Abercrombie Signals Turnaround, Express Beats Estimates.
日本でも根強い人気を誇るアバクロンビー・アンド・フィッチのほか、エクスプレスなどアメリカを代表するカジュアル服飾ブランドが決算を発表しました。高級ブランドが苦戦するなかファスト・ファッションにも負けず、お手頃な価格帯が魅力の両社は業績改善の兆しが現れています。
▽アバクロンビー・アンド・フィッチ
2−4月(第1四半期)決算では、純損失が前年同期比で約3倍増の6320万ドルだった。特殊項目を除く1株当たり損失は0.53ドルで、市場予想の0.34ドルより弱い。売上高は13.8%減の70億9420万ドルとなり、市場予想の7億3090万ドルを下回った。既存店売上高は8%減で、前年同期の4%減から下げ幅を広げている。売上の37%を担う海外が9%の落ち込みをみせた。ただし、市場予想の8.7%減ほどの悪化を回避している。ブランド別はホリスターが6%減と、前年同期の7%減およびアナリスト予想平均の8.9%減より下げ幅を縮小。アバクロンビー・アンド・フィッチは9%減となり、前年同期の2%減から悪化した。
アーサー・マルティネス最高経営責任者(CEO)は、カンファレンス・コールにて店内での大音量での音楽や薄暗い照明設定を変更し客足の回復につながったと説明した。セクシュアルな広告展開、素肌をみせたモデル体型男性などを店舗前に立たせる戦略も取り止め、万人受けするストア作りに努めたという。またコスト縮小を背景に、粗利益率が前年比で横ばいあるいは小幅に上昇する可能性を指摘。既存店売上高のさらなる改善にも言及した。ドル高の悪影響にも言及したものの、株価は既存店売上高の明るい兆候に着目しNY昼過ぎに一時10.2%も跳ね上がった。
▽エクスプレス
2−4月(第1四半期)決算では、純利益が前年同期比157.0%増の1310万ドルだった。前倒しで債務返済を行ったものの、大幅増益を遂げている。特殊項目などを除く1株当たり利益は0.22ドルとなり、同社予想の0.11〜0.14ドルより強い。粗利益率は33.1%と、前年同期の29.8%から上昇。売上高は9.1%増の5億240万ドルで、市場予想の4億8780万ドルを上回った。既存店売上高は7%増となり、前年同期の11%減から改善しただけでなく同社予想の1〜4%増を超えている。客足が戻って来たほか、値下げ幅の縮小が奏功した。オンライン売上高は12%増の7760万ドルだった。
2007年にLブランズからスピンオフ、投資会社シカモア・パートナーズが買収機会を伺う。
(出所:Express)
2015年度(2016年1月末終了)の既存店売上高は1〜4%増を予想した。純利益は、8900万〜9800万ドルとなる見通し。調整済み1株当たり利益は1.11〜1.22ドルとし、従来の0.93〜1.07ドルから引き上げた。レンジ自体は、市場予想の1.07ドルを軽々と超えている。設備投資は1億1400万〜1億1900万ドルを予想した。5−7月期は既存店売上高につき1〜4%増を予想。純利益は、1100万〜1400万ドルとなる見通し。調整済み1株当たり利益は0.13〜0.16ドルを見込み、レンジ自体が市場予想の0.11ドルを上回った。決算内容と見通しを好感し、株価は一時5%近く上昇した。
(カバー写真 : Mordy Steinfeld/Flickr)
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