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米4月中古住宅販売件数、約1年半ぶりの高水準から減速

by • May 21, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1874

Existing-Home Sales Lose Momentum in April.

全米リアルター協会(NAR)が発表した米4月中古住宅販売件数は年率504.0万件となり、市場予想の522万件を下回った。2013年9月以来の高水準を達成した前月の521万件(519万件から上方修正)から、3.3%減少している。過去6ヵ月間では、3回目の減少を示した。前年比では6.5%増と、6ヵ月連続でプラス圏を維持。前月の2桁増からは伸びを鈍化させた。

内訳をみると、一戸建てが前月比3.7%減の443万件となり3ヵ月ぶりに減少。複合住宅は横ばいの61万件と、それぞれ前月から失速している。

4大地域別では、1地域のみ増加。3月はすべて増加していた。今回は中西部のみ1.7%増の122万件と、2ヵ月連続で増加するのみ。テキサス州など石油生産地が多い南部は6.8%減の204万件と、3ヵ月ぶりに減少している。北東部も3.1%減は62万件、西部も1.7%減の116万件と、それぞれ減少に転じた。

在庫件数は、前月比5.3%増の200万件と2ヵ月連続で増加した。販売件数の伸びが在庫を上回ったため、在庫相当は5.3ヵ月。前月の4.6ヵ月と、金融危機以降で最も短期化した2014年1月の4.3ヵ月に近づいていた。中央価格は前年比で8.9%上昇の21.94万ドル。前月比では4.1%上昇し、3ヵ月連続で上向いている。売り出し平均期間は39日と前月の52日から短縮しただけでなく、2013年6月の37日に近い水準を迎えた。

中古住宅販売件数、前年比では7ヵ月連続で上向き過熱感も。
existing home sales
(出所:NAR)

買い手の内訳は、以下の通り。

・差し押さえ物件 7%=前月は7%、前年同月は10%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 3%=前月を含め6ヵ月連続で3%、前年同月は5%
・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 10%=前月は10%、前年同月は15%
・新規購入者 30%=前月は30%、前年同月は29%
・現金での購入者 24%=前月は24%、前年同月は32%
・住居用ではなく投資向け 14%=前月は14%、前年同月は18%

発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、結果を受け「4月の減速は在庫ひっ迫と住宅価格の値上がりを反映している」と説明。その上で「需要は前年比で高水準を維持しており低金利や雇用確保への安心感もあり、所得の伸びを上回る住宅価格の加速さえ回避すれば潜在顧客は市場へ戻ってくる」とまとめた。

——米4月住宅着工件数は約7年ぶりの高水準だった一方、価格上昇が足を引っ張り米4月中古住宅販売件数は鈍化しました。在庫薄が敗因なのでしょうが、住宅価格が前年比で7ヵ月連続で上振れするなか現金での購入者の割合が低下している点に注目。ITセクターが盛んで好景気に沸く西海岸では特に入札合戦が過熱するとはいえ、割高感が増してきた可能性をちらつかせます。新規購入者も、直近で最高ながら前月と変わらず。「テーパー・タントラム」さながらの金利上昇も手伝い、住宅市場への警戒感が伺えます。住宅価格の伸びがにいたっては前年比6.5%と米4月雇用統計での3倍に及び、懐具合を考えると購入に躊躇してしまうのかもしれません。

(カバー写真:Bloomberg)

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