Fed’s Lockhart Says September Lift-Off Could Be ‘Appropriate’.
アトランタ連銀のロックハート総裁(投票メンバー)は、9月利上げが妥当との見解を示した。同総裁は、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙とのインタビューで「現状、政策を変更しない上での障害が大きいように思われる」と発言。さらに「経済見通しが著しく悪化しない限り、行動する意志は削がれない」とも付け加えた。
雇用に対しても「我々は、前向きな兆候を確認している」とコメント。1−3月期成長率が0.2%減から0.6%増へ転じ、かつ4−6月期に2.3%増まで回復した点を評価する。その上で「9月会合を前に現状は経済の態勢が整っており、政策変更に適切」と明言した。インフレに警戒感を残しつつ、7月28—29日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)後、セントルイス連銀のブラード総裁に次いで明確に9月利上げへ青信号を出した格好だ。
興味深いことに、両名はWSJ紙とのインタビューで9月利上げへのシグナルを送った。アトランタ連銀総裁の記事はFed番のジョン・ヒルゼンラス記者、セントルイス連銀総裁はマイケル・ダービー記者の署名による。
WSJ紙のヒルゼンラス記者と言えば、2013年のテーパリングが見送られた同年9月FOMC後のコメントにある通り、どちらかと言えばハト派寄りな印象の記事が多い。今回のアトランタ連銀総裁のインタビューも、「アトランタ連銀総裁、『利上げが近い』と認識(Atlanta Fed’s Lockhart: Fed Is ‘Close’ to Being Ready to Raise Short-Term Rates)」と、9月の時期を明記しなかった。
アトランタ連銀総裁の発言に、ハト派のシカゴ連銀総裁は何を思う。
(出所:Reuters)
7月FOMC直後のヘッドラインも、当初は低インフレが利上げの障害というメッセージを含んだ内容だった。ただし、こちらで紹介したようにその後タイトルは変更されたようでインフレ部分を削除。年内利上げの可能性をにらんだトーンへシフトしている。最近の記事では米4−6月期雇用コスト指数の鈍化を確認したにも関わらず、賃金が上昇していなくとも利上げが可能との記事を配信したばかりだ。慎重なWSJ紙も、9月利上げの選択肢を残そうとするFedに合わせ徐々に変化しつつあるように見える。
FF先物市場で、9月利上げはゼロに近い状況。7月FOMC声明文の文言変更で利上げへのハードルが低くなった今、中立派のアトランタ連銀総裁が9月利上げ肯定コメントを発した点は意義深い。
(カバー写真:The University Of Southern Mississippi)
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