Yellen Highlights Risk For Delayed Tightening Action.
イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、グレーター・プロビンス商工会議所での講演であらためて「年内の利上げ」を宣言しました。同議長は「経済が予想通り改善し続ければ、年内のいずれかの時点でFF金利誘導目標の正常化に着手する第一歩を踏み出すことが適切」と発言。利上げ開始には「労働市場の改善、インフレが中期的に2%へ回帰する道筋にある」点を確認する必要があると述べました。FOMCは「将来を見据えた」政策運営を行うべきであり、「経済の過熱リスク」を抑制する必要があるとも強調しています。
経済指標の鈍化を認識しつつ、1−3月期の減速は4月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録に明記されたように「一時的」と判断。経済の向かい風は「減退しつつある」とも述べました。
労働市場をめぐっては「完全雇用に近づいている」とし、失業率は年末までに5%を下回ると予想しました。ハト派で知られるシカゴ連銀のエバンス総裁は20日、完全雇用としての失業率は5%割未満との可能性を指摘。年内の利上げを見送るべきと主張する理由の一因に挙げていたものの、同総裁の見方は少数派と考えられます。4月議事録でも、長期失業率見通しを現水準から引き下げる必要性について特に協議されていませんでしたよね。
シカゴ連銀総裁の主張は、聞き入れられず?
(出所:FX Broker News)
ただイエレンFRB議長は、賃金に関しては「十分に回復していない」と分析。賃上げは雇用者の負担を拡大させるものの、「支出増加につながり消費者の信頼感を高め、回復を強め最終的には業績につながる」と説明し、企業に賃上げを推奨しました。経済自体には「明るい兆候が出て来ている」とも言及。マクドナルド、ターゲット、ウォルマートなどの大手企業が最低賃金を相次いで発表するなか、「大幅な賃上げが視野に入りつつある」との見方も示しました。
BNPパリバは、イエレンFRB議長の講演に対し「4月FOMC議事録よりタカ派的」と判断しています。特に、「遅れて金融政策の引き締めに踏み切った場合」のリスクに言及した点に注目。米4月消費者物価指数でもコアが上向きを示したほか、アトランタ連銀の米4−6月期GDP見通しが1%割れでもイエレンFRB議長は引き続き経済成長に楽観スタンスを維持しており、「9月利上げの予想を据え置く」とまとめていました。メモリアル・デーを控え米株は値動きに乏しかったものの、翌週に下落で反応するか注目されます。
(カバー写真:J. Scott Applewhite/AP)
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