June Retail Sales Unexpectedly Fell, Economists Trim Q2 Growth Outlook.
米6月小売売上高は前月比0.3%減となり、市場予想の0.3%増に反しマイナスに落ち込んだ。前月の1.0%増(1.2%増から下方修正)から減少に転じ、4ヵ月ぶりの低水準。米6月新車販売台数が約10年ぶりの水準へ加速した5月から鈍化したように、自動車にブレーキが掛かった。ただ自動車を除いた場合も0.1%減と、市場予想の0.6%増および前月の0.8%増(1.0%増から下方修正)から減少に転じている。国内総生産(GDP)に反映されるコア小売売上高(自動車、燃料、建築材を除く)も0.1%減と、市場予想の0.3%増に届かず。GDPの7割近くを担う消費は、回復力の鈍さを確認した。
内訳をみると、主要13カテゴリー中5項目のみ増加。5月速報値の11項目を大きく下回った。
(プラス項目)
・電気製品→1.4%増、前月の0.2%増に続き増加
・ガソリンスタンド→0.8%増、前月の3.7%増から鈍化
・一般小売→0.7%増、前月の1.4%増に続き増加(*百貨店は0.6%減、前月は1.9%増)
・健康→0.2%増、前月の0.4%減から反転
・スポーツ衣料/書籍→0.1%増、前月の0.6%増に続き増加
・食品・飲料→±0%、前月の0.5%増から反転
(マイナス項目)
・家具→1.6%減、前月の1.4%増から反転
・服飾→1.5%減、前月の1.4%増を打ち消し
・建築材→1.3%減、前月の0.4%減から下げ幅を拡大
・自動車→1.1%減、前月の1.8%増から反転
・オンラインを含む非店舗→0.4%減、前月の0.3%増を打ち消し
・雑貨類→0.2%減、前月の0.1%減に続き減少
・外食→0.2%減、前月の0.2%減を打ち消し
小売売上高、力強く伸びた5月を経て6月は失速。
JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは結果を受け「全体の鈍化に加えコア小売売上高がマイナスで、米4−6月期の個人消費の予想を従来の2.9%増から2.6%増へ下方修正し、合わせて米4−6月期GDP見通しを従来の2.5%増から2.3%増へ引き下げる」とした。ポジティブに読み解くと「個人消費の2.6%増は、景気回復サイクルの平均2.3%増を上回る」という。ただし「6月の実質の個人消費は0〜0.1%減で、7−9月期の消費活動に芳しくないサインが現れている」と指摘。雇用の拡大を中心に消費環境に追い風が吹くものの「家計は、慎重姿勢を維持し支出の加速を抑えている」と結んだ。
米4月小売売上高が失望を誘う内容で、エコノミストは成長見通しを下方修正している。ゴールドマン・サックスは、米4−6月期GDP予想を3.2%増から3.0%増へ引き下げた。バークレイズは、米5月企業在庫と合わせ米4−6月期GDPの予想を3.7%増から3.2%増へ変更。企業在庫は市場予想を上回ったものの同社の予想に届かなかったほか、家具をはじめ電化製品、食品などの在庫の弱含みを下方修正の理由に挙げた。
▽米5月企業在庫、予想を上回り4ヵ月連続で増加
米5月企業在庫は前月比0.3%増となり、市場予想の0.2%増を上回った。前月の0.4%増に続き、4ヵ月連続で増加。4−6月期在庫投資がGDPに寄与する可能性を示す。売上高も0.4%増となり、前月の0.5%増に続き3ヵ月連続で増加した。売上の伸びが在庫を上回ったため背景に在庫相当は3ヵ月連続で1.36ヵ月となり、2009年7月以来で最大を示した2月の1.37ヵ月から短縮した水準を保つ。
——米6月小売売上高は、あらためて消費減速へのリスクを点灯しました。米5月企業在庫が強い伸びを遂げたものの、楽観ムードが強まった米4−6月期成長率に水を差しています。ギリシャ債務危機や中国株安の余波もあり、あらためて9月利上げ観測が後退し12月あるいは2016年への先送りを見込む声が高まりそうです。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は15日の議会証言で、10日の講演通り9月利上げの可能性を維持してくるのか。Fedに年明け利上げを求める国際通貨基金(IMF)も、じっと見守っていることでしょう。
(カバー写真:My Big Apple NY)
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