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リーマン・ショックから6年半、あのCEOが表舞台に登場

by • May 28, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off10086

Ex-Lehman CEO Fuld Breaks The Silence.

リーマン・ブラザーズが破綻しマーケットを震撼させた2008年9月15日から、約6年半。同社最後の最高経営責任者(CEO)として矢面に立ったリチャード・S・ファルド氏(69歳)が、ついに表舞台にカムバックを果たしました。

ファルド氏は、ニューヨークで開催されたマルカム・マイクロキャップ・カンファレンスに登壇。当時の米政府が住宅購入や貸出基準の緩和を薦めるなか、住宅保有者はホームエクィティを「ATMのように扱っていた」と振り返ります。住宅バブル崩壊後は米当局が規制強化に乗り出したため、リーマンには複数の災厄が降り掛かり「パーフェクト・ストーム」に見舞われ、破綻を余儀なくされた。自身の指導力と体制作りよりも、当時の環境によって命運が尽きたとの考えを示します。ファルド氏は、こうも発言していました。「リスク管理について何を言われようが当時2万7000人のリスク・マネージャーを抱え、それぞれが自社株を保有していた」。米議会での公聴会の思い出には、「素晴らしい日々」とジョークでかわす余裕も見せています。

CNBCによると、ファルド氏の講演に耐え切れずわずか10分で中座した出席者が見受けられたといます。

リーマン・ショックから約7ヵ月後の2009年、ファルド氏はリーマン・ブラザーズ本社があった場所からそう遠くないミッドタウンで小さなオフィスを借り、マトリックス・アドバイザーという名のブティック型投資会社を設立しました。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、最近では北京で、中国のSuzhou Kaida Venture Capitalと手を組み米国で新規株式公開(IPO)を支援する枠組みを発表したといいます。フォックスの報道では、メット・ライフやゼネラル・モーターズに「イン・ザ・カー」と呼ぶインセンティブを提案したことも。自動車購入に合わせ、1年間の自動車保険料を無料にするプランです。このアイデアは自動車会社にキャッシュバックや値引きよりも煩雑で保険会社のメリットも低く、メットライフとGMはたった2ヵ月で撤退したといいます。

その経営手腕から、あだ名は”ゴリラ”だったとか。
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(出所:Victor J. Blue/Bloomberg)

ファルド氏が虎視眈々とウォールストリートでの完全復活を狙う姿は、同社最後の最高財務責任者(CFO)を担ったエリン・カラン氏と正反対ですね。金融危機前夜にメディアに積極的に出演しリーマンの健全性を訴えた彼女は、ニューヨークの高級避暑値として名高いハンプトンを出てシェルター・アイランドでひっそり過ごしています。経営不振に陥る以前のリーマン時代を彷彿とさせる輝かしい日は、2012年に訪れました。長年月会っていた消防隊員の男性と、セント・パトリック大聖堂の向かいに立つロックフェラー・センターの会場で結婚式を挙げたのです。

映画に登場しそうな、ニューヨーク女子憧れの式場。
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(出所:Rockefeller Center)

女性として人生の主人公を演じたカラン氏は、もうウォールストリートに戻る気はないといいます。

(カバー写真:Mark Lennihan/Associated Press)

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