Job Cuts Hit 4-Year High In July.
米7月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比125.4%増の10万5696人と2ヵ月連続で増加した。前月比では135.8%も急増。2011年9月以来の水準へ膨らんだ。原油安が再燃するなかエネルギー産業での人員削減があらためて増加しており、全体の8.6%を占めている。6月は0.6%にとどまり、5月の2.5%だった(4月は34%、3月は35%、2月は38%、1月は40%)。
4大地域別では、3地域で増加し6月の1地域を上回った。今回は特にIT関連企業が集まる西部で著しく、前月比で8.4倍の3万37人に膨らんでいる。エネルギー産業が集中する南部は、2.3倍増の4722人だった。北東部も4倍増の6万3858人、一方で、6月に大幅増を記録した中西部のみ69.4%減の7079人だった。
人員削減予定数、同時多発テロ事件が発生した当時の水準へ急増。
(出所:Challenger, Gray And Christmas)
発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、今回の人員削減予定数の増加が米軍関連・民間で増加したと指摘。アフガニスタンおよびイラクでの駐留軍撤退を受け「米軍関連が人員削減に踏み切った2011年9月も人員削減予定数が1万人台を突破し、米陸軍が半分を占めていた」という。軍部関係者が民間企業へ転職するにあたって困難に直面するケースが多いものの「足元は求人件数が多く、2011年当時と比べ吸収できる環境が整っている」と付け加えた。一方でIT関連は「マイクロソフトが7800人、クアルコムが4500人、インテルが3180人の人員削減を発表した」ため、数字が押し上げられたと説明している。
1−7月に人員削減が多かったセクター、ランキングは以下の通りで%は前年同期比を示す。ヘルスケアが圏外から脱し、代わりに化学が入った。
1位 エネルギー 1208%増の6万9550人
2位 政府 358%増の6万7425人
3位 小売 64%増の4万7762人
4位 産業財 106%増の2万8923人
5位 コンピューター 47%減の2万5542人
7月人員削減予定件数のセクター別をみると、1位は政府で5万7531人、2位はコンピューターで1万3924人、3位はエネルギーで9050人だった。
リストラ実施の理由、7月のランキングは以下の通り。再編、閉鎖、コスト削減の御三家のフォーメーションが崩れ、今回は閉鎖の代わりとして3位に買収・合併(M&A)がランクインしている。また6月に4位だった需要低下、5位だった経済状況が消え、4位に原油安がランクインした。
1位 再編 1万7494人 年初来 10万4472人
2位 コスト削減 6万833人 年初来 8万4462人
3位 M&A 9234人 年初来 1万8178人
4位 原油安 8878人 年初来 7万8460人
5位 閉鎖 5540人 年初来 6万1865人
採用予定人数は1万1637人と、前月の1万1176人から増加した。1位は6月に2位だった小売で3400人となり、2位はコンピューターで1375人、3位は消費財が1150人だった
——人員削減予定件数は防衛関連を中心に跳ね上がり、挙げ句の果てにM&Aが労働市場を直撃する結果となりました。ゴールドマン・サックスが早くから予想したように、労働市場から過熱感が薄れつつあります。米7月ISM非製造業景況指数ではサービス業が押し上げており米7月雇用統計は巡航速度を保つ可能性を残しますが、夏なのに秋の気配が漂ってきました。
(カバー写真:NAVFAC/Flickr)
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