〜64歳以下が大きな潮流を作っている。2008年以降の米大統領選を踏まえると、少なくとも若手層の追い上げも奏功したことでしょう。
2012年の米大統領選、リベラル寄りの大都市を抱える州がオバマを勝利に導きました。
2011年時点で18〜29歳層はリベラル、65歳以上は保守、全体的には方向性に乏しい。
(出所:Pew Research Center)
アメリカの場合は、45歳〜64歳という年齢層を奪い合う図式というより保守VSリベラルの色彩が強い。双方の勢力が拮抗するなかでは、いかに浮動票を取り込むかが引き続きカギとなるのでしょう。2014年は、中間選挙では共和党が制しねじれが解消しました。2016年の米大統領選も共和党間が有利かというと、現時点でティーパーティー寄り候補が勢揃いする状況。民主党からは本命ヒラリー・クリントン前米国務長官が名乗りを上げており、無党派層の取り込みでいえば民主党に有利な環境と言えるでしょう。
クリントン候補は、資産100万ドルを保有する富裕層の間で頭ひとつ抜きん出ています。CNBCが実施したミリオネア調査で、クリントン氏と立候補が取り沙汰されるジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事での一騎打ちでは53%でヒラリーに軍配が上がり、ブッシュ氏は47%でした。他の候補も含めた調査結果でも、ヒラリー氏がトップで36%、2位のブッシュ氏は20%とダブルスコアで突き放されています。なお、富裕層の意向は必ずしも選挙結果に反映されるとは限りません。2012年の米大統領選では、61%の支持を集めたミット・ロムニー候補は敗北していました。
(カバー写真:Shia Wisdom)
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